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2017.03.09

性転換選手が出場すべき大会は、元の性? 今の性?…男子選手の女子選手権優勝により、米国で論争


 米国で、性転換した高校レスリング選手の扱いをめぐり、ちょっとした論争が起こっている。

 多くのメディア、一部はトップ記事で報じたところによると、テキサス州ダラスに住むマック・ベッグス選手(高校2年)は、女性として生まれたが、自身の性に違和感を持ち、性同一性障害と診断され、性転換して男性として生活。レスリングを始め、男性ホルモンの一種であるテストステロン療法によって男子選手並みの筋肉を持った。

 本人は男子の部での出場を希望していたが、同州の高校運動部のルールによって出生時の性別での試合出場を余儀なくされた。州大会では女子の部110ポンド(49.9kg)級に出場して優勝し、シーズンを通じて57戦全勝だったという。

 これに対し、“薬物”によって筋肉の増大を試みるのはドーピング違反だとのクレームがあったり(注=高校ではドーピング検査はないもよう)、対戦相手が「男子選手と試合をするのはおかしい」との理由で棄権するなど、レスリング界にとどまらず物議をかもしている。

 性同一性障害が奇病ではないとなり、スポーツ界でも性転換した選手に対する処遇が変わってきている。国際オリンピック委員会(IOC)は2004年に、「性別適合手術を受ける」「法的に新しい性になる」「適切なホルモン治療を受けて手術後2年間が経過している」を条件に、新しい性での出場を認めることを明文化。

マック・ベッグス選手の優勝を報じるニュース

 昨年のリオデジャネイロ・オリンピックに際しては基準を緩和。性別適合手術を受けなくとも、女性から男性になった選手は規制がなく、男性から女性になった選手はテストステロンの数値などの基準を満たすことによって出場できることになった(注=日本では性別適合手術を受けなければ性を変えることはできないが、手術しなくとも性別変更が認められている国もある)。

 オリンピック憲章の「すべての個人はいかなる差別を受けることもなく、スポーツをする機会を与えられなければならない」という理念に基づく決定で、傘下の国際競技連盟(IF)に対しても、「大会から除外するのではなく、公平に参加の機会を与えることが必要」との見解を示している。

 ただ、リオデジャネイロ大会までに性転換してオリンピックに出場した選手はいない。

 全米学生体育協会(NCAA)では、当初から手術や法的な変更を条件としておらず、「女性から男性の性転換者でホルモン療法を受けていない者は、女子でも男子でも出場できる」などの規則がある一方、ベッグス選手のようなケースは、「女性から男性の性転換者でテストステロンの治療を受けている者は、(中略)女子としては出場できず、男子として出場する」が該当しそう。

 タイ式ボクシングでは、厳密な規定があるかどうかは分からないが、20年ほど前にパリンヤー・ジャルーンポンという日本でも闘った選手が、その後、性転換。以後、男子選手と試合をしていないところをみると、元の性での試合はできないルールか慣習があるようだ。「元の性」と決めているテキサス州の規則は、一考の必要がありそうだ。

 なお、世界レスリング連盟(UWW)、および日本協会のルールには、性転換選手に関する規定はない。近い将来か、遠い将来かは分からないが、いずれ直面する問題であることは間違いあるまい。


 







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