日本対策を積んでいるロシア…ロシア遠征の女子チームが帰国

銀メダルの向田真優（右＝ＪＯＣエリートアカデミー／東京・安部学院高）と銅メダルの宮原優（東洋大）

　ロシア・クラスノヤルスクで行われた「ヤリギン国際大会」に出場した女子チームが１月26日、成田空港着のアエロフロート航空で帰国した。53kg級の向田真優（ＪＯＣエリートアカデミー／東京・安部学院高）が銀メダル、48kg級の宮原優（東洋大）が銅メダルという結果だった。

　山本英典監督（自衛隊）は、昨年の「金４個、銅１個」に及ばなかった事実に、「結果を出せなかった」と表情は今ひとつだったが、「高校生３人を含めた若いメンバー。東京オリンピックへ向けての若手の強化という点で収穫はあったと思う。２位になった向田は（３回戦で）けがをしたにもかかわらず、攻撃を続けていい内容だった」と振り返った。

　上位進出はならなかったが、69kg級で古市雅子（ＪＯＣエリートアカデミー／東京・安部学院高）もロンドン・オリンピック72kg級優勝のナタリア・ボロベワ（ロシア）相手に積極的にタックルに入ってポイントを取っており、キャリアの差を考えれば「すごくいい試合をした」と褒めた。

　アジア大会チャンピオンとして臨んだ63kg級の渡利璃穏（アイシン・エィ・ダブリュ）は２回戦で世界選手権３位のアナスタシャ・グリゴリェワ（ラトビア）に１点差で敗れた。「接戦だった。勝ち切る力をつければ世界３位が見えてくるが、勝てなければメダルは見えてこない」と、紙一重の壁の打破を要望した。

　ロシア選手は、日本選手以外と闘う時はかなりタックルに入るが、日本選手とやる時は組みついてきて投げを狙うなど、闘い方が違っているという。そのため、組みつかれる前にタックルに行ける選手は勝てるが、組み合いにつき合ってしまう選手は勝てなかったという。日本選手の闘いはかなり研究されているようだ。

■ＪＯＣアカデミーの現役、ＯＧがメダル獲得

　シニア初の国際大会で銀メダルを獲得した向田真優（ＪＯＣエリートアカデミー／東京・安部学院高）は、アジア大会48kg級３位のカザフスタン選手との３回戦で胸骨を負傷。棄権も考えられた状態だったが、次の試合で2013年世界選手権51kg級２位のスミヤ・エルデネチメグ（モンゴル）を７－４で下し、決勝進出を果たした。

ロシア遠征を終えた女子チーム

　相手のオルガ・ホロシャフツェワ（ロシア）は55kg級で欧州ジュニア選手権に優勝している選手。ただでさえパワーの差があったが、負傷のため力が入らなかったという。「力を出し切れなかったことは悔しい」と残念そうだが、全体として考えれば、「とてもいい経験。シニアのレベルを知ることができて勉強になりました。次につながる試合ができました」と収穫は多かった。

　来月のクリッパン女子国際大会（スウェーデン）の派遣メンバーにも選ばれており、「けがを直し、今回できなかったことをやりたい」と、約２週間後の闘いが待ち遠しそう。

　バッティングで左目の周囲に紫色のあざをつくりながらも銅メダルを確保した48kg級の宮原優（東洋大）は、２回戦で昨年11月のロシア・オープン選手権優勝のバレンチナ・イスラモワ（ロシア）に惜敗して決勝進出ならなかった。昨年秋のロシア遠征でも練習試合をした相手。その時は動きで勝負して勝てたが、今回は最初にツーオンワンからの投げで４点を先制され、４－４まで追い上げたが届かなかった（チャレンジ失敗で４－５へ）。

　「タックルのこらえ方が日本選手とは違う」そうで、そうした相手への処理も練習していきたいという。グラウンドになると、すぐにアップという地元びいき判定にも泣かされたのは事実だが、「よくあること。決めるところをしっかり決めていれば取れる。練習では20秒以内で取ることを心がけているけど、20秒ではなく、グラウンドになったらすぐに決めてポイントを取る流れ技が必要と感じました」。

　負けた原因をジャッジのせいにはせず、「負けた反省を３位決定戦で生かして闘うことができた」とのこと。世界学生チャンピオンをテクニカルフォールで破り、「いい形で終えることができました」と話した。

　女子チームは、２月に中高生の選抜チームがクリッパン国際大会に出場し、全日本選抜チームが３月７～８日にロシア・サンクトペテルブルグで行われるワールドカップに出場する。