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2014年世界選手権/女子展望

 昨年の世界選手権で2階級を制した中国の動向が分からないものの、残る5人の世界チャンピオンは出場する。吉田沙保里(ALOSK)と伊調馨(ALSOK)は、ともに階級を落とし、それぞれ53kg級、58kg級という新たな階級で世界一を目指す。

 最大の激戦が予想されるのが48kg級。一昨年2位、昨年優勝の登坂絵莉(至学館大)に、出産で休養していた2012年ロンドン・オリンピック2位のマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)が挑む。復帰後の国際大会で優勝を重ねるスタドニクに対し、登坂はチャンピオンの座を守れるか。

 69kg級も、昨年の67kg級世界チャンピオンのアリナ・マキニア(ウクライナ)と、ロンドン・オリンピック72kg級優勝で昨年72kg級2位のナタリア・ボロベワ(ロシア)が激しく争いそう。3月のワールドカップ(東京)でボロベワを破った土性沙羅(至学館大)が、それを再現できるか。

 72kg級には2006年から2012年まで常に世界一を争っていたスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)が復帰参戦。往年の強さを見せて6度目の世界一なるか。

 各階級のエントリー選手は下記の通り。


 ◎女子

 【48kg級】

 昨年の世界選手権は出産で不出場だった2012年ロンドン・オリンピック2位のマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)がエントリー。昨年の世界選手権48kg級優勝の登坂絵莉(至学館大)に挑む。

 スタドニクは復帰後の今年、2月のパリGP、3月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)、4月の欧州選手権、6月のドイツGP、7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)と優勝を続け,FILAランキングは登坂を追い抜いて1位となった。登坂は、最高に昇り調子の25歳を相手にどう闘うか。

 昨年の世界選手権48kg級3位のアリッサ・ランプ(米国)あたりが、どう闘うか。中国のエントリーは不明で、アジア大会のからみもあるので読めないが、昨年の世界選手権51kg級優勝でワールドカップは48kg級に出場した孫亜楠(サン・ヤナン)が出てくれば、やはり上位進出が見込まれる。


 【53kg級】

 階級を落とした吉田沙保里(ALSOK)に挑む代表格は、昨年の世界選手権55kg級決勝で闘ったソフィア・マットソン(スウェーデン)と、今年の欧州選手権優勝のマリア・グロバ(ロシア)。マットソンは7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)で入江ななみ(九州共立大)に敗れているものの、欧州選手権55kg級で優勝しているなど地力は十分。吉田は2人の欧州チャンピオンを相手にどう闘うか。

 昨年の世界選手権51kg級2位のスミヤ・エルデネチメグ(モンゴル)も要注意だが、伏兵の怖さでは欧州選手権2位のマリア・プレボララキ(ギリシャ)だろう。2012年ロンドン・オリンピック55kg級11位、昨年の世界選手権55kg級9位ながら、今年は1月のヤリギン国際大会(ロシア)で2位となり、欧州2位を経て7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)で優勝した22歳。伸び盛りの選手だ。

 今月のポーランド・オープン決勝でエルデネチメグを破って優勝した中央アメリカ大会優勝のベチャベス・アルグエロ(ベネズエラ)も力をつけている。決勝のマットで吉田に立ちはだかるのは、意外な選手の可能性もある。


 【55kg級】

 「歴史的な出来事となるか」と注目されているのは、2012年ロンドン・オリンピック55kg級8位、昨年の世界選手権55kg級10位のマルワ・アミリ(チュニジア)。今年3月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)とアフリカ選手権、6月の地中海大会58kg級(セルビア)、7月のスペインGPとオリンピア国際大会58kg級(ギリシャ)で優勝を重ね、現在、FILAのランキング1位。「アフリカ初の女子世界チャンピオン誕生か?」の期待がかかる選手だ。

 浜田千穂(日体大)が7月の世界学生選手権とゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)で優勝した伸び盛りの実力を発揮し、アフリカの野望を打ち砕くか。

 今月のポーランド・オープンでアミリを破ったイリナ・オロゴノワ(ロシア)や。1月のヤリギン国際大会(ロシア)2位のザリナ・シダコワ(ベラルーシ)らの上位進出あるか。ともにヤリギン国際大会では村田夏南子(日大)にテクニカルフォール負けしている選手であり、地力は浜田の方が上だろう。


 【58kg級】

 階級を下げ、1月のヤリギン国際大会で“試運転”に成功している伊調馨(ALSOK)に挑む一番手は、昨年の世界選手権55kg級3位、吉田紗保里を倒したこともあるバレリア・コブロワ(旧姓ジョロボワ=ロシア)。階級を上げての闘いを決めた今年は、2月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)で2位だったが、4月の欧州選手権と8月のポーランド・オープンで優勝し、この階級での実力を見せた。

