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2013.02.04

【関東高校選抜大会・特集】昨年の屈辱をばねに、今年こそ高校三冠王!…55kg級・樋口黎(茨城・霞ヶ浦)

(文・撮影=増渕由気子)

関東高校選抜大会個人戦の55kg級は、昨年のインターハイ王者の樋口黎(茨城・霞ヶ浦=右写真)が、決勝で同門の松宮大樹(茨城・霞ヶ浦)を2-0で破って初優勝を遂げた。

 昨年の樋口の成長は著しかった。昨年7月のアジア・カデットで優勝を遂げると、8月のインターハイ、10月の岐阜国体と優勝。全国高校選抜大会以外のビッグタイトルをほぼ手中に収め、今季は霞ヶ浦の主将に任命された。

 すでに全国で実績をつくった樋口だが、この大会にかける思いは強かった。昨年はけがで欠場。自動的に3月の全国高校選抜大会にも出場できず、高校三冠王に挑戦することができなかった。これが樋口の闘争心に火をつけた。「去年出られなかったので、その悔しさを晴らしたかった。今大会は無失点で団体と個人の両方で優勝することができました」と、昨年の屈辱をばねに優勝を決め、高校最後のシーズンで高校三冠王に初挑戦する。

 決勝戦は同門の松宮との対決で第3ピリオドまでもつれた接戦をものにした。「いつも練習している相手で、技がすべてばれていました。相手がカウンターが得意なことはわかっていましたから、がぶって押し出したりできたことは良かったです」と、得意のタックルからの攻撃パターンを作戦変更したことも功を奏した。

■五輪選手直伝のアンクルホールドが樋口の最大の武器

 もう一つのヤマ場は準決勝の前田頼夢(埼玉・花咲徳栄)戦だった。昨年まで花咲徳栄の“切り込み隊長”として50kg級で活躍していた選手だ。樋口も「高校では初めて対戦することになった」と警戒していた。だが、樋口は1年生の時(2011年)から55kg級で霞ヶ浦の団体レギュラーを務めており、一日の長があった。「相手は50kg級から上げてきたばかりだ」という自信を持ち、前田を2-0で撃破した。

ルーキー時代の樋口は、相手に近づいてからの小さいタックルというワンパターンの攻撃スタイルだった。だが、大澤友博監督から「単発のタックルではなく、崩しを入れてから攻めないと(勝てなくなる)」と助言され、昨年の春からは前さばきや崩しを習得。グラウンドでは、「技が決まればテクニカルフォールに持ち込めるから」とアンクルホールドのスキルを磨いてきた。その効果はてき面。今大会、団体個人あわせて樋口のアンクルホールドが面白いように決まった。

 学校対抗戦の決勝戦で決めた“アンクルホールド地獄”は「田南部力・全日本コーチ(警視庁)から直接教わった技」。個人戦の準決勝で決めたアンクルホールドは「湯元健一選手(北京五輪銅)がよく使う技です」と、同じアンクルホールドでも微妙に違うやり方を使い分けているようだ。その数は4種類!?

 五輪メダリストの技を習得するのは簡単ではなくい。まず2、3日練習し続け、やっとしっくりくる。そこから反復練習を積み重ね、本番の舞台で武器になるようにまで磨き上げた。

■今年の目標は全国制覇と全日本選手権で活躍すること

 前さばき、タックル、そしてグラウンド技と、オールラウンドな選手として高校2年で高校チャンピオンの肩書を手にした樋口。だが昨年末には悔しい思いをした。「インターハイで優勝し、本来なら12月の全日本選手権に出場できるのに、僕は早生まれのため(1月生まれ)で、17歳以上の規定を満たせず出場できませんでした。すごく楽しみにしていたのに…」。

 これまで、16歳でも全日本選手権に出場した選手がいた。しかし、昨年は国際レスリング連盟(FILA)の規定である「17歳以上」という条件が厳格化され、出場はかなわなかった。「自分も森下先輩(史崇=現日体大)のように高校生でメダルを獲ってやろうと思っていたのに…」。

 先月28日に樋口も17歳になった。高校生最後のシーズンに立ちはだかる規定は何もない。「今年は春と夏、団体と個人で優勝し、全日本選手権で1回でも勝ちたいです」と力強く今季の青写真を描いていた。

 







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