全国高校生グレコローマン選手権の60kg級は、昨年は55kg級で2回戦敗退だった瀬野春貴(愛知・星城)が優勝。愛知県勢としては2007年以来の優勝を遂げた。
今年も、全国高校選抜大会は3回戦敗退、インターハイは2回戦敗退だった。瀬野は「3年間やってきて、やっと、という感じです。1年生の時から全国優勝が夢だった。やっとかなえられました」と、舌も滑らかに優勝の喜び。
決勝の相手の嶋江翔也(佐賀・鳥栖工)は、昨年のJOC杯カデット・グレコローマンで優勝し、インターハイで2年連続2位に入賞するなど全国的に名前の通っている選手。しかし、「やってきたことを全部出してやる」と思って臨んだので、「特に緊張はありませんでした」と言う。
試合は首投げの投げ合いに勝ってポイントを先行し、追い上げられながらもリードを守り切った展開。リードしても、「守るという気持ちではなく、前へ、前へと出る気持ちだった。観客のみんなに自分の技を見せてやる、という気持ちでした」と振り返り、前向きな気持ちが勝利につながったことを強調した。
前日の準決勝までの5試合では、3回戦で闘った佐々木巧海(群馬・館林)戦が唯一の判定で、あとはフォールかテクニカルフォール勝ち。「3回戦はきつかったですね」と言いながらも、6-0での勝利であり、失点のない快勝と言える試合だった。「自分を信じてやってきたことが、優勝につながったと思います」と言う。
今月のインターハイは、2回戦で優勝した米澤圭(秋田・秋田商)に敗れた。1年生の国体からグレコローマンに出場するなど得意なスタイルはグレコローマンだが、専門外のフリースタイルであっても、負けたのは悔しい出来事。「インターハイを取れなかった以上、この大会は絶対に勝つという気持ちでした」と言う。
この優勝で、10月の国体(長崎)での優勝も見えてきた。「攻めのレスリングを忘れず、どんな状況でも攻めて自分のレスリングができるように鍛え直したい」と話し、グレコローマンのタイトル連取へ向けて燃える。
卒業後もグレコローマンに専念すべく、日体大への進学を決めている。「日体大のグレコローマンのイメージは?」との問いに、苦笑いを浮かべ、しばし沈黙のあと、「強い、厳しい」という答。「その中に、あえて飛び込む理由は?」との問いには、「強くなりたいからです。日本一、世界一になりたいからです」と即答した。
星城の先輩には昨年の世界選手権フリースタイル60kg級代表の前田翔吾(クリナップ)がいて、目標としている。愛知県からは、男子フリースタイル74kg級の山中良一(日体大助=名古屋工卒)も今年のアジア選手権(カザフスタン)で銅メダルを獲得し、世界へ飛び立とうとしている。身近な先輩を目標に、世界への挑戦が本格的にスタートした。