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2011.09.08

【特集】世界選手権へかける(19)…男子グレコローマン55kg級・長谷川恒平(福一漁業)

長谷川恒平

 来年のロンドン五輪を目指す男子の日本代表選手で、金メダルに一番近い選手は55㎏級の長谷川恒平(福一漁業)と言ってもいいだろう。2009年にはアジア選手権(タイ)で優勝し、他にゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)優勝など、国際大会4大会連続で優勝。

 昨年のアジア大会(中国)では世界V5のハミド・スーリヤン(イラン)に準決勝で金星を挙げ、その勢いで決勝ではキルギスの選手にフォール勝ち。優勝を勝ち取ってグレコローマンのエースとして輝いた。

■手の内を見せないため、国際大会を辞退
 
 長谷川にとって残るビッグタイトルは世界選手権と五輪のみ。過去2回の世界選手権は、メダルを確実視されていた中で表彰台を逃した。それだけに“3度目の正直”で世界に挑む。
 

アジア大会でスーリヤンのグラウンド攻撃を耐え抜いた長谷川

 「何かに限定するのではなく、全てが全体的に足りなかった」というのが、自身が導き出した2度の大会の敗因。だが、ここ10年間で一番厳しかったのではとも言われる今年の全日本合宿を乗り切った長谷川は「人生で一番走りこんだし、ビデオの研究もして対策をかなり練ってきた。足りない部分は埋まった」と自信を見せる。
 
 その中で一番力を入れてきたのは、グラウンドでのディフェンス対応だ。「今まで感覚でやってきたことを、コーチ陣たちとともに視覚的に研究してきた」と、やみくもに練習するだけではなく、ビデオ研究にもかなり時間を割いてきた。
 
 さらに思い切った作戦を取った。昨年11月のアジア大会を最後に、冬の遠征を初め、5月のアジア選手権、7月のゴールデンGP決勝大会などの国際大会をすべて辞退した。「提案したのはコーチ陣からでした。僕のレスリングは形が結構決まっていて、研究されやすい。さらに、何度も減量するより一発勝負がいいと思った」。国内外で試合ずくしだった過去2年間と全く違うやり方で仕上げてきた。
 
■ライバルのハミド・スーリヤンは不出場との情報

世界V5の選手を破り歓喜の長谷川

 実戦は4月の全日本選抜選手権以来4ヶ月もしていない。「これだけ試合が少なかったのは初めてのこと」と話す長谷川だが、その表情に焦りはない。その理由のひとつには、国立スポーツ科学センター(JISS)のビデオライブラリーで今年の海外の試合の情報が手に入っているからだ。以前は現地に赴かないと海外情報は手に入らなかったが、自分の手の内を明かさずに、海外選手の研究が積めている。
 
 世界選手権での最大の敵と思われるスーリヤンは、世界選手権にエントリーはしているものの、イランのニュースによると調整不足で2番手選手の出場が濃厚だという。長谷川の金メダルへの期待に拍車がかかるのは言うまでもない。

 「世界選手権に出る選手としての責任を果たして金メダルを取ります」と力強く宣言した長谷川。アジア大会同様、大会の初日に日の丸を掲げることができるか-。


長谷川恒平(はせがわ・こうへい=福一漁業)

 1984年11月22日、静岡県生まれ、26歳。静岡・焼津中央高~青山学院大卒。高校時代に02年のインターハイなど7つの全国タイトルを獲得。青学大ではグレコローマンで03年に世界ジュニア選手権に出場し、05・06年の全日本学生選手権でも優勝する一方、フリースタイルでも全日本大学選手権3連覇を達成など。卒業後はグレコローマンに専念し、07年の全日本選手権で初優勝。09年はアジア選手権優勝。10年のアジア大会で世界V5の選手を破って優勝した。164cm。


 ◎長谷川恒平の最近の国際大会成績

 《2010年》
 【11月:アジア大会(中国)】優勝(15選手出場)
決  勝 ○[フォール、2P1:26(2-0,F7-0)]Kanybek Zholchubekov(キルギス)
準決勝 ○[2-1(1-0,0-2,1-0)]Hamid Soryan(イラン)
2回戦  ○[2-0(TF6-0=1:04,TF6-0=1:05)]Kritsada Kongsrichai(タイ)
1回戦  ○[2-0(1-0,2-0)]Marat Karishalov(カザフスタン)