 2009年に59kg級で世界チャンピオンに輝いているユリア・ラトケビッチ(アゼルバイジャン)が両者にどうかかわるか。昨年の世界選手権は59kg級で3位。その後、同年のゴールデンGP決勝大会59kg級(アゼルバイジャン)で優勝し、今年7月の同大会は60kg級で優勝と力を見せている。体重調整がしっかりいけば、優勝争いに加わる力は十分。

 7月の世界学生選手権優勝のエメセ・バルカ(ハンガリー)、同月のゴールデンGP決勝大会優勝のアンナ・バシレンコ(ウクライナ)らも上位進出の可能性はあるが、前記の3選手とは差があるのではないか。


 【60kg級】

 昨年の世界選手権59kg級優勝のマリアンナ・サスティン(ハンガリー)を優勝候補に推したいところだが、その後の8度の国際大会での優勝はなく、3位以内に入賞しているのも3大会。安定性に欠ける。

 昨年2位のタイベ・ユセイン(ブルガリア)、ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)2位の坂上嘉津季(至学館大)、欧州選手権優勝のヨハンナ・マットソン(スウェーデン)、パンアメリカン選手権優勝のミッチェル・ファザリ(カナダ)、エントリーはまだが出場の可能性のある2012年世界選手権59kg級優勝&今年のアジア選手権優勝の張蘭(ラン・チャン=中国)など、多くの選手に優勝の可能性がありうる混戦階級だ。


 【63kg級】

 不動のチャンピオンに君臨していた伊調馨が抜けた階級。優勝候補は欧州チャンピオンのアナスタシヤ・グリゴルイェワ(ラトビア)と、2012年世界選手権優勝で昨年3位のエレナ・ピロズコワ(米国)だろう。

  グリゴルイェワは欧州選手権以外に、昨年11月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)、今年2月のパリGP、3月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)でも優勝しており、FILAのランキング1位の選手。ピロズコワは、7月にスペインGP(スペイン)とゴールデンGP決勝大会で優勝しており、昇り調子。

 2009年の59kg級世界チャンピオンで昨年2位のバチェチェグ・ソロンゾンボルド(モンゴル)は、今月のポーランド・オープン(ポーランド)で優勝しており、強さを維持している。昨年の世界選手権同級5位のジャクリン・レンテリア(コロンビア)が、世界選手権のあと、6度の国際大会で5度優勝し、勢いがある。

 渡利璃穏(アイシン・エィ・ダブリュ)は、昨年のゴールデンGP決勝大会でグリゴルイェワに、今年3月のワールドカップ(東京)でピロズコワに敗れているが、前者の大会でソロンゾンボルドには勝っている。現段階では3番手くらいには位置しており、2人にリベンジしての優勝なるか。


 【69kg級】

 今年3月のワールドカップ(東京)では、土性沙羅(至学館大)が2012年ロンドン・オリンピック72kg級優勝のナタリア・ボロベワ(ロシア)を破った。快挙を汚す意味はないが、団体戦のチームの勝敗が決まったあとの試合だったことを差し引いて考えねばなるまい。ボロベワは、69kg級で1月のヤリギン国際大会(ロシア)、4月の欧州選手権(フィンランド)、今月のポーランド・オープンと優勝を重ねており、やはり優勝候補の筆頭だろう。

 昨年67kg級優勝のアリナ・マキニア(ウクライナ)、ゴールデンGP決勝大会優勝のジェニー・フランソン(スウェーデン)、同2位のオドンチメグ・バドラク(モンゴル)、世界学生選手権優勝のドロシー・イェーツ(カナダ)らとともに、土性がどんな闘いを見せるか。


 【75kg級】

 昨年72kg級優勝の中国のエントリーが不明。アジア大会にベストメンバーの可能性がある。同2位の選手は69kg級へエントリー。

 参加が予定されている中で、ずば抜けた実績を持つのが世界選手権5度優勝のスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)。2012年ロンドン・オリンピック2位のあと、今年復帰し、4月の欧州選手権で優勝した。7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)では3位に終わったが、往年の強さを見せられるか。

 世界学生選手権優勝のエリカ・ウィーベ(カナダ)は、今年3月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)など昨年12月から国際大会を7大会連続で優勝し、FILAのランキング1位。勢いがある。エカテリナ・ブキナ(ロシア)は欧州選手権は3位ながら、今月のポーランド・オープンで優勝した。ともに優勝候補といえるだろう、

 ゴールデンGP決勝大会でズラテバを破ったアデライン・グレイ(米国)、そのグレイを破って優勝した鈴木博恵(クリナップ)にも、当然、優勝の期待が出てくる。

2023年世界選手権/激戦の跡
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