■高橋侑希の2014年世界選手権成績 3決戦 ●[4-7]Hassan Sabzali Rahimi(イラン) 敗復戦 ○[5-0]Kim Sunggwon(韓国) 3回戦 ●[1-9]Yang Kyon Il(北朝鮮) 2回戦 ○[Tフォール、3:40=10-0]Shokan Shingissov(カザフスタン) 1回戦 ○[11-4]Nasibullo Kurbanov(ウズベキスタン) |
高橋 相手は去年の世界チャンピオンで、どこまでできるか、という楽しみがあったが、負けて悔しいという部分もある。接戦というか、けっこういい勝負ができたのは自信になった。優勝した北朝鮮が5試合闘い、自分も形は違うけど5試合闘い、その部分では同じことができた。(2011年世界選手権での)ロンドン・オリンピックの出場枠は5位以内だったので、それをクリアできたことは自信になる。この成績では満足はしていないけれど、来年の世界選手権へ向けて大きく前進した。来年まで時間はあるので、修正すべきことがいくつも出てきて、コーチから詰めの甘さなど多くの課題を挙げられたけれど、それを克服していきたい。
――3位決定戦の相手のラヒミ(イラン)とは、冬のイラン遠征で練習したのですか?
高橋 練習しました。どういう選手かも知っていたし、ビデオでも得意技を研究していた。それでも相手の実力が上回った。そこを勝ち抜くには、さっきも栄強化委員長から言われましたが、気持ちの問題。実力が競っていたり、同じ実力だったら、気持ちの強い方が最後は勝つ。オリンピックまで強い気持ちを持って向上していきたい。
――(相手の)度重なる目突きは影響しましたか?
高橋 やりすぎですよね。でも、(相手に)コーション2つ付いたので、あと一回やってくれば警告勝ちだ、という気持ちもありました。弱気となるのかな? 難しいところですね。それも相手のうまさでしょう。負けた選手が何を言っても言い訳です。間合いは確かにうまい選手です。
――詰めの甘さとは、負けた2試合がともに最後の1分の段階で勝っていたのに負けてしまったことを意味するのか?
高橋 後半の試合運びが甘いことは確か。後半になると、焦りとか、追いつかれたら、といった弱気の部分が出てくる。そういう点が敗因だ、
――3位決定戦で4-2となった時、「いける」という気持ちだったのか?
高橋 バーンとタックルを取れたので、いけるかな、と思った。そこで守りの部分が出てきたことが悔しい。自分の弱いところを知り、改善すれば、今後につながる。弱いところをできるだけ知りたい。同じ過ちをおかしたら、この世界選手権が無駄になってしまうので、学んだことを次につなげたい。
――全試合を通じて、攻撃レスリングはできていたのではないか。
高橋 自分から攻めることはできました。海外での試合を経験していくことで、試合運びは着実に海外慣れしていると感じている。
――外国選手との差は、残る期間で埋められると感じているか?
高橋 埋められると思う。できない差と思ってしまってはそこで終わり。目標は高い方が達成しがいがあるし、上へ行けると思う。あと2年で、どれだけ差を詰められるかが、オリンピックのメダルにつながると思う。
――軽量級の期待というプレッシャーは?
高橋 切りこみ隊長とか期待はされていたけど、自分のことに専念できたので、そういうプレッシャーは正直なかった。
――地元の声援とはどうでしたか?
高橋 一発目が地元の選手で、すごい応援でした。「さすが地元だな」とは思ったけど、あまり緊張はなかった。アウェーで勝つのは気持ちがいい。それにしてもすごい応援だった。この国ではレスリングは人気のスポーツなんだな、と思いました。
――この成績は自分の実力そのものと思うか。
高橋 そうですね。実力が出せたと思う。100パーセントの力を出せたと思うが、勝つためには120パーセントの力を出さなければならないと思う。その差は、ラヒミやヤン・ギョンイル(北朝鮮)との差だったと思う。それを直していくのがこれからの練習だ。帰国して(山梨学院大の)高田監督にビデオを見てもらって、しっかり修正していきたい。
――決勝を見て感じたことは?
高橋 精神面ですね。お互いきつい中で闘い、どちらの心も折れていないけど、より強くもっていた北朝鮮が勝ちましたね。
――最後に、3位決定戦で「KAMOI」と書いてあるシングレットを着ていた理由は?
高橋 盗まれたんです。審判長にOKをもらって、出場させてもらいました。
栄和人委員長の話 紙一重の差だった。初出場でここまでできたことを評価したい。福田会長がいつも言われているように、最後は気落ちの問題。気持ちを強くすることで、優勝できる。
(注)北朝鮮の「Yang Kyon Il 」は、これまで「ヤン・キョンイル」と表記してきましたが、本人に確認したところ、「ヤン・ギョンイル」という発音に近いため、「ヤン・ギョンイル」と表記します。