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2017.01.22

【特集】望まれる海外単独武者修行! グレコローマン最重量級の現状を打破すべき逸材、園田新(拓大)

 新強化委員会の2020年東京オリンピックでの目標のひとつは「全階級出場」。その実現のためには、両スタイルとも2000年代に入って一度もオリンピック出場を果たしていない最重量級が大きな課題となる。フリースタイルでは、荒木田進謙が2014年アジア大会で銅メダルを獲得し、2015年世界選手権で8位入賞を果たすなど、あと一歩のところまで迫ったが、グレコローマンは世界から大きく引き離されているのが現状だ。

 現状を打破すべき選手は、全日本選手権で3連覇を果たした園田新(拓大)。4月からはALSOK入社が内定している。“オリンピック選手&同金メダル量産工場”のALSOKは、全日本王者を輩出するために選手を採用しているわけではない。園田は、それを指摘されると「分かっています」と表情を引き締めた。

■東京オリンピックに出るため、リオの予選全大会に参加した

 園田は、リオデジャネイロ・オリンピックへ向けても国内の第一人者の地位を獲得し、前年の世界選手権を含めて4度の予選すべてに出場した。しかし、最終予選でアルゼンチンの選手相手に1勝しただけにとどまり、同オリンピックへ出場するまでの実力養成には時間が足りなかった。

2014年世界ジュニア選手権(クロアチア)では5位に入賞。この時点でオリンピック出場の期待がふくらんだが、ジュニアの世界5位といえども、シニアでは簡単には勝てないのが現実だった。

 最終予選のハンガリー選手(世界2位を何度も経験している選手)との試合では、4分30秒まで1-1のラストポイントで勝っていたが、バッティングで反則を取られ、これが原因で敗れた。スタンド戦では互角以上だっただけに、痛恨のバッティング。「情けなかった。あの悔しさが東京オリンピックへ向けてのばねです」と振り返る。

 多少の落ち込みはあったと思われるが、当時の西口茂樹・男子グレコローマン強化委員長(現強化副本部長)から「こんなところで諦めちゃだめだ。東京オリンピックへ出るために、予選4大会とも経験したんだ」と言われ、気持ちはすぐに4年後に向いたという。

■強豪を求めて海外への単独での武者修行もあるか?

 「東京オリンピックに出るのは自分しかいないと思っています」。国内大会の試合結果と内容を見れば、その言葉に異論をはさむ人間はいまい。だが、アジア、そして世界の予選を勝ち抜くためには、その“一人勝ち”状態がマイナスとなってしまう。国内の練習で競り合うことができないからだ、

今年度は山梨学院大の留学生オレッグ・ボルチン(カザフスタン)がよく全日本合宿に参加してくれ、グレコローマンで園田の相手をしてくれた。「負けん気のすごい選手。ためになりました」と実力アップには役立ったが、やはりグレコローマン専門の強豪と数多く練習しなければなるまい。

 そう考えると、必要と思われるのが海外での修行だ。「技術を学び、持ち帰って反復練習する」では、練習相手がいない。ある程度の期間、数多くの強豪がいる国で練習することが必要と思われる。

 松本慎吾・強化委員長(日体大教)は、重量級の強化の一環として単独での長期間の海外修行を口にした。園田は「単独というのは、頼る選手もいなくて不安も多いでしょうが、そういうものを乗り越えて強くなれると思います。強くなるため、行きたい気持ちはあります」と前向きに受け止めている。

 所属するALSOKの方針や遠征先の練習環境、長期遠征にかかる費用などの問題があるが、国内での練習だけでは足りないレベルにいることは確かなので、実現が望まれる。園田は「前に行ったハンガリーには多くの強豪選手がいて、練習環境もいい。ドイツ遠征もよかった。ロシアやイランも条件さえ合えば」と話し、強豪を求める気持ちは強い。

国内での練習で、工夫することも忘れない。「相手を次々に変えてやることで、疲れた状態でも力を出さなければならない。こうした練習で試合に役立つ体力がついていくと思います」。練習相手に恵まれなくとも、それに対応した練習を積極的にしてくことが必要だ。

■この冬は新ルール下での世界での立ち位置を知る

 この冬は2月初めに学生選抜の遠征で「デーブ・シュルツ国際大会」(米国)を経験し、3月には全日本チームのクロアチア~ハンガリー遠征に参加し、合宿と2度の国際大会出場が予定されている。オリンピック予選のあと国際大会がなく、しかもパーテールポジションの選択のないルールに変わったので、新たに世界における自分の立ち位置を知り、今後の強化に指針にしたいという。

 5月にはアジア選手権(インド)がある。「前回(2015年)が5位。その時よりは絶対に強くなっていると思うので、3位が目標」。現実を知っているだけに大言壮語はしない。東京オリンピックを目指した闘いは、一歩一歩着実に進めていく。

 「新」という名前は、「新しいものにチャレンジしていこう」との期待を込めてつけられた名前だという。「これまでの4年間もそうですが、今度の4年間もいろんなことにチャレンジしていきたい。チャレンジによって自分に必要なことが分かる」。いい練習環境の下、「自覚をもって、死ぬ気で頑張ります」と気合を入れた。


 







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