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2016.10.14

【岩手国体・特集】震災から5年、復興を印象付ける岩手国体が成功に終わる

(文・撮影=増渕由気子)

 3・11から5年―。震災から復興した岩手県宮古市で「希望郷いわて国体」が行われ、地元の岩手県は総合6位に入賞した。震災のあった2011年に、同年の岩手インターハイに向けて少年の強化体制ができあがっていたこともあり、この5年間は引き続いてオール岩手で強化に取り組んできた。

 1年前の和歌山国体では32位と下位に沈み、地元国体での奮起が期待されていた。少年の部はインターハイからの継続強化で、巣内哲司監督の母校・日体大や上野堅太郎コーチの母校・専大などへ積極的な出げいこで力をつけた。

 成年の部は、今年から始まった女子53kg級に現役全日本選抜チャンピオンの菅原ひかり(種市高教)や、学生トップレベルの選手だった川瀬克祥(岩手県体協)を招へい。種市高出身で学生時代に両スタイルの学生王者であり、元全日本2位の金澤勝利(自衛隊)をエースに据えて国体に挑んだ。

 計算通りに行かないのが勝負の世界。成年の部125kg級に出場した金澤は初戦で大学生に敗れて敗退し、得点は「0」に。エースの敗退に岩手県関係者は凍りついたが、誰も金澤を責める人はいなかった。巣内哲司監督は「金澤が負けたことは痛手でした。けれども、これまでの岩手を支えてくれたのは金澤。ずっと一人で頑張ってきてくれた」と振り返り、「(指導者の)僕らも金澤だよりでした。金澤が負けたことで、みんなでフォローしないといけない、という気持ちが芽生えてきたのかもしれません」。

 金澤の代わりと言わんばかりに活躍したのは少年フリースタイル120kg級の大﨑滉祐(岩手・種市高)。劇的なフォール勝ちで優勝。初開催の女子に出場した菅原ひかりも2位と上位入賞を果たし、前半戦終了時点で8位入賞を射程距離に置いた。

 後半のグレコローマンでは、成年66kg級の川瀬が全日本1、2位を破って優勝。98kg級の横澤徹(盛岡市役所)も3位に入るなど追い上げ、最終的には団体6位へ。8位入賞を果たした。

 巣内監督は「上出来。こんないい結果になるとは思っていなかった」と6位入賞に驚いた様子。川瀬や菅原に対しては「高校生にとって、とてもいい存在だった。大学卒業したばかりのトップ選手が雲の存在ではなく、身近にいるわけですから。高校生の指導もよくしてくれた」と即戦力以上の活躍をたたえた。

■5年越しの悲願がかなった宮古市での全国大会の開催

 大会運営面では、予算の関係でマットのかさ上げ(マットステージの設置)ができなかったが、その他は滞りなく行われた。成年の濱道秀人監督は「みんなに感謝の気持ちを伝えながら運営を行いました」と振り返る。2011年のインターハイは宮古市で行われる予定だったが、震災で場所が変更された。5年越しの悲願がかなった宮古市での全国大会の開催だった。

 町のあちこちに津波で被災した爪痕は残っているが、復興が進んでいる部分もあった。巣内監督は「自分も宮古市出身。本当に大変な思いをした人がたくさんいる。みんなで町をよりよくし、以前に戻すのではなく、もっと良くして行こうと取り組んできた結果」と話す。レスリングに関しても、女子の全国大会を初開催した誇りを胸に宮古市を盛り上げてきた。

 濱道、巣内両監督が口をそろえたのは、開会式の左京昂亮選手の選手宣誓についてだった。「あの宣誓の言葉が私たちの気持ちのすべてだと思う。一歩一歩前に進んで行こうと思います」。

 国体が終わっても、インターハイと国体で培った強化のノウハウを生かして強化をしていく予定だ。濱道監督は「若い指導者を育てていこうと思っています。岩手国体であげたレベルを落とさないようにして、第2の岩間怜那(現姓栄、元世界2位=宮古市出身)を作りたい」と、今後もオール岩手で盛り上げていく目標を掲げた。


 







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