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2017.04.26

【JOC杯・特集】殊勲の成葉、順当勝ちの泰葉(ともに愛知・至学館高)、最後を締めた兄・泰成(専大)…松雪3兄妹が史上初の同時優勝

(文・撮影=樋口郁夫)

 3兄妹がそろって表彰台の一番高い所へ! JOC杯のジュニア部門では、男子フリースタイル84kg級で松雪泰成(専大)が優勝、2歳下で双子の妹の成葉(愛知・至学館大)が女子67kg級、泰葉(同)が72kg級でそれぞれ勝ち、3人が同時優勝という快挙を達成した。正確な記録は残っていないが、3兄妹による同時優勝は史上初めてと思われる。

 記録を調べていくと、2009年の全国少年少女選手権(東京)で、泰成が6年39kg級で勝ち、泰葉が女子4年33kg級で優勝しているが、成葉は女子30kg級で2位に終わって(決勝の相手は昨年の55kg級全日本チャンピオンの南條早映)、惜しくも3人による同時優勝ならず。

 中学では、2014年に全国中学生選手権と全国中学選抜選手権の2大会で姉妹が同時優勝しているが、泰成はすでに高校に進んでいた。

 その間の2013年からJOC杯で3人が同時に闘うことになったが、2015・16年に泰葉が優勝したものの、他の2人は優勝に恵まれなかった。インターハイでは、2015年大会だけが3人が同じマットに上がっているものの、この時は3年生だった泰成の2位が最高。

 全日本レベルの大会でも3人の同時出場はあるが、壁は高く、まだ3人のだれも優勝は手にしていない。地方レベルの大会でも、3人の同時優勝は、3人とも「記憶にない」-。

■決勝で高校三冠王者を破って優勝!…兄・泰成

 今年は3人が同時に出場できる最後のJOC杯。まず69kg級の成葉が、決勝で最近負け続けだった森川美和(東京・安部学院高)を破り、国内では2014年全国中学選抜選手権以来の優勝を達成。続いて今月初めのジュニアクイーンズカップで優勝していた72kg級の泰葉が順当に優勝した。

 2人の妹の優勝を受けて兄・泰成が発奮。決勝は、昨年2年生にして高校三冠(全国高校選抜大会、インターハイ、国体)を制した石黒隼士(埼玉・花咲徳栄高)の粘りに一時はリードを奪われながら、最後は5-4のスコアで競り勝ち、意地を見せて3人による同時優勝を達成した。

 松雪は「JOC杯の優勝は初めて。素直にうれしい」と喜びの声。決勝の相手は高校生だったが、「強いことは分かっていた。自分のレスリングをして勝つことだけを考えていた」と、気を引き締めた。タックルで先制しながら、第2ピリオドにタックルを受けて2-2へ。しかし、すぐにタックルで4-2へ。「相手との間合いを考えて練習していた。いいタイミングで入れた」とのこと。

 終了間際にもタックル返しを受けて一瞬4-4となり、このままならラストポイントで負けるところだったが、すぐにバックを取り返して5-4。「もっと安全に闘うこともできたけど…。甘さかもしれませんね」と反省し、今後の課題とした。

 妹2人が先に優勝し、特に67kg級の成葉が“天敵”を破って優勝したことは「刺激になった。(JOC杯では)3人が優勝できる最後のチャンスだったので、決めたかった」と言う。泰成も高校時代に全国制覇があり、1年生にして全日本大学選手権2位などの実績があるが、「双子姉妹」「(成葉が)オリンピック出場権獲得を目指す渡利璃穏のパートナーとしてカザフスタンへ同行」など、世間的には妹の方が注目を浴びているのが現実だ。

 嫉妬心があるわけではないが、「(自分が)一番成績がないだけに、勝つしかなかった。兄の威厳を見せられた」と安堵の表情。今夏は世界ジュニア選手権(フィンランド)に挑むことになるが、「2月にデーブ・シュルツ国際大会(米国)に出て、シニアでは世界と実力差があることを感じた。ジュニアではどうなのか試してきたい」と話した。

■「特に競い合っているわけではないのですが…」

 兄に刺激を与えた成葉は「高校に入って優勝がなかったので、勝ててうれしい」と第一声。森川にはジュニアクイーンズカップで「守ってばかりで攻撃できなかった」という反省があり、今回はタックルに来たところを切って回り込むことを心がけたという。

 コーチから「気持ちで負けるな」と言われ、そのアドバイスをしっかり守れたことが勝因だろう。

 順当勝ちした泰葉は「勝たなければいけない、圧倒的に勝つ、という気持ちでした」と余裕のコメント。3試合とも無失点のテクニカルフォールという内容に、「次の明治杯(全日本選抜選手権)も勝ちにいきたい」と、気持ちは上を向いている。

 3人での優勝は「特に競い合っているわけではないのですが…」と苦笑い。「最後のチャンスだったので、よかったです」と結んだが、このあと、全日本選手権や全日本選抜選手権、あるいは世界での闘いでは何度もチャンスがある。

 次に3兄妹で優勝するのは、いつ? 注目される松雪3兄妹の今後だ。


 







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