 【9月:世界選手権(ロシア)】16位(34選手出場)
3回戦 ●[0-2(TF0-7=1:38,0-3)]Roman Amoyan(アルメニア)
2回戦 ○[2-0(2-0,3-0)]Akbar Kuziev(ウズベキスタン)
1回戦  BYE

 【7月:ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)】2位(15選手出場)
決  勝 ●[0-2(0-1,0-4)]Peter Modos(ハンガリー) 
準決勝 ○[2-0(1-0,3-1)]Orkhan Ahmadov(アゼルバイジャン) 
2回戦  ○[2-1(4-0,0-2,?)]Lee Jun Baik(韓国)
1回戦  ○[2-0(1-0,4-0)]Georgi Gvenetadze(グルジア)

 【3月:ハンガリーカップ(ハンガリー)】3位(23選手出場)
3決戦  ○[2-0(1-0,1-0)]Marat Garidov(カザフスタン)
敗復活 ○[2-1(1-0,0-1,5-0)]Peter Modos(ハンガリー)
3回戦  ●[1-2(1-1L,TF6-0,0-1)]Lee Jung Baik(韓国)
2回戦  ○[2-0(2-0、TF8-2)]Anders Ronningen(ノルウェー)
1回戦   BYE

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会(米国)】3位(13選手出場)
3決戦  ○[フォール、1P1:50]Aleksandar Kostadinov(ブルガリア)
敗復戦 ○[2-0(1-0,1-0)]Spenser Mango(米国)
敗復戦 ○[2-0(5-0,6-0)]Paul Tellgren(米国)
敗復戦 ○[2-0(2-0,1-0)]Rajender Kumar(インド)
2回戦  ●[0-2(0-1,2-5)]Aleksandar Kostadinov(ブルガリア)
1回戦  ○[2-0(1-0,6-0)]Nate Engel(米国)

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 《2009年》
 【9月:世界選手権(デンマーク)】11位(36選手出場)
4回戦 ●[0-2(0-2,0-1)]Manteanu Virgil(ルーマニア)
3回戦 ○[2-1(0-3,1-0,30)]Bekzan Mankiev(ロシア)
2回戦 ○[2-0(1-0,5-0)]Nicola Caradonna(イタリア)
1回戦  BYE

 【7月:ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)】優勝(17選手出場)
決  勝 ○[2-0(2-0,1-0)]Haji pour Mohsen(イラン)
準決勝 ○[2-1(0-1,1-0,1-0)]Peter Modos(ハンガリー)
3回戦  ○[2-0(1-0,3-0)]峯村亮(日本)
2回戦  ○[2-0(2-0,3-2)]Rovshan Bayramov(アゼルバイジャン)
1回戦   BYE

 【5月:アジア選手権(タイ)】優勝(11選手出場)
決  勝 ○[2-0(1-0,1-0)]Joginder Singh(インド)
準決勝 ○[2-0(3-0,2-0)]Mohammad Faghiri(イラン)
2回戦  ○[2-0(5-0,7-0)]Hai Ho Quang(ベトナム)
1回戦  ○[2-0(1-0,7-0)]Askhat Kudaibergenov(カザフスタン)

 【3月:ハンガリー・カップ(ハンガリー)】優勝(20選手出場)
決  勝 ○[2-0(2-0,1-0)]Mariusz Los (ポーランド)
準決勝 ○[2-1(0-1,2-0,1-0)]Spencer Mango (米国)
3回戦  ○[2-0(2-0,8-0)]Anders Ronningen (ノルウェー)
2回戦  ○[2-0(2-0,5-0)]Maksim Kazharski (ベラルーシ)
1回戦   BYE
   
 【2月:ニコラ・ペトロフ国際大会(ブルガリア)】優勝(10選手出場)
決  勝 ○[2-0(1-0,2-0)]Venelin Venkov(ブルガリア)
準決勝 ○[2-0(2-0,1-0)]Mostafa Hassan(エジプト)
2回戦  ○[2-1(1-0,0-1,1-0)]峯村亮(神奈川大職)
1回戦  ○[2-1(0-3,2-7,3-0)]Alexandar Kostadinov(ブルガリア)







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