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2017.01.27

【特集】一般自衛官への道から急転直下の現役続行、東京オリンピックへ挑む!…男子グレコローマン85kg級・岡太一(自衛隊)

 1月中旬に東京で行われた男子グレコローマンの全日本合宿。全階級での東京オリンピック出場を目指すチームに、昨年春まで全日本チームの常連だった選手の姿があった。85kg級の岡太一(自衛隊)。リオデジャネイロ・オリンピックの予選に挑んだが夢かなわず、その段階でマットを去ることを決めたが、昨年暮れ、一転して現役続行を決めた。

 全日本合宿に参加しているとはいっても、強化委員会から呼ばれたわけではないので、通いでの参加。手術と半年以上のブランクにより、まだ以前の力は出せていないが、「1日たりとも妥協できない。毎日が勝負です」と、2020年を目標に再起の道をスタートさせた。

■今年4月から一般自衛官になる予定だったが…

 岡は拓大時代の2010年に大学四冠王者に輝き、自衛隊へ進んでレスリングに専念。2012年ロンドン・オリンピックの予選に出場したものの、メーンの目標はリオデジャネイロにおいていた選手だ。期待にこたえて2015年にはアジア選手権(カタール)で銅メダルを取るなど、順調に実力を伸ばした。しかし昨年4月のオリンピック予選(モンゴル)で5位に終わり、リオデジャネイロのマットにあと一歩届かなかった(3位までが出場枠を獲得)。

激戦を通じて両ひじはボロボロとなり、「小指に力が入らない状態だった」。2020年東京オリンピックの時は32歳。「選手活動は難しいと思った」と、この時点で選手生活からの引退を決めた。自衛隊の勤務は1年単位なので異動は今年4月から。一般自衛隊員になるつもりで準備をするとともに、レスリング班では後輩の指導にあたる毎日だった。

 「12月末まで、マットに戻る気持ちは本当になかったです。一般自衛官になる予定で、(今年3月からの)幹部学校行きも決まっていました」。しかし、手術によってひじの状態がよくなり、後輩のサポートをしていくうちに、マットへの思いが心に忍び込んでいた。「第三者的にレスリングを見たことで、強い選手はどういうことをやっているかや、自分に足りなかったことなどが見えてきた」。

 年が明けると、いてもたってもいられなくなったのだろう。井上謙二監督と話し合いの場を持って気持ちを伝え、東京オリンピックを目指すことを正式に決めたという。

■「世界で勝つために戻って来た」と、国内のライバルが目標にあらず!

 この階級は岡が引退したあと、フリースタイルから転向した松本篤史(当時ALSOK)が国体と全日本選手権で優勝した。“グレコローマンの素人”に天下を取られたことで、闘志に火がついたことが予想されるが、「う~ん…。特にそうした気持ちはなかったですね。いや、少しはあったのかな…」。少なくとも、復帰の強い動機でなかったことは確かなようだ。

今回の合宿では、その松本との練習も経験した。「強いですね」と、松本のグレコローマン選手としての才能に舌を巻くが、「世界で勝つために戻ってきました。国内の相手を目標にしていては駄目。強敵ではありますが、目標ではありません」ときっぱり。ブランク明けの今回は押されてしまっても仕方ないが、必ず追い越すという気迫が感じられた。

 一時100kgを超えたという体重は、「(自衛隊の正規の)練習のほか、1時間以上は走り込みをしてきました」という自主練習によって93kgにまで減った。この冬は筋力トレーニングにもしっかり取り組み、体力を戻すことが目標だ。

 オリンピック・サイクルはスタートしたばかりだが、最初のオリンピック予選である2019年世界選手権(場所未定)出場のために残された期間は、2年半しかない。かつてのライバルであり、今年から指導に回った鶴巻宰コーチからは「1日、1日を死にもの狂いでやらないとならない」と言われたそうで、同コーチの思いも背負っての再起となる。

■復帰戦は、6月の全日本選抜選手権か7月の全日本社会人選手権

 復帰戦は、強化委員会の推薦が認められれば6月16~18日の全日本選抜選手権(東京・代々木競技場第2体育館)となり、そうでなければ翌月の全日本社会人選手権。いずれにしても、選手生活で初めてという1年以上のブランクを経た試合出場となる。「過去に例がないほど緊張するかもしれませんね」と言う一方、「世界を目指すためには、国内でつまずいていては話にならないでしょう」とも。焦ってはいないようだが、今年の世界選手権出場も視野にあるのかもしれない。

リオデジャネイロ・オリンピックまでの4年間は、スタイルに迷いがあって、いろんなことを試しては、変えていったという。「アジアで3位になった時と、その2ヶ月後のポーランドでの大会では、まったく違う自分がいました」。よくしようと思って試みたわけだが、結果としては“迷走”だった。今回は「自分のスタイルをしっかり決めたい」-。

 もうひとつの反省は、「やっぱり気持ちが低かった」ということ。アジア選手権の3位で満足するのではなく、アジアなら優勝が最低目標。日本一になっただけではオリンピックに出場できないことを、身をもって知っているだけに目標は高い。

 85kg級(旧84kg級)は、2008年北京オリンピックまで松本慎吾・現強化委員長(日体大教)が闘った階級で、グレコローマンのエースとしてチームを支えた。2大会連続でオリンピック出場がなく、同委員長ももどかしい思いだろう。松本委員長がみなぎらせたエネルギーを再現し、グレコローマン重量級に輝きを取り戻してほしい。


 







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