日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2014.09.17

【世界選手権・特集(インタビュー)】「オリンピックの中核競技に戻ることは間違いありません」…UWWネナド・ラロビッチ会長

  日本協会は世界選手権最終日の9月14日、世界レスリング連合(UWW)のネナド・ラロビッチ会長(セルビア)との単独インタビューを実施。今後のレスリングの発展やオリンピック中核競技への復帰などを質問した。(聞き手=富山英明、樋口郁夫、通訳=筒井穣)


 ――昨年はオリンピックにおけるレスリングを守ってくださり、ありがとうございます。

 ラロビッチ会長 こちらこそ、みなさんの協力に感謝したい、

 ――今回のUWWの総会で会長に再選されました。これから6年間の任期で(これまでは前会長の残り任期1年4ヶ月間の会長)、本当の意味で改革を実行するべき時だと思います。どのような改革をお考えになっていますか。

 ラロビッチ会長 常に改革していきたい。きのうもUWWの会議があった。富山理事とも協力してやっていきたい。常にノンストップで活動し、スポーツとしての質の高いレスリングを目指したい。観客を引きつけるスポーツにしていきたい。伝統は大事だが、変えることを恐れてはならない。それは毎日考えている。寝ている時間はないくらいだ(笑)。

 ――オリンピックの中核競技に戻すために、一番重要なことは何でしょうか。

 ラロビッチ会長 中核競技に戻ることに対する心配はない。いつ、どういう方法で戻るかだけが問題で、戻ることは間違いないと思っている。国際オリンピック委員会(IOC)は現在、オリンピックの競技数や種目数の見直しをしている(オリンピック・アジェンダ2020)。この流れはチャンスだ。いまは下手に動かず、IOCの動きを見ている。

 ――今年から採用された新しい階級についてですが、なぜ男子のフリースタイルとグレコローマンで階級区分が違うのでしょうか。

 ラロビッチ会長 日本は反対ですか? 

 ――反対というより、「なぜ?」という疑問を持った人がほとんどだと思います。

 ラロビッチ会長 フリースタイルの選手とグレコローマンの選手で体格や体力が違うので、この階級区分を取り入れた。最重量級はグレコローマンの方を重くした。

 ――オリンピック実施は各スタイルとも6階級と決まった。世界選手権などでのみ実施する2階級を増やしたのは、なぜですか?

 ラロビッチ会長 各国とも世界チャンピオンは価値が認められる。褒賞金や強化費が出て、選手にとって大きなプラスがある。そこで、世界チャンピオンの数は多くした。多くの国から要望があった。

 ――オリンピック予選となる来年の世界選手権の場合、非オリンピック階級の各2階級は、レベルが低くなってしまう可能性がある。世界チャンピオンの価値が下がりませんか?

 ラロビッチ会長 それはあるかもしれないが、世界一は世界一だ。それで国からお金が出て、その選手が頑張れるのなら、それでいいと思う。あと(非オリンピック階級の)だれがどの階級に移るかという興味も出てくるので、それは面白いと思う。他の格闘技も、そうなっているのではないか。オリンピックはIOCによってメダルの数が決められているが、UWWはUWWで階級を設定していくのでいいと思う。

■柔道=男女各8階級のうち、オリンピックは無差別級を除いた男女各7階級  
■テコンドー=男女各8階級のうち、オリンピックでは男女各4階級を実施
■ボクシング=女子12階級のうち、オリンピックでは3階級を実施(男子は、かつては一般もオリンピックも12階級あったが、現在はともに10階級)

 ――男女24階級となると、世界選手権の7日間での実施は厳しいのではないか。

 ラロビッチ会長 確かに(選手が)多すぎる。4面マットでやると試合が見づらくなるし、3面マットだと時間がかかる。どうしたらいい? 理事会で考えていきたい。1000人もの選手が集まってやるのは厳しいので、以前のように各スタイルごとに世界選手権をやることも考えている。1スタイルずつではなく、例えばグレコローマンと女子を一緒にやり、フリースタイルとトラディショナルレスリングを一緒にやることも一案だ。普及のために、いろんなところで開催できることになる。日本なら1日は相撲を入れるのでもいいのではないか。他のスポーツからも観客が来てレスリングを見てくれれば、ファンも増えると思う。レスリングはオリンピックスタイルだけではない。歴史に裏付けられたトラディショナルレスリングもあり、それらの普及のために、そうしたやり方も考えている。レスリングは世界の人たちのスポーツ。われわれのファミリーは非常に大きい。

現在、UWWはオリンピックの3スタイルのほか、トラディショナルレスリング、パンクラチオン、ベルトレスリング、ビーチレスリングをレスリングスタイルとして認定している。

 ――組み合わせ方式の変更はありますか? 

 ラロビッチ会長 1日に5試合も6試合もやるのは疲れてしまう。決勝はお互いに疲れているので、試合内容のレベルが低い場合が多い。昔みたいに2日間に分けてやるのがいいと思う。あと、国によっては毎年世界選手権に出てくるのは金銭的にきつい場合があるので、世界選手権を2年に1回にすることも考えたい。オリンピックの翌年にやり、中間年にワールドカップ、オリンピック前年に世界選手権。ただし、これはシニアの話。カデットやジュニアは試合を多くした方がいい。世界選手権ではなく、大陸選手権や地域的な国際大会を多くやって若い選手に国際舞台を多く経験させることがいいと思う。

 ――昨年のIOC総会(アルゼンチン)の時、「女子はなぜグレコローマンがないのか?」という質問が出ました。いずれ女子もグレコローマンを実施することになるのでしょうか。

 ラロビッチ会長 女子レスリングは1980年頃、フランスで始まりましたが、その時は、実はグレコローマンだったのです。北欧へ広がり、アメリカンの文化が流れてきたのでしょう、女子はフリースタイルでやろうとなって、フリースタイルでの実施となって発展しました。女子のグレコローマンは観客の興味を引かないのではないでしょうか? あと、そり投げのような技があるので、女性には危険だと思う。

 ――IOCは男女平等の理念のもと、すべての競技に対して男女同一種目(階級)数を求めていると聞いています。男子12階級、女子6階級という状況のままで大丈夫なのでしょうか。

 ラロビッチ会長 今のところ、何が何でも同一階級数とまでは言われていない。

 ――7月の世界ビーチ選手権(ギリシャ)の際、「カデットはスタンド戦のみ」という案を持っているとの記事を読みました。実現へ向けて動いているのでしょうか。

 ラロビッチ会長 グレコローマンはスタンド戦を重要視したい。寝てやるものではない。ただ、グラウンドをすべてなくするのではなく、パーテールポジションの状況をつくって試合を再開することを廃止したいという意味だ(注=昨年の世界カデット選手権では、テスト的にこのルールが採用されていた)。スタンド状態から投げでグラウンドに移行し、フォールを狙うことまで廃止する意味ではない。

 ――2004年アテネ・オリンピックを最後にオリンピックの開催国枠がなくなりましたが、2020年東京オリンピックでも同じですか。

 ラロビッチ会長 IOCの決定です。東京オリンピックの出場枠決定方法は2017年ごろに決まります。日本が全階級で出場できることを祈っています。


 







JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に