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2011.09.01

【特集】世界選手権へかける(12)…男子フリースタイル60kg級・湯元健一(ALSOK)

(文=増渕由気子)

 今年の世界選手権の男子の代表チームで、五輪を経験している唯一の選手がフリースタイル60kg級の湯元健一(ALSOK=右写真)だ。2008年北京五輪同級で銅メダルを獲得し、お家芸の伝統を守った一人だ。

 五輪翌年は腰の手術で休養し、2009年末から本格的に競技を再開。次々とニューフェースが生まれる同級だが、湯元は昨年12月の全日本選手権で“北京五輪銅メダル”の輝きを再び放ち始め、今年4月の全日本選抜選手権でも危なげなく制覇。4年ぶり3度目の世界選手権出場を決めた。

 55㎏級で第一人者となった双子の弟・進一(自衛隊)は、数々の国際大会で優勝し、2010年には現役の世界王者を破ってアジア選手権で優勝するなど、目覚しい活躍を見せている。日本史上初となる双子での五輪も現実味を帯びてきた。

■湯元「進一には負けたくない」

 激戦階級で2大会連続の五輪出場を目指すのは、並大抵のことではかなわない。この夏のナショナルチームの合宿はとても厳しいものだった。若手として挑んだ北京から3年が経ち、湯元は今年12月で27歳になる。小さなケガとうまく付き合いながらしのぎを削る練習の日々。

 肉体的にも精神的にも追い込まれたとき、五輪に一度出ていることがマイナスに作用する場合がある。ロンドン五輪を逃してもオリンピアンに変わりなく、すでにメダルも獲得しているからだ。(左写真=北京五輪の銅メダル)

 そんな甘えを一瞬にして吹き飛ばしてくれる存在が、弟の進一だ。北京五輪を逃した進一は、健一の活躍を「うれしいけど、悔しいです」と話し、対抗心は半端ではない。その気持ちが近年の活躍に繋つながっているといえる。

 北京五輪後、大陸選手権など主要国際大会での優勝はなく、国内でも勝ち切れなかった健一からは見れば、「自分は五輪でメダルを取ったけど、レスリングの実力は進一に負けていると思う。今、自分は進一を追いかけています。やっぱり、弟に負けたくないんです」と、弟への対抗心でモチベーションを上げている。

■世界王者より来年のロンドン五輪

 4月に世界選手権の代表を決めた直後、湯元は「今度は世界選手権でメダル、そしてチャンピオンになりたい」と明確な目標を掲げた。これも、国際大会で結果を残している弟、進一を意識した発言だった。

 だが、7月の菅平合宿や8月の40日合宿で練習を積んでいくうちに、湯元の気持ちに変化が起こった。「両親と進一と4人でオリンピックを目指してやってきて、来年、そろって出られる確率が高いので、このチャンスを逃したくない。北京五輪は、最終トライアルで苦労した。もう、その思いをしたくない」と、世界選手権はあくまで五輪出場枠の獲得と位置づけた。(右写真=全日本合宿で弟と練習する湯元)

 レスリングスタイルは、北京五輪時より湯元らしさに磨きがかかっている。「五輪後、技術を教えることが増えて、それが非常にプラスになった。肉体的にもパワーアップしたし、総合的には、すでに北京五輪の自分を超えている」と自己分析。「タックルで足に食らいついて1点。そこから休まず2ポイント攻撃(ローリングやアンクルホールド)―、つまり、自分の力を全力を出し切る、それだけです」。

 3度目の世界選手権で、湯元が北京五輪の自分を超えられるか-。


湯元健一(ゆもと・けんいち=ALSOK)

 1984年12月4日、和歌山県生まれ、26歳。和歌山・和歌山工高~日体大卒。高校時代の02年に全国高校選抜大会とインターハイで優勝。日体大へ進み、04年にアジア・ジュニア選手権3位と力を伸ばした。04年に全日本選手権で3位に入賞。05年世界選手権への出場権を手に入れた13位。05年の全日本選手権で初優勝。国内の激戦を勝ち抜いて北京五輪へ。銅メダルを獲得した。その後、故障箇所の治療などで戦列を離れたが、09年秋に復帰し、10年に全日本王者へ返り咲き。今回、北京五輪以来の世界大会出場を決めた。165cm。


 ◎湯元健一の最近の主な国際大会成績

 《2011年》
 【1月:ヤリギン国際大会(ロシア)】(29選手出場)
3回戦 ●[0-2(0-2=延,2-4)]Ahmed Chakaev(ロシア)
2回戦 ○[2-0(1-0,1-0=延)]高塚紀行(自衛隊)
1回戦 ○[2-1(4-0,0-1=延,1-0)]Shawn Bunch(米国)

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 《2010年》
 【8月:オルドス国際ナダムスポーツ大会(中国)】優勝(6選手出場)
決  勝 ○[2-1(2-0,0-3,4-1)]Manduhunaren(モンゴル)
準決勝 ○[2-1(1-1L,5-1,7-0)]Batumangnai(モンゴル)
1回戦   BYE

 【3月:メドベジ国際大会(ベラルーシ)】優勝
決 勝  ○[2-0(4-1,1-0)]Alimkhan Manuev(ロシア)
準決勝 ○[2-0(2-0,2-0)]Ratmir Kerefov(ロシア)
3回戦  ○[2-0(2-1,4-0)]Ildar Ganiatulin(ロシア)
2回戦  ○[2-0(3-2,1-0=クリンチ)]小田裕之(国士舘大)
1回戦   BYE

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会(米国)】5位(21選手出場)
5・6位決戦 ○[2-0(3-2,6-2)]Coleman Scott(米国)
敗復戦   ●[1-2(0-3,1-0,1-2)]Nate Gallick(米国)
敗復戦   ○[フォール、3P1:20(2-2,4-4、F)]Rahul Mann(インド)
敗復戦   ○[2-0(1-0,1-0)]石田智嗣(早大)
敗復戦   ○[2-0(4-1,6-0)]Feng Gao(中国)
2 回 戦   ●[フォール、2P1:52(0-2、F)]Rahul Mann(インド)
1 回 戦   ○[2-0(7-0,6-0)]Ben Zwaschka(米国)







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