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2017.03.18

【特集】「オリンピック銀メダリストより強い男」が復帰! 軽量級戦争が熱く燃える!…男子フリースタイル57kg級・中村倫也(専大)


 「オリンピック銀メダリストより強い男」が帰って来た-。昨年5月の全日本選抜選手権男子フリースタイル57kg級王者の中村倫也(専大)。決勝の相手は2014年世界選手権5位の高橋侑希(ALSOK)で、1分49秒、10-0でのテクニカルフォール勝ち。その約1ヶ月前にあった東日本学生リーグ戦では、リオデジャネイロ・オリンピックの代表に決定していた樋口黎(日体大)を11-9で撃破していた。その樋口が銀メダルを取ったのだから、中村の実力も世界トップクラスだ。

 オリンピックを逃したことにより、8月、痛めていた肩を手術。今年2月、やっと医師のゴーサインが出た。「まだ怖さはあります。試合をやってみないと、本当に回復しているかどうか分かりません」と慎重だが、「けがをして気がついたことも多くあります。ブランクで得たものを生かして頑張りたい」と燃えている。

 4月初めには自費でブルガリアへ向かい、国際合宿に参加したあと、「ダン・コロフ国際大会」に出場。実戦を通じて今の力を試す。回復具合がよければ急ピッチで仕上げ、今年の世界選手権(8月、フランス)出場が目標だ。

■総合格闘家にあこがれて始めたレスリング

 5歳から始めたレスリング。父が総合格闘技道場「PUREBRED大宮」を運営しており、出入りしていた元世界女王の山本美憂さんが立ち上げたレスリング教室で取り組んだのが最初だった。美憂さんの長男で、世界カデット王者を経て総合格闘技へ行った山本アーセンと同窓生となる。

小学校5・6年で全国大会を制覇。当時は、いずれ総合格闘技に進む予定で、「総合が強くなるにはレスリングが強くなる必要がある、ということで打ち込んでいました」と振り返る。全国王者になったことで、「流されて」(笑)レスリングに専念。憧れだった先輩を追って花咲徳栄高校へ進んだ。

 2012年、同校がインターハイの団体初優勝を遂げた時のメンバー。だが、個人戦は準決勝で文田健一郎(当時山梨・韮崎工=現日体大)に敗れ、今でもこの悔しさは忘れていない。「相手はグレコローマンをやってきました。フリースタイルの選手が、フリースタイルの試合でグレコローマンの選手に負けるなんて…」。高校最後の国体は樋口黎(当時茨城・霞ヶ浦)に敗れ、高校の大会では全国王者になることなく3年間を終えた。

 だが、花咲徳栄高での基礎は専大に行って役立ったことは間違いあるまい。2年生(2014年)の全日本学生選手権で優勝し、3ヶ月後に行われた全日本大学選手権では、世界5位になったばかりの高橋侑希(当時山梨学院大)を破って優勝する殊勲。「正直言って驚きました。チャレンジャーとしてガツガツぶつかっただけなんですが…」。

全日本レベルでは無名の選手が世界5位の選手を破った試合を、全日本コーチとして見ていた小平清貴コーチ(警視庁)は「中村の防御の強さが勝因」と分析した。「体が柔らかく、日本選手にはあまりない防御を見せる。高橋がポイントを取れないまま試合が進み、終盤、中村のカウンターの技が決まった」と言う。序盤に爆発的な力で攻めてくる外国選手に対して有効な闘い方。ますます中村の世界での闘いが期待される。

■リオデジャネイロの樋口黎の活躍で、「自分もオリンピックに出られる!」

 肩の痛みは2015年の秋に襲われた。関節の内部に良性だが腫瘍(ガングリオン)があり、それが神経を圧迫していたことが分かった。すぐに手術を受けることも考えたものの、リオデジャネイロ・オリンピック予選である全日本選手権を控えていたため、痛み止めの注射を打って出場(準決勝で樋口黎に6-8の黒星)。

 専大の主将に推薦されたことで、さらに手術の時期を伸ばした。「主将としてリーグ戦に出る必要があると思いました。主将が勝たなければ、周りはついてこないでしょう」という責任感からの手術延期だった。

その状態でオリンピック代表選手を破り、全日本選抜王者に輝くのだから実力は本物。全日本選抜選手権決勝での高橋戦は、頭を相手の脚の間に入れる独特なアンクルホールドが決まっての圧勝劇。「ワンチャンスを生かす力はあると思うので、実力差はなくとも大差になる場合もあります。(高橋とは)結果ほどの実力差はないと思います」と控えめに話す一方、「自分が守る側だったとしても、あのアンクルを防ぐ方法が思い浮かびません。だれにでもかかる技になったかもしれませんね」と自信を見せる。

 これだけの実力を身につけた時に手術を受けるのは、さぞ無念だったことだろう。手術が終わって入院している時にオリンピックの樋口の試合があった。深夜、イヤホンをつけてテレビを見て悔しさがつのった一方、「(樋口が)あれだけの試合ができるのなら、自分もオリンピックに行けるんじゃないかな、と思いました」と、2020年東京オリンピックへ向けて勇気づけられた出来事でもあったという。

■同期の雑草選手、河名真寿斗とともにエリート組に挑む!

 専大の同期生にはグレコローマン59kg級の河名真寿斗がいる。今年度、学生の二冠王者に輝き、今年に入っての2度の国際大会で優勝するなど力をつけている。「彼も高校時代は全国王者がなく、自分と同じような立場でした。活躍は刺激になります」と話す。

樋口と文田がエリート同士の相乗作用で実力をつけたのに対し、中村と河名は全国王者に手が届かなかった同士の相乗作用ではい上がってきた。エリートとたたき上げの闘いは、“タッグマッチ”での闘いへと移行した。フリースタイルでは、樋口、高橋、中村の“3WAYマッチ”が展開されよう。

 4月からは博報堂の子会社である「博報堂DYスポーツマーケティング」へ進み、“プロ選手”としての活動に入る。スキー・ジャンプの高梨沙羅選手らのマネジメントをやっている会社だが、選手を採用するのは初めて。「レスリングに専念できます。学生時代以上に出げいこにも行き、会社の期待にこたえられるような結果を出したい」。

 中村の戦列復帰により、フリースタイルの軽量級戦線が熱く燃えそうだ。


 







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