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2013.08.19

【特集】世界選手権へかける(4)…男子フリースタイル55kg級・稲葉泰弘(警視庁)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=樋口郁夫)

 オリンピックを機に、4年に1度は顔ぶれが大きく変わる日本代表チーム。今年の世界選手権の男子は、両スタイルを合わせて過去の世界選手権でメダルを獲得した選手は男子フリースタイル55kg級の稲葉泰弘(警視庁=2010年世界3位、右写真)だけとなった。

 昨年12月の全日本選手権は首の負傷もあって準決勝敗退。その治療のため、冬は海外遠征や全日本合宿で鍛えることができなかったが、6月の全日本選抜選手権は本戦決勝で昨年1年生大学王者に輝いた高橋侑希(山梨学院大)、プレーオフで全日本王者の森下史崇(日体大)を順調に撃破。若手の追従を許さず、あらためて世界のメダル獲得のスタートラインに立った。

 3月には沙央里さんと入籍。「妻も支えてくれます。その支えに報いるためにも頑張りたい。練習はしっかりできているので、3年ぶりの世界選手権は楽しみです」と燃えている。

■韓国選手との“ガチンコ練習”で課題を克服

 首の負傷というのは、治ったと思っても気持ちのうえで思い切っていくことができにくい場所だ。稲葉の場合も、全日本選抜選手権前の練習では大丈夫だと思っていたが、試合では、やはりタックルで突破口を開くことが少なかった。

 高橋戦、森下戦を含めて脚をさわられることが多く、つぶしたり、タックル返しでポイントを取るシーンも目立った。日本の学生選手相手なら通じても、外国のトップ選手相手には通じない。首の恐怖心をなくし、外国選手相手にも積極的に攻めることを代表決定からの3ヶ月間でどう克服できているかが、メダル獲得のポイントとなりそうだ。

 不安材料はもうひとつ。昨年5月のワールドカップ(アゼルバイジャン)以来、外国選手との対戦がないことがある。世界3位の選手といえども、一抹の不安があることを口にする。

 しかし、先月末から今月初めの韓国遠征で、これらの課題はかなり克服できたようだ。同じアジアの民族だが、韓国選手は日本選手以上にガッツむき出しに前へ前へと出てくる選手が多い。「荒っぽいレスリングでしたけど、いい経験でした」。外国選手との“ガチンコ練習”で気持ちも吹っ切れ、「(首の)怖さを感じることはなくなりました」と、気持ちも肉体も元に戻っていることを強調する。

■55kg級消滅のうわさを気にせず、今大会に全力投球

 ほとんどの代表選手が、新ルールになってから初めての国際大会となる。平均的にスタミナに長けている日本選手には有利なルールと言われる中、稲葉も3分2ピリオドへのルール変更はプラス材料と考えている。「スタミナには自信あります。序盤に少しもたついても、時間が経つにつれて自分のペースに持ち込めると思っています」と、勝利の方程式は後半勝負。

 世界選手権行きの“キップ”をかけた全日本王者・森下とのプレーオフは、開始直後に0-3とリードを奪われながら、タックルや2度のローリングなどで逆転し、最後は11-5。試合運びに1日の長を見せている。「グラウンド技も好きです。タックルで2点、回して2点で4-0。そうなればテクニカルフォール(7点差)が見えてくるので、いいルールですね」。速攻が決まったら決まったで気持ちが盛り上がるので、ルール改正は間違いなく追い風だ。

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックに向けては、男子の各スタイルが1階級ずつ減り、6階級となることが決まっている。過去、10階級が8階級になった時は48、52kg級がなくなって54kg級が最軽量階級となり、8階級が7階級になった時は、最軽量の54kg級が55kg級に上がった。

 55kg級の存在が厳しいという風評が、気にならないわけはない。それでも、「できるだけ考えないようにしています。今年の世界選手権は(55kg級が)あるのですから。世界チャンピオンになれるよう、頑張ります」と、目の前の闘いだけを考え、完全燃焼を目指す。

稲葉泰弘(いなば・やすひろ=警視庁)    2大会ぶり2度目の出場
 1985年10月21日、茨城県生まれ、27歳。茨城・霞ヶ浦高~専大卒。2005年に世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得し、全日本選手権は2位。2008年に世界学生選手権で優勝。2009年に全日本選手権で初優勝。2010年の世界選手権に出場し、銅メダルを獲得。2012年はロンドン・オリンピック出場を逃したものの、アジア選手権2位、ワールドカップ個人2位など意地を見せた。162cm。 

 ◎稲葉の最近の国際大会成績

 ※2012年5月以降、なし

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 ◎稲葉の世界選手権成績

 【2010年(ロシア・モスクワ)】=3位(34選手出場)
3決戦  ○[2-0(1-0,TF6-0=1:28)]Naranbaatar Bayaraa(モンゴル)
準決勝 ●[1-2(TF0-6=1:32,1L-1,1-2)]Toghul Asgarov(アゼルバイジャン)
4回戦  ○[フォール、2P1:50(0-2、F4-2)]Obenson Blanc(米国)
3回戦  ○[2-0(1-0,2-1)]John Manuel Pineda(カナダ)
2回戦  ○[2-0(TF7-0=1:39、TF7-0=0:47,]Asian Zhanakhanov(カザフスタン)
1回戦  ○[2-0(1-0,TF8-1=1:21)]Ibrahim Abdelhakim Mohamed Farag(エジプト)


 

 







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