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2017.01.17

【特集】古豪復活の曙光! 全日本合宿への抜てきを受けて燃える男子フリースタイル97kg級・二ノ宮寛斗(明大)

 昨年12月の全日本選手権の結果をもとに、あらためてスタートを切った全日本チーム。1月10日から東京・味の素トレーニングセンターで行われた男子フリースタイルの合宿には、明大1年生選手の姿があった。全日本選手権は5位に終わったが、試合内容やアジア・ジュニア選手権2位の実績などが評価されて招集された二ノ宮寛斗(岐阜・岐南工高卒)。「重量級の期待の若手選手」(小平清貴・全日本コーチ)としての抜てきで、昨年11月の合宿に続く参加だ。

 かつては学生レスリング界、さらには日本レスリング界の雄を占めた明大も、入学難によって部員が減少し、現在では全日本のトップが遠い存在になっている。明大の選手がNTS合宿などを別とした純粋な全日本合宿に呼ばれたのは、いつ以来か?

 記録が保存されているわけではないのでコーチの記憶が頼り。ベテランのコーチに聞いても答えが出てこない。「多賀先生(恒雄=1980年モスクワ・オリンピックの幻の日本代表選手、現東日本学生連盟会長)以来じゃない?」「宮原(崇=2008年全日本学生選手権優勝)が呼ばれているんじゃないかな?」。いずれにしても、ここ40年近くで数えるほどしかいない。

 明大とともに一時代を築いた中大は、天野雅之(男子グレコローマン85kg級=2014年世界選手権8位)が往年の輝きを取り戻すべく奮戦した。次は明大の番。日本レスリング界の底上げのためにも、古豪復活の道筋をつくってくれることが望まれる。

■岩手国体では1階級上のトップ選手を破る大殊勲!

 8月の全日本学生選手権は1年生にして2位へ。岐阜県代表として120kg級に出場した10月初めの岩手国体では、同級のトップ選手の金澤勝利(自衛隊)を破る大殊勲を挙げた。

 全日本選手権では初戦で全日本社会人選手権2位の選手を2-2の内容差で撃破。続く試合では、過去7戦全敗で“天敵”とも言える同期の石黒峻士(日大、埼玉・花咲徳栄高卒)に3-4の惜敗。実力差を縮める結果を残し、こうした成長ぶりが全日本コーチの目にとまったようだ。

 「全日本選手権では3位に入れませんでしたが、呼んでいただけたことは、ありがたいです」と言う二ノ宮は、最近の急成長の要因に、「全日本トップ選手と練習する機会が増えたこと」を挙げる。高校時代に全国一の実績を持つものの、全日本や大学のトップレベルの選手と練習する機会はそう多くなかった。

 明大入学後は、自衛隊をはじめ、専大、青山学院大などに出げいこする機会ができ、「外からの刺激が力を伸ばしてくれたと思います」と言う。国体での快挙は、「正直言って勝てるとは思っていなかったんです」と照れ笑い。「内容的には押されっぱなし。足をかける技がうまく決まっただけです」と謙遜するが、大きな飛躍となったことは間違いない。

■強豪大学でなくとも力は伸ばすことはできると信じ、明大へ進学

今の明大が全日本トップ選手を輩出している大学でないことは知っていた。当然、進学を反対する声も耳に入った。一方、「伸びるか伸びないかは自分次第だ」と言ってくれる人もいた。自身の気持ちには、「レスリングだけが人生ではないので」と、“東京六大学”というブランドへのあこがれもあった。

 大切なのは気持ちの持ち方。強豪大学でなくとも力を伸ばすことはできると信じ、進路として選んだ。入学後を振り返ってみると、東日本学生リーグ戦は6試合中5試合に出場し、全日本大学選手権と全日本大学グレコローマン選手権にも起用された。「そうした経験が大きく役に立ちました」と言う。

 強豪の多い大学に行って毎日の練習の中で実力を伸ばす道もあるだろうが、1年生の時からレギュラー選手として試合に出場し、それがモチベーションとなって実力を伸ばせる場合もある。強豪大学へ行くだけが実力アップの道ではない。上級生に阻まれて大会出場を果たせなければ、こうして全日本合宿に呼ばれることもなかったのではないか。

 明大が古豪ということも知っている。「古豪復活」というモチベーションを持てることも、「他の大学と違うことだと思います」。明大は貴重な戦力を獲得したと言えよう。

■全日本王者・赤熊猶弥(自衛隊)の気持ちの強さに脱帽!

 今年の目標は、まず4月のJOC杯で“天敵”石黒を破っての優勝だ。なかなかポイントを取ることのできない相手だが、全日本選手権での対戦はテークダウンを決めることができた。「ここを乗り切らないと、全日本レベルの大会でのメダルはありません」と意気込む。

この階級の王者の赤熊猶弥(自衛隊)とは、今回の全日本合宿だけでなく自衛隊での出げいこで何度も挑んでいる相手。「プレッシャーからしてすごい。前半をしのげても、ばててしまって、後半が駄目」と高い壁を感じる。何よりも「気持ちがすごい」と言う。「自分はまだオリンピックを論じることのできないレベル。赤熊さんからは『何が何でもオリンピック』という気持ちが伝わってきます。そうした気持ちになるだけの実力をつけることが必要なんだと思います」と言う。

 今月末には学生選抜チームの米国遠征メンバーに選ばれ、シニア初の国際大会として「デーブ・シュルツ国際大会」に出場予定だ。2度の世界カデット選手権など4度の国際大会出場の経験があるが、シニアはまた大きな壁となろう。それでも、経験することが大事。経験を積み重ねてここまできただけに、将来につながる遠征にしたいところだ。

 明大復活の曙光(しょこう=夜明け前の明るくなる兆し)を確固たる明るさに変えることができるかどうか。それは、二ノ宮の今後の気持ちにかかっている。


 







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