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2012.11.12

【全日本大学選手権・特集】主将が勝って10年ぶりの優勝! “小幡体制”の山梨学院大が初栄冠!

(文=樋口郁夫)

胴上げで高く舞った高田裕司監督

 大混戦が予想された今年の全日本大学選手権。第1日に軽量2階級を制し、2位に10点差をつけてトップに立った山梨学院大が、最終日にもたつきながらも優勝。2002年以来、10年ぶりに大学日本一に輝いた。

 協会の専務理事として本部席で試合を観戦していた高田裕司監督は「10年ぶりなので、勝利者インタビューの答え方を忘れてしまったよ」と苦笑い。「内容はともかく高橋(55kg級)が森下(日体大)を破り、鴨居(60kg級)が全日本選抜王者の池田(日大)を破った。浜本(66kg級)が1度も勝ったことのない岩渕(拓大)を破って準決勝までいってくれ、亀山(96kg級)が学生王者の木下(拓大)を破った。どこかひとつでも負けていたら、この優勝はなかった」と、各選手が実力を十分に発揮しての優勝に満足そう。

 表彰式後、真っ先に胴上げに指名された下田正二郎部長は「10年…。小幡(邦彦)コーチが4年生の時、静岡(稲取)での大会以来ですね」と、前回の優勝の状況を正確に覚えていた。「長かったですね。これまでにもいい試合はしていました。今年のリーグ戦も決して差はなかった。でも、こんな大接戦を勝ってくれるなんて…。うれしいです」と、10年ぶりの喜びに感慨無量の様子だ。

■エースが組み合わせの不運で敗退、しかし亀山晃寛、鈴木友希が奮戦

 初日を終えて2位の日大に10点差をつけ、120kg級には全日本学生選手権両スタイル王者の金沢勝利が控えていた。普通に考えれば山梨学院大の有利は動かないところ。しかし120kg級の組み合わせ抽選が終わったあと、下馬評は「日大有利か?」に変わった。

優勝を決め、小幡コーチに抱きついた鈴木主将とセコンドへなだれこんだ選手

 金沢の初戦の相手が昨年王者の村木孝太郎(拓大)で、その勝者が次の試合で対戦が予想されたのが早大重量級のエースの前川勝利。金沢が村木に敗れ、村木が前川に敗れれば、悪くても6点を計算していたこの階級の得点が0点になる。

 96kg級も亀山晃寛の初戦の相手が学生王者の木下駿。同じブロックに全日本選抜王者の山本康稀(日大)がいることを考えれば、初戦で敗れれば敗者復活戦に回れないこともありえ、ここも0点となる可能性もあった。

 結果は、120kg級で0点が決まる一方、96kg級では亀山が殊勲の白星。日大は96kg級が順当な一方、優勝もありえた120kg級で敗者復活戦へ回れず、ともに一進一退でファイナルへ。84kg級の3位決定戦、鈴木友希主将(山梨学院大)-細谷翔太郎(日大)で、鈴木が勝てば山梨学院大の優勝が決まり、細谷が勝てば日大に優勝の可能性が残る状況となった。

 主将にチームの優勝が託された形となった山梨学院大。先月の全日本大学グレコローマン選手権を制して自信をつけた鈴木が冷静に試合を進め、ポイントを許すことなく快勝。混戦大会を制した。

■他大学選手との練習を通じ、自チームの選手の実力を確信した小幡邦彦コーチ

 選手とともに汗を流してチームを指導していた小幡コーチは「軽量級で上位についていき、重量級で盛り返す計算でした。その逆の展開になってしまいましたが、選手は頑張ってくれました。1人でも今の成績を下回っていたら優勝はなかった。よくやってくれました」と選手の奮戦に感謝。

初日に勝ち、チームを勢いづけた55kg級の高橋侑希(左)と60kg級の鴨居正和

 「前評判は拓大、日体大、早稲田、日大などと言われていましたが、そんなに差はないと思っていたので優勝を狙っていました。それだけの練習をさせてきました」ときっぱり。合同練習などで他大学の選手と肌を合わせることも多く、「(山梨の選手と)実力差はない」と感じることが多かったからで、選手とばりばり練習できる指導者だからこそ、自チームの選手の実力に自信を持つことができた。

 とはいえ、指導に回って約4年。「成績を残せなかったことや、選手の実力を試合で発揮させられないことで、指導方法が間違っているのだろうか、と悩んだりもしました。でも今回、結果を出してくれました。自分を信じてやってきて、よかったです」と、コーチとしての自分に自信をもたらしてくれた優勝でもあった。

 山梨学院大は2008年に東日本学生リーグ戦と全日本大学グレコローマン選手権で優勝しているが、その時の小幡コーチは選手をやりながら後輩の指導をしていた。今回は、本格的にコーチすることになってから初めての団体優勝。それは選手も同じで、4年生も「団体優勝」を知らない世代。小幡コーチは「優勝のプレッシャーもあったでしょう。それを乗り越えて勝ったことに、選手は自信を持ってほしいし」と、さらなる飛躍を注文した。

 優勝を決めた鈴木主将は「プレッシャーはありましたが、後輩が頑張っていましたし、多くの応援があったので頑張れました」と“決戦”を振り返る。全日本大学グレコローマン選手権の優勝は「満足していないんです」。今回は自身の優勝を逃したものの、「団体優勝っていいですね」。団体優勝には個人の成績を超越する喜びがあるようで、いつまでも喜びの表情が消えなかった。 


■山梨学院大の2002年以降の団体成績

リーグ戦 学生王座 大学グレコ 大学
2002年 2位 3位 8位 優勝
2003年 4位 初戦敗退 10位 8位
2004年 3位 二回戦敗退 7位 8位
2005年 5位 二回戦敗退 6位 4位
2006年 A組3位 二回戦敗退 3位 5位
2007年 A組2位 初戦敗退 3位 3位
2008年 優勝 初戦敗退 優勝 3位
2009年 A組2位 3位 3位 3位
2010年 B組3位 3位 5位 8位
2011年 B組4位 (廃止) 4位 5位
2012年 A組3位   4位 優勝 

※リーグ戦=東日本学生リーグ戦、学生王座=全日本学生王座決定戦、
 大学グレコ=全日本大学グレコローマン選手権、大学=全日本大学選手権
 







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