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2015.07.30

【特集】2015年世界選手権へかける(1)…男子フリースタイル125kg級・荒木田進謙(警視庁)

男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《荒木田進謙・略歴》荒木田進謙・国際大会成績》《男子フリースタイル125kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子フリースタイル》


(文=保高幸子)

 日本の最重量級選手の意地で、オリンピックの大舞台につなぐ-。 昨年のアジア大会(韓国)で、日本フリースタイルの最重量級として9大会36年ぶりのメダル(銅)を獲得した荒木田進謙(警視庁)。4度目の出場となる今年の世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)に向け、「メダルを取る」と息巻く。男子フリースタイル最重量級で24年ぶりとなるオリンピック出場に期待がかかる。

 世界選手権での“勝ちプラン”を聞くと、「あります」と即答した。「外国の選手は50~60%で試合し、得点を狙う場面だけ100%で来る感じ。自分が90%の力を6分間出し続ければ、勝てる」-。

 スタミナには自信がある。闘い方は決まった。「以前は、最初守って、相手が攻め疲れたところをつくという戦法だった。去年のアジア大会で、最初から取りにいけば、いい展開になると確信することができた」。アジア大会3位という結果が、自信だけでなく勝ち方も教えてくれることになった。

■2014年冬のイラン遠征で外国選手に対する意識が変化

 前回の世界選手権出場は2013年(ハンガリー)で、その前はロンドン・オリンピック予選でもあった2011年(トルコ)。ともに1勝を挙げているが、厳しい舞台だった。「国際大会の回数は多いのですが、相手にさわった時に怖さが出てしまいました」と、恐怖心から自分のレスリングができなかった。「外国人選手は想像以上にパワーがあるんです」-。

 通常体重は118kgで、125kg級の中ではかなり少ない。試合の時には124kgまでアップするが、それでも外国人とのパワーの差を痛感する。

 だが、4年前と比べて、外国人選手とも勝負になってきたと感じている。全日本合宿でのテレビ局の取材で、世界選手権でメダルを取れる確率を「30%」と答えた荒木田は言う。「もうびびったりはしません」-。

 意識が変わったきっかけを聞くと、少し考え、「去年の冬の遠征でイランに行って、アジア王者のパルビズ・ハジと合宿をともに過ごしたことですね」と答えた。試合でなく、練習や生活をともにすることで、相手が怪物ではなく、“同じ人間”と感じることができた。

 1階級下の山口剛(ブシロードクラブ)が2013年の世界選手権で8位になった時、山口との違いとして自己分析していた外国選手に対する姿勢。この意識が変わったことは荒木田にとって一番の進歩だろう。

■アジア大会で銅メダルを取った磯川孝生の跡を追う!

 “縁起”も背中を押している。「磯川先輩(孝生=徳山大職、96kg級)が、一緒に出場した2010年の広州アジア大会で銅メダルを取り、2年後のロンドン・オリンピックに出場しました。その流れでいけば、自分にもオリンピックに出場する力はあると思います」。

 荒木田にとってオリンピックは3度目の挑戦となる。2008年北京オリンピックは世界予選の最終戦(ポーランド)に抜てきされたものの、結果を残せなかった。前回のロンドン・オリンピックは、世界予選第1戦(中国)で左ひざの前十字じん帯を断裂。フィンランドでの最終予選に出場できず涙をのんだ。「もうレスリングはやめよう」とさえ思った。

 じん帯の再建手術をし、1年ほど休養を余儀なくされたが、警視庁に入庁することが決まっており、リオデジャネイロ・オリンピックを目指そうと再起。荒木田は「夢でしたから、オリンピックに必ず出場したい。いつも、どんな時も応援し続けてくださった橋場先生(保人=青森・光星学院高校長、元レスリング部監督)に恩返しがしたい。今まで頑張ってきた努力を実らせたい」と決意を込めて話す。

 今年3月のモンゴル・オープンでは銀メダル獲得。着実に実力をアップさせている。今月の男子フリースタイルのポーランド遠征は、6月の全日本選抜選手権の1週間前に負った半月板のけがが治っておらず見送った。中旬の菅平合宿の時点でランニングはできなかったが、マット練習には参加。世界選手権まであと1ヶ月強あり、順調にいけば完治すると予想する。

■男子フリースタイル最重量級のオリンピック出場は1992年が最後

 北京オリンピックではグレコローマン96kg級の加藤賢三、ロンドン・オリンピックは磯川孝生(前述)とグレコローマン96kg級の斎川哲克の重量級選手が意地を見せてオリンピックに出場した。しかし最重量級となると、男子フリースタイルでは1992年バルセロナ・オリンピックに出場した本田多聞が最後だ。

 「コツコツは勝つコツ」が座右の銘。これを体現してきたようなレスリング人生を送っている荒木田が狙うのは、アジアのメダルを超える世界のメダル獲得。それはオリンピック出場を意味する。

 フリースタイル最重量級の意地をかけ、24年ぶりにオリンピックへの道を切り開く-。


 《関連記事》

■2015年6月19日: 【明治杯全日本選抜選手権第1日・特集】優勝選手の声

■2014年12月22日: 【全日本選手権第1日・特集】優勝選手の声

■2014年4月24日: 【アジア選手権第1日・特集】出場選手談話(男子フリースタイル3選手)

■2013年12月22日: 【全日本選手権第1日・特集】優勝選手の声

■2013年9月18日: 【世界選手権・特集】男子フリースタイル120kg級・荒木田進謙(警視庁)

■2013年9月8日: 【特集】世界選手権へかける(17)…男子フリースタイル120kg級・荒木田進謙(警視庁)

■2012年4月29日: 【五輪予選最終ステージ第1戦・特集】男子フリーススタイル120kg級・荒木田進謙(専大クラブ)

■2011年8月17日: 【特集】世界選手権へかける(5)…男子フリースタイル120kg級・荒木田進謙(専大ク)

■2011年5月21日: 【特集】出場選手の声…アジア選手権第2日


 







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