日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2017.07.30

【特集】2017年世界選手権へかける(10)…女子63kg級・伊藤彩香(東新住建)

《JWFデータベース》《UWWデータベース》《国際大会成績》《勝者の素顔=JWFフェイスブック》


(文=保高幸子)

 2013年の世界選手権に59kg級で初出場。メダルにあと一歩届かなかった悔しさを胸に4年間を過ごした伊藤彩香(東新住建)。「やっと世界選手権にリベンジできる。パリまで応援に駆けつける母に金メダルを獲る姿を見せたい」と優勝を誓う。

 初出場の世界選手権は万全ではなかった。3ヶ月前の全日本選抜選手権で右肩を脱臼し、世界選手権の2回戦で同じく右肩を亜脱臼。その状態で闘った。「3位決定戦で逆転フォール負け。みんなには『(けががありながら)よく頑張った』と言ってもらったけど…」と、納得はできなかった。

 悔しい思い出の世界選手権のあと、出場した7つの国際大会のすべてでメダルを獲得している。しかし「世界選手権は入ってないし、優勝を続けているわけでもない。何でもありません」と厳しく分析する。目指しているのはもっと上。「オリンピックにつなげるためには、世界選手権で金メダルを取らなきゃ意味がない」-。

だが国内予選で勝ち切れず、世界の舞台が遠のいていた。昨年の全日本選抜選手権60kg級、勝てば非オリンピック階級の世界選手権につながる大会だったが、決勝で敗れ、3年連続で世界選手権を逃した。だから、今年の全日本選抜選手権で4年ぶりの世界選手権代表権を手中にした時は、喜びでガッツポーズと笑顔を大きく爆発させた。

 伊藤は「考え方を変えた」という。きっかけは昨年の敗戦後、5年前に恩師の故吉田栄勝コーチに言われた「負けたらどうしよう、じゃなく、勝つつもりでやれ」という言葉を思い出したこと。「優勝のチャンスがある時にも、負けたらどうしよう、と弱気になってしまうことがありました。吉田先生の言葉をもっと早く思い出せばよかったんですけど」と照れ笑い。しかし、遅すぎるということはないだろう。

■2013年世界選手権での悔しい敗戦で、レスリングに“ハマる”

 伊藤は無類の阪神タイガースのファンで、「練習のオフと阪神の名古屋での試合が合えば、試合を見に行く」というのめり込みよう。昨年は2軍の試合も含めると9回も見に行った。「ハマったら、すごい(ハマる)」と自己分析するが、「でも、レスリングとは、ほどよい距離でした」と笑う。

レスリングに“ハマった”のは、やはり2013年世界選手権のあと。「優勝と言いつつ、3位になれたらいいな、という気持ちがどこかにあった」-。敗戦をばねに、モチベーションが上がった。会社のサポートも伊藤の力になっている。「(登坂)絵莉と(土性)沙羅、2人の金メダリストと同じように応援してもらっているので、頑張らなきゃ!と思います」

 世界選手権では、この階級に出場するかは不明だがモンゴルのオーコン・プレブドルジ(前年の大会で伊調馨を破る)をマークする。今年1月のヤリギン国際大会(ロシア)でテクニカルフォール負けしており、「絶対に勝ちたい」と話す。

 パリに応援に来る予定の母も、伊藤のリベンジを期待しているはず。「危ない試合が多いから、母は手で顔を覆ってちゃんと見ていないことが多いんです。今回は安心して見られる試合をしたい」と話す。

 8月、本気の伊藤が金メダルを獲りに行く。輝くメダルを胸に抱き、誇り高く応援席に手を振る姿が見られるか。

伊藤 彩香(いとう・あやか=東新住建)  初出場(通算2度目の出場) 
 1993年1月4日生まれ、24歳。三重県出身。愛知・至学館高~至学館大卒。164cm。2009年JOC杯カデット56kg級優勝などを経て、2013年に全日本選抜選手権59kg級で優勝。世界選手権は5位。
 2015年に全日本選手権で優勝し、2016年はアジア選手権2位、ゴールデンGP決勝大会60kg級3位。全日本選手権で優勝したあと、2017年ヤリギン国際大会(ロシア)で3位へ。 

2006年全国中学生選手権46kg級で3位入賞の伊藤(左端)。優勝は浜田千穂選手

2013年世界選手権59kg級。右肩の負傷を乗り越えて5位入賞=撮影・保高幸子


 《関連記事》

■2017年6月18日: 【2017年全日本選抜選手権/第2日・特集】優勝選手の声(3スタイル)

■2016年12月22日: 【2016年全日本選手権・第1日/特集】優勝選手の声(3スタイル)

■2016年2月20日: 【アジア選手権/第3日・特集】無念の銀メダルに終わったが、気温差60度の連戦で実力養成…女子60kg級・伊藤彩香(東新住建)

■2015年7月12日: 【全日本社会人選手権・特集】全日本選抜選手権の逆転負けを払しょくする初優勝…伊藤彩香

■2013年9月20日: 【世界選手権・特集】女子59kg級・伊藤彩香(至学館大)

■2013年8月28日: 【特集】世界選手権へかける(8)…女子59kg級・伊藤彩香(至学館大)


 







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に