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2015.08.10

【特集】2015年世界選手権へかける(7)…男子フリースタイル57kg級・高橋侑希(山梨学院大)

男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《高橋侑希・略歴》《高橋侑希・国際大会成績》《男子フリースタイル57kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子フリースタイル》


(文=保高幸子)

 2004年アテネ大会(田南部力=銅メダル)、2008年北京大会(松永共広=銀メダル)、そして2012年ロンドン大会(湯元進一=銅メダル)と、オリンピック3大会連続でメダルを獲得してきた日本男子フリースタイルの最軽量級(いずれも55kg級、今回は57kg級)。今年の世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)で、伝統の階級のリオデジャネイロ・オリンピック出場枠をかけた闘いに臨むのは、チーム最年少の21歳、昨年5位の高橋侑希(山梨学院大)だ。

 昨年は飛躍の年だった。全日本選抜選手権とプレーオフを勝ち抜き、海外遠征も経験。世界選手権代表として堂々とした闘いを見せてくれた。強豪と渡り合える力を見せ、世界5位という成績を残した。負けた2試合は、昨年2度目の世界王者となったヤン・ギョンイル(北朝鮮)と、2013年55kg級世界王者のハッサン・ラヒミ(イラン)。

 ともに最後の1分の段階では勝っていたにもかかわらず、逆転負けを喫してしまった。「最後、守ろうとする気持ちがあって、中途半端な守りになってしまった」と反省。また後半の試合運びが甘いことも認めている。大会後、「後半になると、焦りとか、追いつかれたら、といった弱気の部分が出てくる。そういう点が敗因。1年で修正したい。同じ過ちをおかしたら、この世界選手権が無駄になってしまうので、学んだことを次につなげたい」と話していた。

■ジオルコウスキ国際大会で日本軽量級の強さをアピール

 今冬は遠征に行かず、国内で調整した。「まずは国内で勝たなければ世界に出ることもできない。全日本選抜選手権で勝つことを考えていました」-。その調整が功を奏したか、代表選考となった6月の同選手権では初戦でロンドン銅メダリストの湯元進一(自衛隊)を下し、決勝は長年のライバルであり、全日本王者というアドバンテージを持っている森下史崇(ぼてぢゅう&Bum's)を4−2で下した。

 優勝のあと行われた森下との代表決定プレーオフにも2-0で勝ち、2度目の世界選手権出場を決めた。厳しい国内争いを勝ち上がった高橋は、一度ガッツポーズを見せたが、次の瞬間マット上で顔を両手で覆って泣いていた。「世界選手権ではメダルを取って自分がオリンピックに行きます」-。

 先月24日には、昨年の世界選手権以来の国際大会出場となった「ジオルコウスキ国際大会」(ポーランド・ワルシャワ)に出場。日本チームで唯一の優勝を遂げた。全4試合で失点は決勝で喫した"30秒ルール"の1点のみの、完勝だった。「強い選手が出ていなかったので、世界選手権で勝つためにはここで優勝しないといけないと思った」と言い、日本の最軽量級ここにありを見せつけた。

 決勝ではトップ選手ならではの洗礼も受けた。「相手は、自分との試合だけ差しに変えてきた。僕の対策をしてきたようでした」と、明らかに研究されていたことを感じた。最後はテクニカルポイントで逆転したものの、課題が残った。「差されて押され気味で、先にパッシーブを取られました。日本ではないことです」-。

 研究してくる相手のペースになってしまった。「攻め続けていれば、必ず相手にすきが出てくると思う。今度は自分のスタイルを崩さずいきます。こちらもライバルの研究もしっかりしていきたい」と気を引き締めた。

■一番やりたい相手は世界V2のビクトル・レベデフ(ロシア)

 高橋の強さは、プレッシャーを感じることなく、「ワクワクした気持ちで闘える」というメンタルだろう。「海外遠征の経験が少ないので、いろんな選手と試合ができるのはうれしい。世界選手権が楽しみです。去年は5試合してすべてアジアの選手だった。今度はヨーロッパやロシアなど、いろんな選手と試合したいですね」と胸を踊らせる。

 一番やってみたい選手を聞かれると55kg級で2度世界一に輝いているビクトル・レベデフ(ロシア)を挙げ、「僕が倒したいんです」と威勢がいい。

 世界選手権の目標はメダル。「ここでメダルを取らなければ、地獄のような厳しい道が待っている」-。国内屈指の激戦区のフリースタイル57kg級だけに、ここでメダルを獲得し、(定められている代表決定規定により)一発でオリンピック代表の内定を決めたいという気持ちは人一倍強いだろう。

 チーム最年少の若い力を爆発させ、持ち前の攻撃レスリングで新旧世界王者たちをなぎ倒すか。2度目の世界選手権。同じ失敗は2度しない。120パーセントを発揮し、世界のメダルとオリンピックのキップをつかみ取る。


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