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2013.09.01

【特集】世界選手権へかける(10)…男子グレコローマン74kg級・金久保武大(ALSOK)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=増渕由気子)

 3度目の正直でメダルを取る-! 男子グレコローマン74kg級で3度目の世界選手権代表をつかんだ金久保武大(ALSOK=右写真)は、メダル獲得に燃えている。

 高校時代は柔道部に所属し、レスリングを始めたのは大学入学後で、競技歴は今年で8年。他の選手に比べると圧倒的に短いにもかかわらず、2010年は世界選手権初出場で5位となり、グレコローマンの新星として注目された選手だ。

 だが、グレコローマンの中量級は世界で最も競技人口が多いとされる激戦階級。真価が問われる翌2011年の世界選手権は2回戦敗退に終わり、その後のロンドン・オリンピック予選も勝ち抜けなかった。その屈辱をバネにし、3度目の世界選手権の今回は「メダル取りたいです」と表彰台を目指している。

■競技歴8年で、ピリオド制ルールしか経験がない

 世界選手権以外の国際大会の主な記録は、2012年のアジア選手権(韓国)での2位があるが、そのほかの国際大会では、まだ結果が出ていない。その理由として、金久保は、“国内での不覚”を挙げた。一昨年の全日本選手権では初戦で福田翼(当時拓大)に敗れて、一時はロンドン・オリンピック代表から遠ざかった(過去の実績で浮上)。

 昨年の全日本選手権は、第1シードながら、準決勝で当時高校教師だった井上智裕(現三恵海運)に敗れて3位に終わった。金久保は「(海外で勝てないのは)国内でぶっちぎりに勝ってないからですね」と、今後は国内でも絶対王者を目指したい気持ちを話した。

 そんな金久保にとって、今回は試練の大会になるかもしれない。2分3ピリオドの2ピリオド先取方式だったルールから、2004年のアテネ・オリンピックまで採用されていた2ピリオドの総得点を競う方式になったことだ。

 金久保は2004年のアテネ・オリンピックのレスリング競技をテレビ観戦して興味がわき、柔道からレスリングに転向した選手。多くの世界選手権代表はキッズや中学時代などにトータルポイント制のルールを経験しているが、「大学に入学した時は、すでにピリオド制ルールでした。旧ルールは、グラウンドの時間が基本ありましたので、グラウンド中心の練習をこなして、ここまできました。自分のレスリングを変えなければいけない」と話し、試練を迎えていることを告白した。

 「今のルールでは、6分間のうちグラウンドの攻防は1分くらい。スタンドで相手をテークダウンさせるか、優勢をとってコーションを取るしかグラウンドで攻撃することはできません」と、スタンドの重要度を話した。

 まずは構えから修正している。以前のスタンドではディフェンスが基本で、脇を閉めて前に出て後半勝負というのがセオリーだった。「新ルールでは、技の展開が必須なので、脇をしめるより、差して前に出るのが基本です」。

■スタンドからの攻撃で世界5位になったスタイルを取り戻せ!

 この未知のルールは、金久保にとって「吉」と出る要素がたくさんある。グラウンドが得意と自負する金久保だが、初出場で5位となった2010年の世界選手権は、スタンドからの投げ技が決まって勝ち進む姿が印象的だった。「全日本学生選手権を見ても、新ルールでは、投げ技が有効だと思ったので、磨いていきたい。投げ技(3点技)2回でテクニカルフォール勝ちというのも大きい」と、柔道時代の“貯金”という位置づけだった投げ技を、今後は自身の十八番として仕上げていく予定だ。

 やる気の源としては、7月下旬から8月上旬の韓国遠征の影響が大きい。約1年半ぶりの海外で刺激的だったことはもちろん、韓国チームの中には、ロンドン・オリンピック男子グレコローマン66kg級金メダリストのキム・ヒョンウ(今年は74kg級にエントリー)がいて、何度も手合せをする機会があった。

 「投げ、差し、くぐりタックルとなんでもできる選手でした。弱点がないのです。グラウンドもできる。僕はグラウンドが得意だから、グラウンドで勝負という考えがありましたが、何でもやれるようにならなければいけないと思いました」と、意識の向上につながったようだ。

 金久保がレスリングを始めるきっかけとなった憧れの日体大・松本慎吾監督は、「OBの僕にも、新ルールの対策をアドバイスしてくれるし、今でも練習の相手をしてくれる。本当に感謝です」と、金久保を技術的にもメンタル的に支えている。その松本監督の遺伝子を受け継ぎ、2010年には5年半のキャリアで世界の上位に食い込んだ。その金久保なら、このルール改正の向かい風を、追い風に変える力があるはずだ。

金久保武大(かなくぼ・たけひろ=ALSOK)   3大会連続3度目の出場
 1986年7月1日、神奈川県生まれ、27歳。東京・東海大付高輪台高~日体大卒。高校時代まで柔道選手。日体大へ進んでからレスリングを始め、2008年全日本学生選手権優勝。2010年には全日本選抜選手権で勝ち、世界選手権でも5位に入賞。2011年も世界選手権に出場した。2012年はアジア選手権2位のあと、ロンドン・オリンピック最終予選出場のチャンスをもらったが、生かせなかった。174cm。

 ◎金久保武大の最近の国際大会成績

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 ◎金久保武大の世界選手権成績

 ※2012年2月以降、なし

 【2011年大会(トルコ)】=23位(47選手出場)
2回戦 ●[0-2(0-2,0-3)]Peter Bacsi(ハンガリー)
1回戦 ○[2-0(1-0,2-0)]Hassan Shahsavan(オーストラリア)
 
 【2010年大会(ロシア)】=5位(39選手出場)
3決戦  ●[0-2(0-1,0-1)]Daniar Kobonov(キルギス)
準決勝 ●[0-2(0-4,0-1)]Arsen Julfalakyan(アルメニア)
4回戦  ○[2-1(2-0,0-1,3-0)]Roman Melyoshin(カザフスタン)
3回戦  ○[2-0(2-0,1-0)]Alexsandr Kazaevic(リトアニア)
2回戦  ○[2-0(1-0,2-0)]Petros Manoulidis(ギリシャ)
1回戦  ○[フォール、1P1:06]Tebitara Katea Ueresi(ソロモン)

 

 







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