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2011.08.30

【特集】世界選手権へかける(11)…男子グレコローマン74kg級・金久保武大(ALSOK)

(文=増渕由気子)

 世界選手権の男子グレコローマン74㎏級代表の金久保武大(ALSOK=右写真)は、2年連続2度目の世界選手権に挑む。昨年は、日本代表選考会の全日本選抜選手権で優勝したが、プレーオフで鶴巻宰(自衛隊)に惜敗して代表権を失った。その後、鶴巻がけがで世界選手権を辞退し、急きょ代表に選ばれた。初出場の勢いで5位入賞の活躍を見せた。

 5位入賞は、今年に例えるなら、まさに五輪出場権が与えられるライン。今年も同様の結果を残せれば、日本が北京五輪で叶わなかったこの階級の出場権を手に入れられる。

■5位入賞の昨年だが、「世界の5本の指とは思っていない」

 昨年は急きょ代表に決まり、海外経験も少ない状態で世界選手権に出場して5位に入った。ただ、金久保自身は、この結果をうまく使い分けている。「世界5位だったという自信を持って練習していますけど、結果として5位だっただけで、世界で5本の指に入るかと言えば、違います。まだそれだけの実力はまだないです」。実力で世界ナンバー5に入るために、この1年間は、海外実戦を多くこなしてきた。

 そこで見えてきたのが、海外での負けパターンだ。「負けるときは、いつもグラウンドの攻撃で相手に立たれてしまうんです。去年の世界選手権、6月のカザフスタンの遠征でも全部そうです」と、グラウンドの攻撃での課題を発見した。

 リフト技を得意とする金久保にとってグラウンドの攻撃は生命線のため、合宿では重点的に克服をはかっている。(左写真=昨年の世界選手権で闘う金久保)

 グラウンドで相手をマットにはわせたら、金久保の“ショータイム”の始まりだ。「リフト技は練習に一番時間を割いている」と、得意の俵返しを中心にポジションの確認を怠らない。練習でも豪快なリフト技を次々と決めて調子のよさをうかがわせる。

■自力で日本代表を勝ち取った今年は、4ヶ月計画で強化

 懸念は、世界でのキャリアは少ないものの、“世界5位”の肩書きによって今年は執拗なマークが予想されることだ。だが金久保は「相手が研究してくることは考えずに、スタンドでの投げ、グラウンドのリフト技など惜しみなく全部出したい」と、自分の力を出し切ることに重点を置いている。

 自分で確認できない穴は、つきっ切りで指導に当たる松本慎吾コーチ(日体大監督)が的確に指摘してくれる。「体幹が伸び切っていると指摘されて修正しています。どんな状態からでも、クラッチを組んだらポイントを取れるようにしないと」と、どん欲に課題に取り組んでいる。(右写真=全日本合宿で練習する金久保)

 大会まで1ヶ月を切った段階で転がり込んできた昨年の日本代表とは違い、今年は自分の力で勝ち取った代表だ。「5月の時点で代表に決まっていましたし、4ヶ月計画で世界選手権に臨むことができています。今のところ、計画通り進んでいます」と、6月のカザフスタン遠征、7月の菅平合宿、8月の全日本40日合宿を、けがなく順調にこなしてきた。

 「海外での調整もなれました。今大会のトルコは、グレコローマンが強い国なので、楽しみにしています」と目を輝かせる金久保。同級2大会ぶりの代表権獲得なるか-。


金久保武大(かなくぼ・たけひろ=ALSOK)

 1986年7月1日、神奈川県生まれ、25歳。東京・東海大付高輪台高~日体大卒。高校時代は柔道の選手。大学2年生の2006年東日本学生春季新人戦で2位となり、翌07年全日本学生選手権で3位と力を伸ばした。08年の全日本学生選手権で優勝し、同年の全日本選手権に初出場して2位へ。09年の全日本選抜選手権で優勝したものの、プレーオフに敗れて世界選手権出場を逃す。10年の全日本選抜選手権で優勝。またしてもプレーオフで敗れたが、当初の日本代表が負傷で世界選手権を辞退したため、繰上げ出場し5位。174cm。


  ◎金久保武大の最近の主な国際大会成績

 《2011年》
 【6月:プレジデント・カップ(カザフスタン)】(団体戦)
4回戦 ●[判定(0-3)]Kim Jin Hyeok(韓国)
3回戦 ●[判定(0-3)]Kikinou Alexandr(ベラルーシ)
2回戦 ○[判定(3-1)]Dilmuhamedov Ashat(カザフスタン)
1回戦 ○[判定(2-0)]He Limubieke Hanapilai(中国)

 【2月:ハンガリー・グランプリ(ハンガリー)】(29選手出場)
2回戦 ●[フォール、2P1:48(2-2L,F0-4)]Seref Tuefenk(トルコ)
1回戦  BYE

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 《2010年》
 【9月:世界選手権(ロシア)】=5位(39選手出場)
3決戦  ●[0-2(0-1,0-1)]Daniar Kobonov(キルギス)
準決勝 ●[0-2(0-4,0-1)]Arsen Julfalakyan(アルメニア)
4回戦  ○[2-1(2-0,0-1,3-0)]Roman Melyoshin(カザフスタン)
3回戦  ○[2-0(2-0,1-0)]Alexsandr Kazaevic(リトアニア)
2回戦  ○[2-0(1-0,2-0)]Petros Manoulidis(ギリシャ)
1回戦  ○[フォール、1P1:06]Tebitara Katea Ueresi(ソロモン)

 【8月:ピトラシンスキ国際大会(ポーランド)】=25位(28選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-1,0-3)]Ruslan Bel khorev(ロシア)

 【7月:ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)】=11位(20選手出場)
3回戦 ●[0-2(0-1,0-3)]Jakub Tim(ポーランド)
2回戦 ○[2-1(0-3,2-0,1-0]Yauhen Bachko(べラルーシ)
1回戦  BYE

 【6月:2010年G・カルトジア&V・バラバーゼ国際大会(グルジア)】=21選手出場
敗復戦 ●[1-2(0-1,1-0、-5)]Stepayan Aram(アルメニア)
1回戦  ●[0-2(0-1,0-2)]Ashkat Dilmukhamedov(カザフスタン)

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 《2009年》
 【3月:ハンガリーカップ(ハンガリー)】=22位(25選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-1,0-3)]Yauhani Silivonchnik(ベラルーシ)

 【2月:ニコラ・ペトロフ国際大会(ブルガリア)】=14位(19選手出場)
2回戦 ●[1-2(1-0,0-1,0-1)]鶴巻宰(自衛隊) 
1回戦  BYE







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