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請われて実現した合同合宿だが、女子柔道の層の厚さに接し、危機感も…栄和人・強化本部長

 全日本女子チームの今年度初の合宿は4月10~16日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで行われ、10~12日の3日間は女子柔道との合同練習。レスリング選手も柔道着を着用して柔道の練習に取り組んだ。

 柔道全日本女子チームの増地克之監督が、リオデジャネイロ・オリンピックで試合終了間際の逆転勝ちを連続した女子レスリング選手の「気持ちとフィジカルの強さに接したい」と希望し、実現した。

 女子レスリングの初期には、レスリング選手が筑波大柔道部や講道館の練習に加わらせてもらったことがある。それ以前から男子では柔道と接点があったが、女子はこれらが初めてで、合同練習というより、レスリング選手が格闘技の初歩を学んだのが実情。柔道の闘いでは柔道選手が圧勝し、レスリングの試合でも柔道選手が勝つという状況だった。

 2012年の元旦合宿では、ともに味の素トレセンでやっていたこともあり、柔道選手がレスリング場に来てレスリングのトレーニングを体験した。これは新年初頭の儀礼的な意味合いが強かった。本格的な合同練習は今回が初めてと言える。

練習で実現した相撲での対抗戦

■柔道選手に追いついたレスリング選手の体力だが…

 今回は、レスリングでの闘いは言うに及ばず、相撲での対戦でもレスリング選手が上回っていたのが現状。柔道選手はつかむところがないと不利、との理由で柔道着の帯を締めた相撲でも、レスリング選手が勝つことが多かった。

 栄和人・強化本部長は、新潟県十日町市・桜花道場での「地獄特訓の成果」と振り返り、同所での体力トレーニングを耐え抜いた選手の体力に自信を持つ。「柔道選手には、十日町でのあの練習を経験してほしかった。今回は日程が合わなかったが、次回は金メダル坂を走り、大部屋で寝て、周囲にコンビニも何もないという過酷な状況で練習に打ち込むことを体験してほしい」と話した。

 一方、柔道の層の厚さを見て、女子レスリング競技選手数の少なさに危機感も感じたという。国内の女子柔道の競技人口は約2万8000人(未就学児~全日本)で、全国高体連専門部の登録は約5000人。レスリング女子の競技人口は2000人に満たず(同)、高体連専門部への登録は約200人。柔道とは「けたが違う」。

 栄本部長は「柔道は大勢の中でしのぎを削り、その中を勝ち抜いてきた選手が全日本チームに入る。1位がけがしても、2位、3位の選手が同じくらいのレベルだから、だれを出しても世界で闘える。代わりはいくらでもいる。レスリングは、残念ながらそういう状況ではない」と言う。

 相撲での闘いにしても、トップ選手による10対10の闘いなら勝ち越せても、50対50での闘いなら「間違いなく負け越すだろう」。レスリングの競技人口が世界的に増えて強化してきた時、今の状況では勝ち抜けないことを感じ、大勢の中でしのぎを削ることのできる柔道がうらやましそう。「そうした状況を目指していきたい」と、強化だけではなく、普及の努力を誓った。

 最後に付け加えることも忘れなかった。「(レスリングが)競技人口が少ない中でも、オリンピックで勝つ実力を身につけることができたのは、福田富昭会長や選手の強化に親身になって取り組んできた指導者がいたからこそ。女子レスリングにかかわってきた人達の努力の賜物だ。選手は、そうした人たちへの感謝の気持ちを忘れず、オリンピックでの金メダルを目指して真剣に打ち込んでほしい」と話した。





 

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