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2014.12.19

【特集】新人選手権2階級制覇でスランプ脱出!…男子フリースタイル57kg級 ・樋口黎(日体大)

(文=保高幸子)

 出場する選手の平均年齢が「22歳」と若い今年の全日本選手権・男子フリースタイル57kg級。世界選手権(ウズベキスタン)で5位に入賞した21歳の高橋侑希(山梨学院大学)と世界学生選手権で優勝した22歳の森下史崇(ぼてぢゅう&Bum's)がその筆頭だが、高校時代からの注目度という点では18歳の樋口黎(日体大)も負けていない。

 「高校生で史上最強の年代」と言われた昨年の高校トップ選手の一人。実績だけなら、高校2年生の時から全日本選手権への出場資格(インターハイ王者など)を満たしていたが、「18歳以上」という年齢制限により、2年生の時のみならず、早生まれのため3年生の昨年も大会には出場できなかった逸材だ。

 大阪・吹田市民教室時代は全国少年少女選手権を5度優勝。中学時代にはずば抜けた台頭はなかったが、茨城・霞ヶ浦高校に進学し、2年生の夏以降、負けなしの快進撃。3年生の昨年は高校三冠王者(全国高校選抜大会、インターハイ、国体)へ。JOC杯カデットと団体を含めれば6冠王者となり、期待のスーパールーキーとして日体大に進学した。

■「勝って当然」という期待に対し、力が入りすぎた?

 しかし、大学ではとんとん拍子とはいかず、ここまで優勝は新人選手権のみ。今年6月には強化委員会の推薦で初めての全日本レベルの大会(全日本選抜選手権)に出場し、全日本トップを脅かすかと期待されたが、初戦で高橋と対戦し、高橋の意地を破れなかった。シニアの洗礼を受けたというところだ。

 8月の全日本学生選手権(インカレ)では、準決勝で先輩の山崎達哉に敗れた。一緒に練習している先輩であり、お互いに手の内を知っていて闘いにくかったこともあるだろうが、「(インカレ前に行われた日体大の)草津合宿あたりから自分のレスリングができず、スランプ気味だった」と話す。11月の全日本大学選手権では61kg級に出場し、世界選手権同級代表の鴨居正和(山梨学院大)に敗れた。

 周りからの「勝って当然」という期待に対し、力が入りすぎたことがスランプの一因だったかもしれない。しかし、11月下旬の秋季新人選手権の時は、「階級も一つ上だし、楽しむことだけ考えて闘おう」と思えるようになった。スランプを脱出し、春季(57kg級)・秋季(61kg級)とも新人選手権を優勝でまとめた。

 全日本選抜選手権では、高橋に負けはしたが、スコアは8-10と大接戦を演じており、評価は下げていなかった。直接の対戦を経験し、「差はそれほどないと感じた」と言う。高橋が世界選手権で5位に入賞したことは、樋口の実力も世界で通用する可能性があることを意味する。

 アジア大会(韓国)は現地に行き、優勝したヨン・ハクジン(北朝鮮)や昨年の55kg級世界チャンピオン、ハッサン・ラヒミ(イラン)のレスリングを間近で見て、自分が代表として闘ったらどうなるか、シミュレーションができた。シニアや学生レベルのタイトルとは無縁だったが、実りあるここまでをおくってきた。

■「世界で一番になりたい気持ちは誰にも負けません」

 スーパールーキーとして注目される樋口だが、「自分がどうやったら強くなるか、ということを考えているので、周りのことは気になりません」と平常心を強調。大学では、今まで無とんちゃくだった食事や睡眠にも気を遣うようになった。

 「勝つためにやることは練習だけじゃない」と学び、高校時代からはずいぶん成長。「負けたことで、全日本選手権に向けて徹底的に研究し、見直しをしてきました」と、敗戦も無駄にしていない。

 同級は、2012年ロンドン・オリンピック銅メダルの湯元進一(自衛隊)が復帰し、2度目のオリンピック出場を狙っている。練習では、湯元進一の双子の兄の湯元健一コーチに相手をしてもらうこともあるそうだが、樋口が負けてしまうとのこと。それでも、「本番に強いタイプ」と自負しているので気にはならず、いい練習ができている。

 層の厚い階級だけに、待ち受ける強豪は高橋、森下、湯元だけではない。全日本大学選手権では中村倫也(専大)に打倒高橋を実現されるなど、多くの強豪が待っている。「今年は(スランプに陥って)いろいろありましたが、全日本選手権で勝てばすべてよしとなる。今年一番の大事な勝負です。勝って、来年の全日本選抜選手権、世界選手権へとつなげたい。日本代表として闘える自信もあります」と準備はできている。

 「世界で一番になりたい気持ちは誰にも負けません。2020年東京オリンピックでの金メダルが最終目標です」と樋口。そのためにも、日本で勝たなければ道は開けない。持ち前の勝負強さで、まず目指すは全日本制覇。少し寄り道した樋口だが、白星街道に帰還できるか? 今年の集大成を全日本選手権で魅せる!


 







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