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2014.07.30

【全国少年少女選手権・特集】質・量とも全国一へ! 総合格闘家・阿部裕幸代表率いるAACC(東京)


(文=樋口郁夫)

 全国から204クラブ1559選手が参加した今年の全国少年少女選手権。最多の選手数を出場させたのが地元東京のAACCで「41選手」。最多の優勝選手を輩出したのもAACCで「9選手」だった。出場選手数を競っている大会ではないし、少年少女レスリングの場合は勝敗がすべてではないので、この数字をもってどうこう論じるつもりは毛頭ないが、“創部14年目の努力の結晶”として評価することは、決して間違っていないだろう。

 チームを率いるのは、愛知・名古屋工高~拓大レスリング部OBの阿部裕幸さん。総合格闘家でもあり、修斗やDEEP、PRIDEのほか、打撃格闘技のK-1に出場した経験もあり、「阿部兄」として有名(注=弟も同様の道を歩んでいるため)。そんな阿部さんが格闘技のジムとしてオープンしたのがAACCで、自身のベースでもあるレスリングの普及と発展を願ってキッズ教室も開講した。

 阿部代表は41選手の参加について「自分のやっていたレスリングに少しでも貢献したいという気持ちや、自分の経験したこと、レスリングへの思いを伝えてきた。少しずつやってきた結果でしょうね」と、14年の活動の成果と振り返る。

 指導の主体は、レスリングの技の指導以上に気持ちの面。「気を抜かないこと。やると決めたら最後までやり通すこと。自分にうそをつかず、一生懸命にやること」などを重要視し、全力で取り組む姿勢を求めた。自身はキッズ・レスリングの経験はない。戸惑ったこともあっただろうが、「子供たちとの真剣勝負」を貫き、手抜きをすることなく選手と向き合ってきた。

■ビジネス・ベースのレスリング教室の走り

 キッズ・レスリング教室といえば、1990年代の終わりごろまでは学校の体育館やレスリング場を無料で借りたり、市民体育館の一室を安価で借りての教室がほとんど。スポーツクラブの教室のひとつとしてのキッズ・レスリング教室もあったが、わずかであり、月謝は500円や1000円、中には無料というクラブが大半だった。

 その後、総合格闘技の隆盛に乗って高田道場(高田延彦代表)などの総合格闘技の道場が多く生まれ、ビジネス・ベースとしてのキッズ・レスリング教室が次々と誕生。AACCは「ゴールドジム」というフィットネスクラブのスペースを借りて運営しており、新しい形のレスリング教室の先がけといえクラブ。月謝は8000円で、スタート当時は相場よりかなり高い金額だった。

 だが、こうしたクラブが14年間も続き、普及でも強化でも成果をあげたことは、こうしたクラブの存在も完全に”市民権”を得たことを意味する。今後は少年少女クラブのモデルケースとなることだろう。阿部代表は「ボランティアでキッズ選手を育成することを否定しません。とても大事な存在だと思います。一方で、『お金をもらっている分、プロの仕事をするんだ』という気持ちでやるクラブがあってもいい。私は、そうした気持ちでやってきました」ときっぱり。

■今後も「レスリングを通じて心と体を強くする指導方針を貫く

 確かに、ボランティアなら、事がなあなあで進むこともありえるし、子供に厳しくできない時もある。責任の所在があいまいになる場合もある(ただし、スポーツに限らず、責任をとろうとせずトカゲのしっぽ切りに走るプロ幹部は少なくない)。阿部代表の「子供たちと真剣勝負」という言葉は、強烈なプロ魂にほかなるまい。阿部代表はキッズ指導のセミナーに参加したり、指導書を熟読したり、先輩指導者の話を多く聞くなど、指導について最善を尽くしてきたと自負している。

 キッズ教室は週6回やっており、その気になればすべてに参加することもできる。しかし、「小学生は週2、3回が適当ではないでしょうか。やりすぎて燃え尽きてもよくないです」と、練習日を強制していない。「楽しくやらせることが大事ですね。ウチの練習が楽しいかどうか分からないですけど(笑)」と話し、レスリングを通じて心と体を強くしていくことが今後も変わらない方針だ。

 「心と体のどちらかが駄目ではよくない。両方とも強くなっていける子供たちを育てたい。レスリングの強さだけでなく、あいさつ、礼儀、元気があるといった子供になってほしい。強さなら、高校でも大学でも強くなれるんです。小中学生はそのべ―スを作る時期だと思います」と言う。

■総合格闘家間のライバル意識で、レスリングの発展へ

 阿部代表自身は、2012年9月以来、2年近くプロのリングで闘っていない。しかし、「まだ引退はしていませんので、気が向いたら闘います」と、総合格闘家としての魂も持ち続けている。ならば、宮田和幸(BRAVE)、山本KID徳郁(KRAZZY BEE)、永田克彦(レッスルワン)など、総合格闘技の道場を経営しつつキッズ・レスリングへも参加している人たちへのライバル意識はあるのだろうか。

 「ないことはないでしょうね。弟子同士が総合で闘うこともありますし。お互いに『負けない』という気持ちで頑張り、レスリングも総合も盛り上がってくれればいいんじゃないでしょうか」。

 日本レスリング界の生みの親、故八田一郎会長は「プロとアマは車の両輪」と言って、プロの発展にも寄与した。レスリングと総合も車の両輪。AACCの挑戦が、双方の発展につながることを願いたい。


 







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