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2013.08.28

【特集】世界選手権へかける(8)…女子59kg級・伊藤彩香(至学館大)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=保高幸子)

 女子59kg級はオリンピック階級ではなかったが、正田絢子と山本聖子が世界一に輝くなど日本が得意とした階級。今年、その59kg級で世界選手権初出場を決めたのは伊藤彩香(至学館大=右写真)だ。

 「初戦からどんな強豪と当たるか分からない世界選手権です。攻めるレスリングができれば、たとえ負けても次に生かせると思う。タックルは得意ではないけど、崩して前に出れば、攻めるレスリングはできる」との気持ちで、初めての世界選手権へ挑む。

■2012年世界ジュニア選手権出場の好機を、急病で断念

 伊藤は三重・四日市市の四日市ジュニア教室でレスリングを始めた。女子が初めて正式種目となった2004年アテネ・オリンピックをテレビ観戦した小学生の時から、ばく然とオリンピックへの夢を持ち始めたが、中学時代はタイトルがなく、全国中学生選手権で3位が最高。学校の部活動ではソフトボールで遊撃を守っていた。

 「楽しくスポーツをやっていた」という女の子の意識が変わったのは、高校に入ってから。せっかく続けるのだから、「強いところでレスリングをしたい」と、至学館高校、そして至学館大学へ進学。めきめきと力をつけて、2009年にアジア・カデット選手権で優勝。

 大学へ進んでからの2011年にはアジア・ジュニア選手権で優勝。翌12年にはJOC杯ジュニア選手権で勝ち、世界ジュニア選手権の代表権を勝ち取った。

 それまでのアジアでの実績に加え、世界でも力を発揮したかったが、大会直前にマイコプラズマ肺炎を患ってしまい、出場を断念。その大会で伊藤の代わりに出場したのは55kg級の浜田千穂(日体大)。結果は優勝だった。1階級下の浜田が世界大会で優勝したというのは、「悔しかった」と振り返る。その分、今回の世界選手権で「私も、という気持ちです」と闘志を燃やす。

■この1年間で急成長し、世界の舞台へ

 昨夏のロンドン・オリンピックの時点では、「全日本選手権で優勝したいな」という気持ちで、まだまだオリンピックを具体的な目標としてとらえられなかった。その数ヶ月後の全日本選手権で優勝。決勝の相手は2010年にJOC杯で負けた坂野結衣(日大=当時東京・安部学院高)で、2年ごしにリベンジした形だ。

 全日本チャンピオンとなり、世界選手権代表がかかった今年6月の全日本選抜選手権は「チャンピオンなんだから勝たなければ、という気持ちでした」と、いつもとは違う緊張があったことを話す。加えて、準決勝の増田奈千(環太平洋大)戦で右肩を脱きゅうするアクシデント。棄権するかどうか迷い、世界選手権への道が断たれるピンチに陥った。

 しかし出場を決意。「負けてもともと、と開き直れたので気楽でした」と振り返り、坂上嘉津季(至学館大)との決勝は、けがのおかげでかえって気負いなく闘うことができた。終了間際に決まった首投げは「得意なわけではない」と話すが、それでも決められたのは勝負強さだろう。

 ロンドン・オリンピックからの1年間で、世界ジュニア選手権の断念を除けばトントン拍子に日本の頂点に駆け上った伊藤だが、「守ってカウンターでポイントを取る試合が多く、これではダメです。攻めるレスリングに変えようと思って練習しています」とさらに前進する構えだ。

■ユニバーシアードで世界のレベルの高さを痛感

 世界選手権出場を決めたあとに出場した7月のユニバーシアード(ロシア)では、1回戦で米国のアリソン・レーガンに黒星。敗者復活に回って1勝をあげたが、5位に終わった。「決勝に上がったレーガンがアゼルバイジャンの選手に圧倒されているのを見て、上には上がいるんだなと思いました」と、世界のすごさを実感した。

 「もちろん優勝したいけれど、最低でもメダルという目標です。レーガンにはリベンジしたい」。今やっている練習の成果を出せば、それはかなうだろう。

 3年後のリオデジャネイロ・オリンピックに向けて、今年の世界選手権で国内のライバル達に差を付けたいところ。宣言通りに崩して前に出るレスリングをし、2013年を本当の飛躍の年にしたい。

伊藤彩香(いとう・あやか=至学館大)   初出場
  1993年1月4日、三重県生まれ、20歳。三重・四日市ジュニア教室~愛知・至学館高卒。2009年アジア・カデット選手権優勝、2011年アジア・ジュニア選手権優勝と力をつけ、2011年の全日本選抜選手権3位、全日本選手権2位。2012年全日本選手権で優勝。2013年は1月にロシア最高レベルの国際大会と言われる「ヤリギン国際大会」で3位に入賞。全日本選抜選手権でも勝った。7月のユニバーシアードは5位。

 ◎伊藤彩香の最近の国際大会成績
 

 《2013年》
 
 【7月:ユニバーシアード(ロシア)】=5位(14選手出場)
3決戦  ●[3-7]Emese Barka(ハンガリー)
敗復戦 ○[フォール、(8-0)]Elizabeth Kate Milovitch-Sera(カナダ)
1回戦  ●[2-4]Allison Ragan(米国)
 
 【1月:ヤリギン国際大会】=3位
3決戦  ○[2-0(3-0,3-2)]Lyubov Oleynikova(ロシア)
準決勝 ●[0-2(1-2、TF0-8)]Anna Polovneva(ロシア)
2回戦  ○[2-0(2-0,3-0)]Anastasiya Vovchuk(ロシア)
1回戦  ○[2-0(TF6-0,3-2)]Dzhulija Satyinbekova(カザフスタン)

 

 







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