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2015.08.07

【特集】2015年世界選手権へかける(5)…女子75kg級・鈴木博恵(クリナップ)

《鈴木博恵・略歴》《鈴木博恵・国際大会成績》《女子75kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=女子》


(注)鈴木選手はひざの負傷のため、8月20日、出場を辞退しました。

(文=保高幸子)

 2004年アテネ大会以来、3大会連続で浜口京子(ジャパンビバレッジ)が出場したオリンピックの女子最重量級。来年のリオデジャネイロ・オリンピックの女子75kg級は、実施日の翌日に29歳となるベテラン、鈴木博恵(クリナップ)がオリンピック出場への挑戦権を勝ち取った。今年の世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)で出場枠獲得に挑む。

 鈴木は「相手もかける想いは強いと思うけど、私もそれに負けないくらい強い気持ちでいる。絶対メダルを取って、この世界選手権でオリンピック出場を決めたい」と決意する。

■UWW世界ランキングは6位、世界トップクラスにつけている

 鈴木は昨年、3月のモンゴル・オープンと7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)で優勝。今年も4月のアジア選手権(カタール)でも優勝するなど、最近は海外でも成績を残してきた。ゴールデンGP決勝大会では、初戦で2012年ロンドン・オリンピック3位のグゼル・マニュロバ(カザフスタン)に勝ち、3勝を挙げて優勝。目指していたレスリングに近づいている。

 最新のUWW世界ランキング(8月5日発表)は6位と、世界上位の実力を持っているのは確かだ。

 世界選手権は過去3回出場。昨年は国際大会で3度勝っているアデライン・グレイ(米国)に3回戦で負けて7位だった。お互いに“30秒ルール”によって1-1の同点から、鈴木がチャレンジを失敗し1失点というきん差の試合。鈴木が勝ち上がっていてもおかしくなかった。

 「グレイに負けたのが悔しくて、何回もビデオをみました。絶対私のポイントだと思ってチャレンジしたので、それを確認したくて、見たんです。そしたら、審判のミスではなく、自分がしっかりポイントにできていなかったんだと分かりました」-。脚を触り、技に入ったところまではよかった。そのあとの処理で、差が出てしまった。「しっかりポイントをもらえる技を出さなければ」-。

 外国の選手の圧力が強いため、タックルに入っても取り切るまでの詰めが甘いというのが昨年の反省点。今は練習前、昨年のグレイ戦のビデオを見て、自分がどこを練習しなくてはいけないか確認してから臨んでいる。「いいイメージをもって練習できているし、成果が違います」と自信を見せる。

■トレーナーをつけて週3回、本格的な肉体改造トレーニング

 2013年春に京都から上京し、ふだんは自由ヶ丘学園高校で男子高校生と練習している。「男子は軽量級でもスピードも力もある。いい練習になっている」。

 昨年の“世界女王”グレイに対しては、「特別強いとは思っていない」ときっぱり。過去3度完勝しており、そう思うのも当然だろう。「去年の世界選手権で負けているゾウ・シアン(中国)や、カナダのエリカ・ウィーブの方が強いと思います」と、ライバルたちを評する。

 「ロシアのエカテリナ・ブキナも要注意」とし、3月のワールドカップ(ロシア)では0−4で敗れた。それでも、「相手の脚を取ることができたし、その後の処理をうまくやれば取れた。勝てない試合ではなかったと思う」と話す。

 世界の75kg級に対応するため、トレーナーをつけて週3回、本格的な肉体改造トレーニングをしている。「身長がないので、体重は3kgアンダーで闘っているけれど、これがベスト」と、フィジカルの面でも抜かりはない。また、「細かい技術では誰にも負けてない」と言う。

 以前は、鈴木の最大の敵は「弱気」だった。ポイントを取られるのが怖くて守ってしまうくせがあった。最近は自分から取りに行けるようになってきている。

■「外国選手は勝ちへの執念がすごい。私にそれが足りなかった」

 対戦成績が勝ち越している選手が世界を取ったということは、鈴木にもそれだけの実力があることを意味する。昨年の世界選手権後、鈴木は「トップレベルと差はないと思いますが、あと少し、何かが足りないのだと思う」とコメントした鈴木。それが何か、今は分かる。「外国選手は勝ちへの執念がすごい。私にそれが足りなかったということ」-。

 順調に勝ち続けていけば、リオデジャネイロで29歳を迎える。「20歳の頃は、29歳までレスリングを続けているなんて無理だと思っていました。でも、衰えは感じません。応援してくれる人もいるし、経験を積んで強くなっています」と、すべてを備えて決戦に挑む。

 「今回は勝ちます」-。「小さい時からの夢のオリンピック」がかかっているラスベガスでの世界選手権。かける思いは強い。テクニック、フォジカル、経験値、強気の“4拍子”揃った鈴木の実力を発揮すれば、必ずメダルに手が届く。


■昨年の世界選手権1~3位選手と鈴木の対戦成績

《優勝》Adeline Maria Gray(米国)
2015年3月  ●[1-4] =ワールドカップ
2014年9月  ●[1-2] =世界選手権
2014年7月  ○[1-1] =ゴールデンGP決勝大会
2013年11月 ○[3-1] =NYACホリデー国際大会(米国)
2012年11月 ○[2-0(1-0,1-1)] =NYACホリデー国際大会(米国)

《2位》Aline da Silva Ferreira(ブラジル)
2013年11月 ○[4-4] =NYACホリデー国際大会(米国)

《3位》Zhou Qian(中国)
2014年9月 ●[TF、3:59=0-11] =世界選手権

《3位》Burmaa Ochirbat
2014年3月 ○[2-0] =モンゴル・オープン
2013年9月 ●[1-5] =世界選手権


《関連記事》

■2015年6月19日: 【明治杯全日本選抜選手権第1日・特集】優勝選手の声

■2014年9月12日: 【世界選手権第4日・特集(インタビュー)】女子75kg級・鈴木博恵(クリナップ)

■2013年9月21日: 【世界選手権・特集】女子72kg級・鈴木博恵(クリナップ)

■2013年8月17日: 【特集】世界選手権へかける(3)…女子72kg級・鈴木博恵(クリナップ)

■2012年9月30日: 【世界女子選手権第2日・特集】女子72kg級・鈴木博恵(クリナップ)

■2012年9月22日: 【特集】日本初の“兄妹出場”を世界一で飾れるか…女子72kg級・鈴木博恵(クリナップ)


 







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