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「ヤリギン国際大会」出場の男子フリースタイル・チームが帰国

 ロシア・クラスノヤルスクで行われた「ヤリギン国際大会」に出場した男子フリースタイルの全日本チームが1月31日、成田空港に帰国した。61kg級に出場したリオデジャネイロ・オリンピック57kg級銀メダルの樋口黎(日体大)が銅メダルを獲得。日本男子選手としては2013年大会の森下史崇(57kg級)と高塚紀行(61kg級)以来、4年ぶりにメダルを持っての帰国となった。

 井上謙二監督(自衛隊)は、樋口に関して、「オリンピックでメダルを取った選手の宿命で、周囲から研究されていたという状況の中、1年半前の世界ジュニア選手権(ブラジル)で完敗したガジムラド・ラシドフ(ロシア)に1-3の惜敗まで実力を縮めた」と評価。「ラシドフのグラウンド技を守り切っていた選手はそういなかった」と、オリンピック銀メダリストの実力を出したことを認めた。

 一方で、「レベルの高い大会の中で、勝ち上がった選手は自力でポイントを取ることができたが、勝てなかった選手はできなかった。国内でやっているようなレスリングではテークダウンにつなげられない。ひとつひとつの展開のレベルを上げていかないと世界では通用しないことを、選手は感じただろうし、私自身も感じた」と厳しい言葉も出てきた。

 繰り上げの6位に終わった74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は、敗者復活戦でラディク・バリエフ(ロシア)から口の中に指を突っ込まれるなど壮絶なラフファイトを挑まれ、マットを下りたあと相手に殴りかからんばかりの状況だったという。その選手と3位決定戦で闘ったハビビ・バチロフ(ロシア)は怒りのパンチを繰り出してしまって失格となったというから、“札付きのワル”。

 しかし、「そんな相手にも勝たなければならない」と、“ケンカマッチ”にも勝つだけの強さと精神力を求めた。

■世界のトップレベルの選手を相手に5試合もできたことが収穫…樋口黎

 樋口は「3位になれたこと以上に、世界のトップレベルの選手を相手に5試合もできたことが今回の遠征の収穫。(オリンピック後の)61kg級に上げて最初の国際大会としては及第点」と内容の充実を挙げ、「課題も見つかり、次の闘いへ向けて得るものは多かった」と振り返る。

樋口とガジムラド・ラシドフ(ロシア)との1回戦

 初戦でリベンジを目指したラシドフは、先に61kg級に階級を上げていただけあってパワーは上だったそうだ。しかし、「これからパワーをつくれば、必ず勝て、もっと高いレベルに行けると思う」と話した。

 2012年ロンドン・オリンピックで金メダルを取った米満達弘選手は、2011年のこの大会で銀メダルを取り、飛躍してオリンピックの栄冠につなげている。それを聞かされると、「ハイレベルの大会ですからね。世界選手権ならロシアから1選手しか出てきませんが、多くのロシア選手がいるアウェーの中で勝ち抜けば、力はつきますよね」と、この銅メダル獲得を機に新たな階級での飛躍を誓った。

 オリンピック銀メダリストとして、数多くの人からサインやツーショット写真を求められるなど、現地ではかなりの人気を博したもようだ。

 高谷は、敗者復活戦で挑まれたラフファイトについて、「アイツは人としても、やばいヤツ」と一刀両断。口の中に指を入れられた際、歯ぐきがめくれたそうで、かなり壮絶な反則攻撃だったようだ。

 試合そのものでは、3回戦(準々決勝)でのラスト5秒の逆転負けが悔しそう。「(最後の捨て身の)技を相手にしなければよかった。逃げて勝つ、というのが嫌だったので…」とのこと。勝つことに徹すれば逆転されることはなく、「決勝まで行けたかも」と言う。

 これまでロシア選手にはあまり勝っておらず、「苦手意識みたいなものがあった」という。今回、4試合すべてロシア選手と闘って互角の試合ができたことで、「そんな意識がなくなりました」と収穫を挙げた。 「年をとると、プレッシャーを感じることもなく、リラックスしてできました。今回は復帰戦とは思っていないので、6位入賞で上出来かな。復帰戦は世界選手権です」と話し、復帰戦へ向けての試運転は成功だったようだ。

 男子フリースタイルは、2月は国内で鍛え、3月にロシア遠征を予定している。


 

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