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2013.08.27

【特集】世界選手権へかける(7)…女子48kg級・登坂絵莉(至学館大)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=樋口郁夫)

 小原日登美の復活優勝で日本中に感動を与えたロンドン・オリンピックの女子48kg級。その伝統を受け継ぐべく、今年の世界選手権のマットに上がるのは、昨年9月の世界女子選手権(カナダ)で銀メダルを取った登坂絵莉(至学館大=右写真)だ。決勝は、一度は登坂の手が上がった。その後、納得できない判定で覆ってしまったもので、世界一になれる力は十分に持っている。

 世界選手権の前哨戦とも言うべき7月のユニバーシアード(ロシア)では、初戦で今年の欧州チャンピオンのバレリア・チェプサラコワ(ロシア)を、決勝でアゼルバイジャン代表として世界選手権にエントリーされている欧州3位のパティマト・バゴメドワを、ともにテクニカルフォールで破って優勝した。

 伝統的に中国や北朝鮮が強い階級なので、欧州勢を破っただけではまだ予断を許さないが、世界チャンピオンへの期待が高まっている。

■昨年のインカレの負けが、栄光へのスタート

 「今年は絶対に優勝する、という気持ちでいます」。そう言い切る登坂は、昨年の決勝の惜敗を審判の誤審とは思っていない。「あそこで守り切れなかった後悔があります。今度は、あきらかに自分が強いことが分かるような試合をしたい。あの負けがあったから、この優勝があると思いたい」。

 悔しさを引きずらず、それを栄光につながるためのエネルギーだと思ってやってきた。昨年12月の全日本選手権、今年6月の全日本選抜選手権、7月のユニバーシアードで優勝を重ねたのは、世界選手権決勝で惜敗した悔しさが大きな要因となっているのは間違いない。登坂はそれ以外に、昨年8月の全日本学生選手権(大阪)の準決勝で入江ゆき(九州共立大)に完敗したことも、その後のビクトリーロードにつながったスタートだったと分析する。

 すでに世界選手権の代表が決まっていた時だった。第3ピリオドまでもつれたものの、6点を取られてのフォール負け。日本代表として世界で闘う選手が、国内でフォール負けしたことは、屈辱以外の何ものでもなかっただろう。

 実は、予選となった2ヶ月前の全日本選抜選手権では、入江は体調を崩して棄権していた。「入江が出場していたら、登坂の世界選手権代表はなかった」と言われても反論できない完敗。世界選手権で優勝を逃した時、登坂が発した言葉は「入江さんに勝たないうちに世界に来たので、勝てなかったのだと思います」だった。登坂の世界一への道は、入江を破ることだった。

■昨年とは出場選手のレベルも会場の大きさも違う今年の世界選手権

 その入江を全日本選手権と全日本選抜選手権で連破。今年は胸を張って出場できる世界選手権となった。世界選手権の価値に違いはないが、オリンピックの1ヶ月半後に行われた世界選手権と今年の世界選手権とでは、出てくる選手のレベルが違うのは明白。オリンピック後に休養した選手の何人かはマットに戻り、昨年より厳しい闘いが予想される。

 試合会場も、昨年は2面マットと仮設の観客席という小さなアリーナだったが、ブダペストのパップ・ラスロ・スポーツアリーナは代々木競技場第1体育館並みの広さ。選手に与える“圧力”も違ってくる。

 それは登坂も承知している。「どの国も強い選手でそろえてくると思う。去年は応援に来てくれた家族の顔が(マットから)見えて、心強かったです。今年は見えないでしょうね…」と気を引き締める。一方で、「ルールが変わって日本選手には有利になっている。自分自身も去年に比べれば成長している」と話し、今年は今年で世界のトップレベルにいる自分を感じている。

 過去一度も勝てなかった入江に連勝し、ユニバーシアードで全試合快勝できたという結果が、それを証明している。「技が増えたということはないと思いますが、栄監督から厳しく言われているタックルの処理などがかなりできるようになっています」という技術の成長に加え、自分で追い込めるようになった意識の変化が、それを支えていると分析する。

 先日の全日本学生選手権は51kg級に出場し、これまた圧勝優勝。勢いは最高についている。日本伝統の女子48kg級に、登坂が新たな歴史を刻む。

登坂絵莉(とうさか・えり=至学館大)  2年連続2度目の出場
  1993年8月30日生まれ、19歳(大会時20歳)。富山県出身。高岡ジュニア教室~愛知・至学館高卒。2010・11年全国高校女子選手権優勝を経て、2011年全日本選手権2位。2012年はアジア選手権3位、世界選手権2位。同年の全日本選手権で初優勝。2013年全日本選抜選手権も制して世界選手権出場を決めた。7月のユニバーシアードも優勝。8月の世界ジュニア選手権出場も決めている。152cm。

 ◎登坂絵莉の最近の国際大会成績

 《2013年》

 【7月:ユニバーシアード(ロシア)】=優勝(10選手出場)
 決  勝 ○[Tフォール、(8-0)]Patimat Bagomedova(アゼルバイジャン)
 準決勝 ○[フォール、(5-0)]Narangerel Erdenesukh(モンゴル)
 2回戦  ○[7-2]Victoria Lacey Anthony(米国)
 1回戦  ○[Tフォール、(7-0)]Valeriya Chepsarakova(ロシア)

 《2012年》

 【9月:世界選手権(カナダ)】=2位(16選手出場)   
決  勝 ●[1-2(0-2,2-3)]Vanesa Kaladzinskaya(ベラルーシ)
準決勝 ○[2-0(1-0,2-1)]Patimat Bagomedova(アゼルバイジャン)
2回戦  ○[フォール、2P0:50(1L-1,F4-0)]Jaqueline Saskia Schellin(ドイツ)
1回戦  ○[2-0(2-0,1-0)]Lenka Matejova(スロバキア) 

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 ◎登坂の世界選手権成績

 【2012年(カナダ)】=2位(16選手出場)   
決  勝 ●[1-2(0-2,2-3)]Vanesa Kaladzinskaya(ベラルーシ)
準決勝 ○[2-0(1-0,2-1)]Patimat Bagomedova(アゼルバイジャン)
2回戦  ○[フォール、2P0:50(1L-1,F4-0)]Jaqueline Saskia Schellin(ドイツ)
1回戦  ○[2-0(2-0,1-0)]Lenka Matejova(スロバキア) 


 







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