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2017.04.29

【JOC杯・特集】ジュニア・フリースタイルで高校生が2階級を制覇、3割が入賞と躍進

(文・撮影=増渕由気子)

 高校生がすごいのか、大学生が情けないのか――。4月22~23日に行われたJOC杯のジュニア・男子フリースタイルは、50kg級の谷口龍我と55kg級の山口海輝(いずれも千葉・日体大柏高)の高校生が優勝し、66kg級の基山仁太郎(三重・いなべ総合学園高)、84kg級の石黒隼士(埼玉・花咲徳栄高)、96kg級の吉田ケイワン(埼玉・花咲徳栄高)の3選手が準優勝。ベスト4に入った32選手のうち、11選手が高校生という稀に見る結果になった。

 全国高校体育連盟専門部の藤波俊一・強化委員長(三重・いなべ総合学園高教)は「大学生の動きが特に悪いという感じはなかった。全体的に高校のレベルが上がっていると思う。高校生が大学生とやっても物おじしなくなってきた。そういう時代になったのかな」と振り返った。

 日本協会の小幡邦彦ジュニア・コーチ(山梨学院大職)も「フリースタイルはキッズから続けている選手がほとんどで、技術が上がっている」と、高校生の実力を認める。

■大学への出げいこで、大学選手相手に物怖じしない高校生

 中学生が所属するクラブチームは、高校のクラブの“ジュニア”として運営しているところが多く、小学生から高校生まで一貫して同じクラブチームで学ぶことができるが、高校と大学は基本的に切り離された環境が多い。そのため高校と大学には差があると言われてきたが、近年では全体的に高校生が大学に出げいこに通うことが一昔前に比べると断然多くなった。

 「〇〇大学の〇〇選手と練習では五分だった」と、高校生の評価の基準が大学生との比較になっているのも時代の流れだろうか。大学生のオーラに気後れすることなくできるようになった理由を、藤波強化委員長は「全国の高校生と大学生が一堂に集まって行う中央研修会(毎年2月に実施)の効果が出てきているのではないか」と分析する。

 これは高校に限ったことではない。昨年の岩手国体で全国中学生選手権大会47kg級優勝の清岡幸大郎(高知・高知南中)が50kg級で高校生を軒並み倒して準優勝に入ったことは記憶に新しい。キッズの底上げは予想以上に進んでいるのかもしれない。

■乙黒拓斗(山梨学院大)らがいれば、大学生が優勢だったかもしれない

 JOC杯のジュニアの部で鮮烈に学生デビューを果たすのは、前年のインターハイで活躍した大学の新1年生たちだ。今年の注目ルーキーと言えば、昨年、史上4人目のインターハイ3連覇を成し遂げた乙黒拓斗(現山梨学院大)を筆頭に、阿部敏弥(現国士舘大)や梅林太朗(現早大)のJOCエリートアカデミーのトリオが有名。昨年までの高校界の軽量級は、この3人を中心にして回っていた。

 だが、昨年の秋ごろから3人ともけがでマットから遠ざかり、今大会、乙黒と阿部は出場を見送った。梅林も半年ぶりの試合に臨んだが上位進出ならなかった。もしこの3人が本来通りの活躍を見せていたら、高校生たちに実力の違いを見せつける壁となっていたのではないか。阿部を預かる国士舘大の和田貴広コーチは「その可能性は十分にあったと思う」と話した。

 今大会、クローズアップされてしまったのが、大学レスリングの雄として不動の地位を築いてきた日体大の優勝が両スタイルでなかったこと。日体大の低迷を他大学が埋められず、高校生の活躍の場を与えてしまったという見方もある。アカデミー出身の3人と日体大の巻き返しがあれば、「ジュニアは大学生が主力」ということを十分に見せつけることができるはずだ。

 藤波強化委員長は高校生躍進の理由をもう一つ挙げた。「東京オリンピックが3年後に迫っているのが大きい。全国の高校の指導者が『東京を目指せ』と生徒たちを鍛えてくれた賜物なのかもしれない」。リオデジャネイロ・オリンピックでは、20歳の樋口黎(日体大)がメダルを獲り、高校を卒業して数年でトップに行けることが実証された。その影響も大きいことだろう。

 藤波強化委員長は「いずれにしても、今後楽しみな選手がたくさん出てきたし、今大会はプラスになる大会だった。このメンバーで世界ジュニアがどうなるか楽しみ。男子はカデットでメダルをよく獲るが、ジュニアになるとぐっとその確率が落ちてしまうのがこれまでの傾向です」と話し、高校生がジュニアのレベルに食い込んできたことで、若手全体の底上げを期待していた。


 







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