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【特集】2015年世界選手権へかける(2)…男子フリースタイル61kg級・鴨居正和(自衛隊)

男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《鴨居正和・略歴》《鴨居正和・国際大会成績》《男子フリースタイル61kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子フリースタイル》


(文=樋口郁夫)

 全日本選手権優勝の実績をもって、今春、自衛隊入りした男子フリースタイル61kg級の鴨居正和(山梨学院大~自衛隊)。5月のアジア選手権(カタール)では国際大会初のメダルとなる銅メダルを手にし、6月の全日本選抜選手権を制して世界選手権の代表権を獲得した。

 7月の「ジオルコウスキ国際大会」(ポーランド)では、欧州大会2位の選手を破るなどさらに飛躍した実力を発揮した。「自衛隊の強い先輩、井上(謙二)コーチ、高塚(紀行)先輩、湯元(進一)先輩にもまれたおかげで力がついたのでしょうか…」と、自分の飛躍を実感できていないようだが、「自信にはなります」と、気持ちが高まった状態で世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)に臨む。

■今年は日本の一番手としての世界選手権出場

 昨年、世界選手権(ウズベキスタン)初出場の機会をもらった。全日本選抜選手権優勝の高塚がアジア大会を選択したためで、せっかくのチャンスだったが、「何もできず、あっという間の1回戦負け。得るものもない試合でした」と振り返る。

 今年は日本の一番手としての出場。「高塚先輩達の築いてきた伝統を引き継ぐんだ、という気持ちで臨みます」と、昨年とは背負うものは違っている。

 鴨居の闘っていた60kg級は、2004年アテネ・オリンピックで井上コーチが銅メダルを取り、2006年世界選手権では高塚が銅メダル。2008年北京オリンピックと2011年世界選手権では湯元健一(現日体大コーチ)が銅メダルと、日本が得意としていた階級。

 階級区分変更によって61kg級となり、オリンピック階級ではなくなっても、このあたりの階級が日本にとって期待の階級であることには変わりはない。

■自衛隊の熱心な誘いもあって現役続行を決意

 実は昨年の世界選手権のあと、「燃え尽きた感がある」と口にし、大学卒業でレスリング活動は終わることを示唆していた。「あの時は、やめる、という気持ちの方が強かったです」と、その時の言葉にうそはなかったと振り返る。

 自分のやってきた階級がオリンピック階級でなくなったためだ。60kg級の選手がオリンピックを目指すには、57kg級か65kg級を選ぶしかない状況となった。鍛え抜かれたアスリートが3kgも落とすことは不可能。65kg級での闘いに身を投じるしか選択肢はなかった。

 「5kgの違いとはいえ、簡単には勝てません。やっている選手が一番知っています。あの時(世界選手権終了後)は、やり切った、という気持ちでした」。

 その気持ちを変えたのは、自衛隊の熱心な誘いだった。「(返事を)いつまでも待ってくれました。井上先輩や高塚先輩のいるチームだったこともあり、心が動きました」。12月の全日本選手権で優勝したあと、大学の高田裕司監督と話をし、「気負わずにやってみろ、という意味のことを言われ、踏ん切りがつきました」と、現役続行を決心した。

■「社会人になって変わりたい、という気持ちがいい形で出ました」

 オリンピック選手育成が目的の自衛隊だが、とりあえずの階級は61kg級に決めた。61kg級で世界選手権出場のアドバンテージを得ていたことと、現段階で65kg級では通用しないことを感じていたからだ。「まず61kg級でやり、そのあと65kg級で通用するため徐々にやってくことにしました」。

 アジア選手権で銅メダルを取ったことで、61kg級の基礎固めの一歩を踏み出し、ポーランドでそのベースづくりをさらに進めることができた。「最大の要因は意識だと思います。社会人になって変わりたい、という気持ちがいい形で出ました」と分析し、精神面での成長が結果につながったと自己分析する。

 一方、アジア選手権で負けたイラン戦(コーションで取られただけの0-1)は「ポイントを取れなかったわけだし、最後までびびっていた。全然駄目な試合でした」と唇をかみしめる。2位となった「ジオルコウスキ国際大会」の決勝も、「最後、攻めるか守り切るか中途半端な気持ちになり、ラスト15秒で逆転されたことは反省材料です」と話す。

 自信を持つ反面、反省も多い今季だが、成長しているからこそ具体的な反省点が出てくる。成長のない状況では、すべてが反省であって具体的なことは出てこない。負けた試合をきちんと分析できるのは、順調な成長ロードを走っている証拠だ。

 「まず61kg級で通用する実力をつけたい。そのうえで65kg級にアップし、東京オリンピックを目指します」。5年計画の1年目、力強い一歩を踏み出すことが期待される。


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