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2017.08.02

【インターハイ・特集】高校から育てることにやりがいを感じています…地元開催をベスト8で飾った山形商・芦野茂美監督

(文・撮影=増渕由気子)

  50回目のインターハイ出場を地元・山形で迎える。しかも芦野茂美監督は山形商に勤続30年という節目―。山形商(山形)は最高の形でインターハイに出場した。

 芦野監督は「これも何かの巡り合わせ。7年連続50回目の出場だったのですが、3年前くらいに、このままいけば地元で50回目だと気がつきました。それまで1回も落とせないと、プレッシャーを感じながらの日々でした」と振り返る。そのプレッシャーが芦野監督にはプラスになっていた。「この与えられた宿命を力に変えなければならない」。

 「日本一への挑戦」というスローガンのもと、5年に渡る強化が実り、初戦(2回戦)は新潟県央工(新潟)に7-0と完勝。3回戦は日本文理大(大分)に5-2で勝利した。ベスト4をかけた沼津城北(静岡)は、キッズ時代から実績のある選手を中・軽量級に配置し、先手必勝型のチーム。「重量級は、うちに分があるので、50kg級から74kg級の5階級のうち2階級を獲る作戦でした」。

 トップバッターの50kg級の庄司奈央は終盤まで1-2と接戦。終盤にタックルからバックに回り込むが得点にならず。すかさずチャレンジしたが、相手の小手のディフェンスが有効となりポイントが認められなかった。結果論だが、ここが勝負の分かれ目となり、66kg級の池田龍斗と84kg級の今野港斗の2勝を挙げるにとどまった。

 昨年のベスト16を上回るベスト8は、強化の集大成として実りある結果だと言えるだろう。けれども、選手たちからは大粒の涙があふれていた。秋場勇星主将は「中学3年の時にインターハイが来ると知り、地元で輝こうと思って柔道からレスリングに転向して頑張ってきた。全国の5位は強い方かもしれないけど、今は悔しいです」と涙を流した。

■芦野流、レスリング選手の育て方

 「7年連続50回の出場」という記録は、なかなかできるものではない。芦野監督は「一番大変だったのは選手の確保です。キッズクラブ全盛の今、山形県は他県より後手になっている。高校からレスリングを始めた初心者を鍛え、全国を目指す方針で強化してきました」と振り返る。今回のレギュラーメンバーに、キッズ出身選手は2人。あとは柔道、水泳、陸上からの転向者だった。「なんとか7階級を3年生でそろえることができた」と納得のいくチームは作れた。

 キッズ強化は重要だと考える一方で、芦野監督には、ぶれない教育方針がある。「私は高校から教えることにやりがいを感じているんです。他競技からのスカウトも含めてね」。過去にはレスリングにふさわしい脚力があると感じ、バドミントン経験者をスカウトしたこともある。

 スカウトがうまくいっても、次のハードルが待ち構えている。レスリングは人口が少ないため、全国大会に出場しやすいという一面があるが、そこでの挫折も受けやすい。「志を持って全国大会に出ても、キッズエリートとの差を肌で感じてしまい、高校生のうちに追いつけるのかと心が折れてしまう選手もいるんですよね」。

 今年のチームもそのような一面があった。全国大会で勝てる実力とメンタルをどうやってつけさせるか―。その答えは、とにかく強い選手と練習する、の一択だった。この4年間、ゴールデンウィークや、夏休みなど年に数回、山形で東北を中心とした高校との合宿を敢行した。

 「秋田商の横山先生、盛岡工の巣内先生など東北の先生たちに助けられた」。秋田商は学校対抗戦で常に上位進出している強豪校。強い選手と繰り返し練習することで、高校から始めた選手たちも、どんどん度胸がつき、大舞台で力を出せるようになっていた。

 「選手たちは全員立派だった。地元開催という節目に巡り合えて幸せです」。芦野監督、集大成となる山形での夏だった。


 







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