日本レスリング協会公式サイト
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2015.03.31

男子フリースタイルの全日本チームがモンゴルから帰国

 3月11日からロシアとモンゴルに遠征していた男子フリースタイルの全日本チームが3月30日、モンゴル航空で帰国した。ロシアでの「ブリヤード国際大会」では「金2・銀1・銅4」、モンゴルでの「モンゴル・オープン」では「金1・銀2・銅4」をそれぞれ獲得するメダルラッシュ。86kg級の松本篤史(ALSOK)が連続で金メダルを取り、重量級の強化が順調に進んでいることを証明。価値ある遠征となった。

 しかし井上謙二監督(自衛隊)は、全員が最低1個のメダルを持っての帰国になったことは評価しながら、「リオデジャネイロ・オリンピックの出場枠を取るためには、2大会とも優勝、最低でもメダルを取ることが求められるレベル。その中でメダルを取れなかった選手がいたことは、今後の課題になります」と厳しく振り返った。

 目についた課題としては、完全なテークダウンまで追い込めないことが多かったこと。「どの審判であっても、ポイントと認められるようなテークダウンを身につけることが必要」と話した。

 大会の間には、ロシア・ウランウデで合宿を行った。周辺のジュニア選手などが多く参加した合宿だったそうだが、昨年の世界選手権(ウズベキスタン)のロシア61kg級代表のアレクサンドル・ボゴモエフもいて、ハイレベルの練習ができた選手もいたという。「大会~合宿~大会」という遠征は、「最初の大会での課題を合宿で点検し、次の大会で試すことができてよかった」と総括した。

 松本が連続優勝し、同級の赤熊猶弥(自衛隊)と96kg級の山口剛(ブシロード)も連続銅メダル獲得、125kg級の荒木田進謙(警視庁)もモンゴル・オープンで銅メダルを取るという重量級選手の踏ん張りに、重量級担当の小平清貴コーチ(警視庁)は「重量級でこれだけメダルを取ったのは久しぶり。収穫のある遠征となった」と気分よさそう。

 「松本のモンゴル・オープン決勝の相手は、ヤリギン国際大会(1月に行われるロシア最高レベルの国際大会)2位の選手で、オリンピック予選にもかかわってくると思われる選手。その選手に勝てたことは明るい材料」と松本の連続金メダルを高評価し、ひざの負傷で戦列を離れ、久しぶりの国際大会となった山口を「試合をこなすうちに以前の動きができ、タックルでポイントを取れるようになった。力が戻ってきた」と、2013年に世界8位に食い込んだ時の実力に近づいていると分析した。

 井上監督と同じく“勝って、かぶとの緒を締める”の姿勢も忘れない。「アジア選手権(5月6~10日、カタール)でこれくらいの結果を残して本物です」と、今回の結果に浮かれる様子はなかった。

■結果ではなく、自分のレスリングができたことに満足感の松本篤史

 連続金メダルの松本は、2005年アジア・カデット選手権(茨城・大洗町)以来の国際大会金メダル。モンゴル・オープンではロンドン・オリンピックのモンゴル代表のオルガドル・ウイツメンを破る殊勲だった。さぞ満足と思われるが、「結果ではなく、自分のレスリングができ、競った試合でも勝ち切ることができたことが収穫であり、少し満足感があります」と振り返った。

 ウイツメンとは2度闘ったことがあるそうで、どちらかというとやりづらい相手。今回は、その時以上にやりづらさを感じたそうだが、「失点を押さえ、競り勝つことができた。自分の形ができたからかな、と思います」と言う。

 自分のレスリングというのは、一言で言えば「6分で闘うこと」。前半の失点をできるだけ少なくし、たとえリードされてしまっても、後半の3分で追いつき、逆転する試合パターン。今回の遠征では第1ピリオドを2-0や2-1といったスコアで終わることが多く、「こうした状態で前半を終えれば、勝率が高くなる。1点差、2点差で勝ち切れる力がついたと思う」と振り返った。

 それでも、タックルの詰めが甘く、終盤にばてることもあって、「脚をさわったところからの詰めと、スタミナの強化に力を入れ、進化していきたい」と話した。アジア選手権の代表に内定しており、そこでも好成績が期待される。「アジア選手権の結果で、自分の世界での立ち位置が分かる。今回の結果に満足せず、もう一段階か二段階上げて臨みたい」と話した。

■ラフファイターにも負けない精神力で優勝の石田智嗣

 前半のブリヤード国際大会で優勝した65kg級の石田智嗣(警視庁)は「どの試合も第1ピリオドから得点でき、自分の流れがつくれたのが大きな勝因」と振り返る。優勝という事実もさることながら、闘った4試合の相手がアゼルバイジャン、ロシア、モンゴル、キルギスの4ヶ国の相手で、「いろんなタイプの相手と闘えたことで収穫がありました」と言う。

 決勝の相手のバザール・バザルグルエフ(キルギス)は2008年北京オリンピックの代表で、世界3位、アジア選手権優勝の実績もある選手だが、それは60kg級での成績。昨秋の世界選手権(ウズベキスタン)から65kg級へ上げた。“下の階級”の選手には負けられない、といったところだが、ラフファイトを仕掛ける選手だった。

 石田の顔にある傷はその時に受けた傷だそうで、2週間以上経っても完全に消えていないほど強烈。「そうしたファイトに屈することなく向かっていけたのがよかった」と言う。

 昨年の世界選手権で高谷惣亮選手(74kg級)が闘ったベラルーシ選手もラフファイトで有名な選手。負けた腹いせに控室で暴行をはたらくほど(3年間の出場停止処分)。全日本合宿で和田貴広強化委員長(国士舘大教)が「そんな選手にも勝つ強さが必要」と伝えていたが、ラフファイターにも負けない精神力を実践しての優勝だった。

 モンゴル・オープンでは「準決勝で勝たないとならなかった。ラスト12秒くらいの時に2点を取れる状況があって、そこで取っていれば逆転できたのに、焦りと相手の粘りで1点しか取れなかった。相手が一枚上手だった」と悔やんだ。松本と同じくアジア選手権に出場の予定で、「ひとつでもいい順位を目指して頑張る」と表情を引き締めた。


 







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