日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2013.06.12

【全国中学生選手権・特集】大けがを乗り越えてつかんだ復活優勝…女子52kg級・奥野春菜(三重・久居西)

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 大けがからの復活優勝だ! 沼尻直杯全国中学生選手権女子52kg級は、吉田沙保里(ALSOK)を生んだ三重・一志ジュニア所属の奥野春菜(三重・久居西3年)が、決勝で増山汐音(群馬・千代田)を9-1のテクニカルフォールで下し、最後の全国中学生選手権で初優勝を飾った。

 一志ジュニアの十八番であるタックルを武器に、前に、前にと出てつかんだ勝利だった。奥野が優勝した瞬間、セコンドについていた父であり、一志ジュニアの奥野竜司コーチは万感の思いだった。

 「春菜が1年の時の大会で、3回戦で投げられてけい椎を痛めてしまい、救急車で運ばれました。リハビリで1年くらいマットを離れて…。そこから復帰して、やっと優勝できました。本当にうれしいです」。3年かけてつかんだ初優勝だった。

■首の大けがから1年のブランクを経て復活

 奥野一家と吉田一家とは、家族ぐるみの付き合いがあった。奥野コーチが一志でコーチを務めていたことで、奥野も吉田と同じく物心ついた時からレスリングに親しんできた選手。2004年アテネ・オリンピック、2008年北京オリンピックは、吉田一家とともに親子そろって現地で応援したほどだ。

 親子そろってレスリング漬けの日々を送っていた奥野だったが、けがは予想以上に重たいものだった。奥野コーチは「医者に『娘はどれくらいでレスリングができるようになりますか?(治りますか)』と聞いたところ、『お父さん、(後遺症が残る可能性がある状況なのに)どういう質問ですか!』と怒られたんですよ」と当時を振り返る。

 完全にマットから離れ、翌年の大会まで1年間もマットを離れることになった。奥野は「スタミナがなくなった」と話すように、昨年はこの大会、全国中学選抜大会ともに優勝に届かなかった。そんな奥野の背中を押したのがルール改正だ。「一志ジュニアにとって、タックルが1点から2点と倍になったのは大きいです。今回の優勝はルールにも後押しされました」(奥野コーチ)。

■一志ジュニアのもう一つの親子物語

 けがから復活した娘を褒め称え、父親の顔を見せた奥野コーチとは対照的に、奥野本人は冷静に自己分析していた。「今日は勝ててうれしかったけど、内容がよくなかったです。次の試合(11月の全国中学生選抜選手権)でも勝ちたいですけど、スタミナがないので、スタミナ強化を計りたい」と、体力強化を重点的に行っていくことを誓った。

 悲願の復活優勝にも関わらず、手放しの喜びの姿を見せなかった奥野。その理由は中学チャンピオンがゴールではないからだ。

 奥野が「将来は吉田選手のようになりたい」と話せば、奥野コーチも「最終的にオリンピックというところまで行きたい」ときっぱり。一志ジュニアの、“吉田親子”ならぬ“奥野親子”で、将来の金メダルを目指す。


 







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に