日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2015.08.04

【インターハイ学校対抗戦・特集】野口篤史監督、26年目の悲願達成! 埼玉栄が初優勝

(文・撮影=増渕由気子)

 花咲徳栄の想いも背負って初優勝だ! インターハイ学校対抗戦は、2年ぶりの出場を果たした埼玉栄(埼玉)が、決勝で24度目の優勝を狙った霞ヶ浦(茨城)を4-3で破り、悲願の初優勝を決めた。野口篤史監督は「就任26年目でやっと決勝に行って、優勝できた。今、このまま死んでもいいくらいうれしい」と目を潤ませ、マット上で選手らに胴上げされて宙に舞った。

 ユースオリンピック76kg級金メダリストの山崎弥十朗主将を84kg級に擁し、マスコミにも常に注目される状況。昨年優勝の花咲徳栄を県予選で下しての出場に、「優勝校に勝ったのだから優勝できるよね」という周囲の声もあり、野口監督の緊張度は高まるばかりだったという。

 生徒達は冷静だった。山崎主将を中心に自ら進んで練習する生徒ばかり。「今年のメンバーは意識が高く、無理に練習をやらせることは全くなかった。全国優勝を目標として、やり方が分からないときだけ聞いてくる」(野口監督)と、自主性があるメンバーが一丸となってマットで躍動した。

■「オレのやり方では、全国制覇は無理なのかな」と悩んだ野口監督

 全国中学選手権(全中)王者の肩書を持つ60kg級の吉村拓海と山崎主将、さらに66kg級の尾形颯がチームの3本柱。この3人は5戦5勝と圧倒的な強さを見せた。

 決勝の勝負どころは74kg級だった。八木海里と霞ヶ浦の内山皓太との2年生同士の対決で、6-1のままブザーが鳴って試合終了。八木がチーム3勝目を勝ち取り、応援席に向かって大きくガッツポーズを見せると、優勝が決まったかのような興奮ぶり。

 野口監督は「八木は準決勝で右肩をけがしてしまい。大ピンチだった。もともと気弱なところがあるが、最近はたくましくなって、弱気になりそうな時に思い切ってタックルに入ってくれた。120パーセントの力を出してくれた」と褒めちぎる快勝。

 応援団が優勝を確信したのは、84kg級に登場するのが高校界無敵の山崎主将だからだ。山崎主将はタックルやローリングを次々と決めて2分58秒でテクニカルフォール勝ち。この勝利で埼玉栄の優勝が正式に決まった。

 優勝した瞬間、マットにうずくまった野口監督。大東大を卒業後、埼玉栄に赴任と同時にレスリング部の監督に就任。今年で26年目と大ベテランの監督となった。だが、なかなか優勝できない現実に「オレのやり方では、全国制覇は無理なのかなと思いました。監督を変える必要があるんじゃないかな」と思い悩むこともあったと言う。

■全中王者4人がいながら優勝できなかった2年前

 決定的だったのは、2年前の長崎インターハイでのことだった。全中王者を4人も擁しながら、準決勝でいなべ総合学園(三重)に敗れて3位。「4人もチャンピオンがいながら、優勝できなかった…。これは、監督のせいだ。心が折れましたね」と振り返る。

 その時、1年生だった山崎や吉村は優勝を逃して大泣き。監督、生徒ともに長崎インターハイでの失敗を胸に、この2年間練習を積んできた。「正直、長崎の時の方が、戦力は上だった。今年は選手が一致団結し、各自が成長してくれた」。

 50kg級の宮原は素人から始めたのに、立派に“先鋒”をやり遂げた。66kg級の尾形も「中学の時は自転車で転んで試合を欠場するような選手だった」(野口監督)のに、今大会、全勝という大健闘。

 姉妹校でもある花咲徳栄にレスリング部ができてから、2校で切磋琢磨してきた。「『花咲徳栄の分まで頑張って来ます』と伝え、花咲徳栄の生徒や父兄さんからは、『全国で頑張ってきて』と背中を押されていました。その約束が果たせてうれしいです」。

 初日に花咲徳栄から返還された優勝旗と優勝楯。それを埼玉県の埼玉栄が持ち帰る―。日本一強い県、埼玉県が実証されたインターハイだった。


 







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に