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2017.06.15

【全国中学生選手権・特集】伊藤海が2度目、三浦哲史は初! 網野町少年教室から12年ぶりに男女優勝!

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 網野町少年教室12年ぶりの快挙だ! 全国中学生選手権で京都・網野町少年教室の関係者は終始笑顔だった。同クラブから女子44kg級の伊藤海(大阪・関大中3年)と男子85kg級の三浦哲史(京都・網野3年)の2選手が優勝。これは2005年に男子42kg級の半田守と41kg級の堀内優が優勝して以来、12年ぶりの男女優勝だった。

■初めて女子に負けたことを糧にしてチャンピオンに返り咲いた

 女子の伊藤は決勝で藤波朱理(三重・西朝明2年)に7-2で圧勝。下馬評通りに優勝を決め、2年ぶり2度目の頂点だった。昨年は決勝で櫻井つぐみ(高知・野市)に敗れて準優勝。3連覇も狙えた逸材の伊藤は「今回優勝できてうれしい、という気持ちがある一方で、去年勝っていれば、(特別な)賞をもらえたのかな」と、3連覇をして最優秀選手賞を取れなかった悔しさを吐露した。

 小学校時代は、女子が相手じゃ物足りないと言わんばかりに男子の部にエントリーし、」数々の大会で優勝してきた。そんな伊藤が初めて女子に負けたのが昨年の大会だった。「とても落ち込みました」-。

 けれども、吉岡治コーチは「今まで勝ちすぎて試合内容のノルマが上がりすぎていた。テクニカルじゃなくちゃいけない、とか。負けて、いろいろなことが見えて本当によかったと思っています」と振り返る。

 キッズエリートにありがちなのは、一度の敗北で心が折れてしまい、競技を辞めてしまう場合もあること。吉岡コーチは「オリンピックに行くレベルになったら、国内外で負けることもある。それを乗り越えてまた強くなればいい。そういう選手になってもらいたい」と、将来トップ選手になる器がある伊藤に期待を込めて話した。

 伊藤は昨年、負けたことを友達に報告すると、意外な反応が返ってききて驚いた。「でも、2番なんでしょう? いい成績じゃないの」―。負けのショックは和らぎ、これを今後にどうつなげるかという点に伊藤のスイッチは切り替わった。

 負けた原因を“体力とパワー不足”と分析し、日々の生活に筋トレとビデオ研究を取り入れた。網野クラブに所属する伊藤だが、ふだんは大阪府吹田市にある自宅から通えるジムで体力トレーニングをメーンに練習し、週末は家から数時間かけて網野教室まで通う。

 大阪にもクラブはたくさんあるが、「同じ体重の選手が網野にはたくさんいて、とても練習になるから」と、移動時間を惜しまずに通う。平日の練習不足の反動か、週末の網野での集中力は目を見張るものがあるそうだ。

 伊藤を刺激するのは早大に通う、兄・伊藤駿の存在だ。昨年12月の全日本選手権では70kg級で2位の結果を残した。「お兄ちゃんがすごくうらやましい。だから私も中学校の残りの試合を全部優勝して高校に進みたいです」―。

■“泣き虫”だった選手が全国一へ、誰もが驚いた三浦の優勝

 下馬評通りに優勝した伊藤と一味違う優勝を飾ったのは男子85kg級の三浦だった。本人も指導者たちも一同に「優勝したことが信じられない」と言葉をそろえた。小学校時代は、全国大会のマットに上がるも、試合が嫌で泣き出して対戦を拒否したこともある。

 吉岡コーチは「強くさせることより、続けさせることばかり考えていた」と、指導の苦労を話す。三浦も「レスリングは辛いもので、努力しようとは思わなかった」と、あっけらかんと振り返ったが、「中1のときから練習環境が変わって、少しずつ強くなれたし、すごすぎる海ちゃんを見て、自分も頑張ろうと思うようになった」と、身近にいるチャンピオンの存在が刺激になっていたそうだ。

 網野町少年教室出身と言えば、オリンピック2大会連続出場の高谷惣亮(ALSOK)らがいる。高谷もこの大会を制して今に至る。「あの高谷先輩と同じ全中チャンピオンだね」と問うと、「驚きしかない」と信じられない様子だったが、今後の目標を聞くと、目つきが変わった。「秋の全国選抜もしっかり優勝したい。来年は高校生なりますし、そこでもしっかりとメダルを獲れる選手になりたいです」―。

 泣き虫で弱かった自分に決別。全中で覚醒した三浦だった。


 







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