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2017.08.02

【特集】2017年世界選手権へかける(11)…男子グレコローマン130kg級・園田新(ALSOK)

《JWFデータベース》《UWWデータベース》《国際大会成績》《勝者の素顔=JWFフェイスブック》


(文=樋口郁夫)

園田新(ALSOK)

 1996年アトランタ大会のあと、5大会連続でオリンピックの道が閉ざされている男子両スタイルの最重量級。2020年東京オリンピックへ向けてのグレコローマン最重量級は、2014年の世界ジュニア選手権(クロアチア)で5位入賞を果たした園田新(ALSOK)が挑む。今年の世界選手権が3度目の出場。「まだ1勝もしていない。1試合でも多く勝つ。自信がつく闘いをしたい」と気合いを入れる。

 この冬は全日本チームの欧州遠征への帯同を認められ、クロアチアとハンガリーで強化。アジア選手権(インド)に出た後、7月の欧州遠征にも参加し、ポーランドとスペインで実力を養成した。

 冬、あるいは世界選手権前の海外遠征では、経費や実力の問題で最重量級の選手は派遣されないことも珍しくなかった。日本オリンピック委員会(JOC)からの強化費も増え、単純に比較はできないが、これだけの素材を練習相手が不足する国内だけに置いておきたくない、という強化委員会の姿勢があることは容易に想像できる。

6月の全日本選抜選手権で優勝、3度目の世界選手権出場を決めた=撮影・矢吹建夫

 スペインでの大会に参加したあとは、帰国するチームと分かれ、現地で行われた7ヶ国参加の合宿に単独で参加した。最重量級選手への待遇としては破格と言えよう。「本当に、数多くの遠征に参加させていただいていますね」。しみじみと話す園田の表情には、「期待にこたえなければならない」という気持ちがにじみ出ている。

■数多くの海外遠征を積み、徐々に外国人コンプレックスの呪縛が解け始めた

 スペインでの合宿には、スペインGPの決勝で闘った元キューバ国籍のチリ選手が参加し、1階級下には元世界王者のフランス選手もいた。同格の選手に加え、実力が上の選手もいて、「ためになりました」という。チリ選手には、大会ではテクニカルフォールで敗れていたが、合宿中の練習試合では互角近くの展開ができた。

 同じようなことはポーランドでも経験した。大会ではフォール負けしたフィンランド選手とその後の合宿での練習試合で闘ったが、これまたラスト30秒まで善戦し、1点差での敗北。試合での結果ほどの実力差はないことは明白だ。

松本隆太郎コーチの指導で差しの研究をする園田

 完敗してしまう原因として、外国選手は本番に強いことが挙げられるだろうが、日本人の“外国人コンプレックス”、すなわち相手を実物以上に大きく感じてしまうことも考えられよう。初顔合わせでは、特にその呪縛に襲われてしまうようだ。「幽霊の正体見たり枯れ尾花(すすき)」という言葉があるように、「怖い」と思えば、枯れ尾花でも怖くなってしまう。

 ただ、海外遠征を数多く積み、マット外でも外国選手と多く接する機会を経験した現在、「緊張することはなくなりました」というから、少しずつであっても呪縛は解け始めている。

 世界ジュニア選手権で5位に入ったものの、「120kg級でのことですからね。130kg級とは、また違うんですよ」と、周囲が思う以上に10kgの差は大きいという。この克服も課題で、ウエートトレーニングなどの体力トレーングも欠かさない。

 それらの成果を出すのは3年後だが、今後も軽量級と同じような強化を受け、単独での海外修行を認めてもらうためには、今年の世界選手権で結果を出すことが必要だ。東京オリンピックを見つめつつ、まずフランスでの闘いに全力を尽くす-。

園田 新(そのだ・あらた=ALSOK)  3大会連続3度目の出場 
 1994年7月5日生まれ、23歳。滋賀県出身。滋賀・日野高~拓大卒。187cm。2011・12年全国高校生グレコローマン選手権優勝などを経て、2013年全日本学生選手権で1年生王者へ。2014年に全日本選抜選手権を制して世界選手権へ出場。
 2015年も国内大会で勝ち続けるが、リオデジャネイロ・オリンピックへは出場できず。2016年も全日本選抜選手権などで負け知らず。父・崇さんは1987年世界エスポアール選手権日本代表選手。  

2009年全国中学生選手権で3位入賞(右から2人目)。左端は2位の弟・平選手=撮影・矢吹建夫

初出場の2014年世界選手権、ロシアのマホフをフォール寸前まで追い詰めた=撮影・保高幸子


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