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2011.08.25

【特集】世界選手権へかける(8)…男子グレコローマン120kg級・新庄寛和(自衛隊)

(文=保高幸子)

 4大会連続4度目の世界選手権出場。今大会の日本男子チームの世界選手権最多出場はグレコローマン120kg級の新庄寛和(自衛隊=右写真)だ。“一番のベテラン”と呼べる新庄だが、これまでの3大会とも、すべて初戦敗退。苦汁を飲んできた。「最後の世界選手権」に臨む新庄は今までとは違う。

 スタンドは年々良くなってきている。「スタンドで攻めないと勝ちが見えてこない。それが分かっていても、以前は見てしまって前に出られない、というところがありました」と言う。しかし、出られるようになってきた。

 昨年の世界選手権では、第2ピリオドのグラウンドの攻撃時に納得いかないフライングの警告(コーション)を受けてしまい敗退したが、スタンドでは五分五分だった。ポイントにつながらなかったのは、横に振られてしまって攻撃に決定力がなかったから。これが反省点だ。しっかり修正し、「今は足の運び方などもできるし、対処できると思います」と準備万端だ。

■五輪出場を果たせても、世界選手権は今回が最後

 「最後の世界選手権」に向けて気持ちも盛り上がっている。「毎回同じことを言っていますが、スタンドで勝負しないといけない。本当にこれで最後なので。スタンドでもっと飛ばしていきたいです。五輪出場がかなっても、世界選手権はこれで最後になる。それがモチベーションですね」。

 全日本合宿ごとにやっている体力測定では、チーム全体で数値が上がってきている。それは新庄も同じ。筋力もパワーもスタミナもついてきた。練習相手が不足しているのが日本重量級の苦しいところだが、「軽量級が相手でスピードのある練習ができている」と、それは大きな問題にしていない。

 ただ、スタンド攻撃はできるようになったが、グラウンドでの課題がある。「決められたら守り切れていないので…。今までずっとそうでした」。昨年の世界選手権(左写真)を振り返れば、第2ピリオドのコーションは納得いかないものの、第1ピリオドにグラウンドで返されてしまったのも事実。11月のアジア大会(中国)でも、第3ピリオドまでもつれ、最後のグラウンドはボールピックアップによって新庄の攻撃だったが、何もできなかった。

 2つの初戦敗退の原因はグラウンドにあったと言える。その反省をふまえ、アジア大会の後からグラウンドの攻めと守りを強化してきた。「たぶん、力ついてきています。前よりは感覚が分かってきました」と自信をのぞかせる。

■グレコローマン最重量級として16年ぶりの五輪を目指す

 厳しい全日本合宿を経てきた。「体力つけてきたので、スタミナには自信があります。こっちが相手をばてさすんだ、と思っています。まずスタンドで攻めて相手をバテさせ、グラウンドでローリングを決める、というのが理想」と語る新庄。自分のやってきたことを信じて前に出続ければ勝機はある。

 「5位以内に入って五輪枠を獲得したいです」。スタンドで昨年以上に攻め、強化したグラウンドで決めることができれば、新庄の最後の世界選手権はただの世界選手権では終わらない。1996年アトランタ五輪から数え、実に16年ぶりにグレコローマン最重量級が五輪出場を決める大会になるだろう。(右写真=全日本合宿で練習する新庄)

 自衛隊の先輩であり、2007年世界選手権のグレコローマン96kg級で5位に入賞して北京五輪に出場した加藤賢三コーチも、「気にかけてくださって、よく電話してくれます」という。日本重量級の意地を見せた先輩に続いてほしい。

 「思い切りやりたいです」。まだ世界選手権では決めた事がないローリングだが、最後の世界選手権にかける新庄の闘志を爆発させるのは、今年しかない。


新庄寛和(しんじょう・ひろかず=自衛隊)

 1982年10月11日、大阪府生まれ、28歳。京都・南京都高~国士大卒。高校2年の99年に国体ベスト8などの成績を残し、3年生(00年)でインターハイ2位、全国高校グレコ選手権と国体で優勝した。国士大へ進み、02年にJOC杯ジュニアや新人戦で優勝。04年に全日本選抜選手権で2位へ食い込み、全日本選手権で優勝。05年にアジア選手権出場。その後、優勝から見放されたが、07年に世界選手権に初出場。全日本選手権でも優勝し、08年アジア選手権で3位。北京五輪を逃した後、09・10年とも世界選手権へ出場。181cm。


 ◎新庄寛和の最近の国際大会成績

 《2011年》
 【5月:アジア選手権】11位(11手出場)
敗復戦 ●[0-2(0-2,0-1)]Yessenkeldi Zhalgasbayev(カザフスタン)
2回戦  ●[0-2(0-1,0-2)]Meng Qiang(中国)
1回戦  BYE

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会(米国)】5位(7選手出場)
5・6位決 ○[不戦勝]Rocco daniek Ficara(イタリア)(Inj.)
敗復戦  ●[0-2(0-4,0-4)]Ivan Ivanov(ブルガリア)
敗復戦  ○[2-0(1-0,2-0)]Orlando Ramirez abaroa(メキシコ)
1回戦   ●[0-2(0-4,0-1)]Lukasz Banak(ポーランド)

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 《2010年》
 【11月:アジア大会(中国)】7位(13選手出場)
1回戦 ●[1-2(0-1,1-0,0-1)]Dharmender Dalal(インド)

 【9月:世界選手権(ロシア)】26位(31選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-2,0-2)]Murat Ramonov(キルギス)

 【5月:アジア選手権(インド)】7位(10選手出場)
2回戦 ●[0-2(0-1,0-2)]Murodjon Tuychiev(タジギスタン)
1回戦 ○[2-1(0-1,1-0,1-0)]Kim Gwang-Seok(韓国)

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会(米国)】6位(8選手出場)
5・6決戦 ●[0-2(0-1,0-1)]Timothy Taylor(米国)
敗復戦  ●[1-2(1-0,0-1,0-1)]Dharmender Dalal(インド)
敗復戦  ○[棄権]Ilyosjon Niyazov(ウズベキスタン)
1回戦   ●[1-2(0-2,1-0,0-7)]Brandon Rupp(米国)

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 《2009年》
 【9月:世界選手権(デンマーク)】24位(30選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-1,0-1)]Nurbek Ibragimov(キルギス)







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