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2017.08.17

【特集】民間企業勤務で国際審判員! 大阪の郵便局員、阪本宏樹(日本郵便)さん

(文・撮影=増渕由気子)

阪本宏樹審判員(日本郵便)

 6月の明治杯全日本選抜選手権大会の決勝戦で新たな試みが行われていた。選手の紹介に加えて、マット上で審判員3名をマイクで紹介された。競技は審判がいないと試合を行うことができないため、敬意を払っての一幕だった。

 審判界でも、選手同様に世界の舞台を目指して精進している審判員が多数いる。25歳でA級、今年、国際審判員の資格を獲得した阪本宏樹さん(日本郵便)もその一人。「国際審判員の試験は去年3月にニュージーランドで行われ、旅費は全額自腹でした。けれどもチャンスだと思い、声かけていただいた時に即決しました」と、並々ならぬやる気で満ちあふれている。

 地方大会はもちろん、JOC杯や全国中学生選手権大会を経て、昨年の6月の全日本選抜選手権で全日本デビューを果たした。今年の全日本選抜選手権では決勝戦のレフェリーも務め、すっかり全国の常連だ。

 審判は、教職員が部活の顧問と並行して行うことが多数を占めるが、阪本さんは民間企業に務めるサラリーマン。大阪の郵便局員として働きながら、国際審判員として日本内外での活躍を目指している。民間企業で審判を務めるのに、一番大変なことは休暇を取ることだ。

 「土日や特別休暇を含めて年間で150日休暇が取れます。そのほとんどをレスリングに費やしています」

 今年32歳。職場では、現場管理など重要所を任されている。それと審判を両立するために、年間計画の段階で、レスリング日程のところに事前に有給申請をしておくそうだ。「呼ばれたらいつでもいけるように、年始から準備しています。呼ばれなかったら、普通のお休みになるだけです(笑)」。用意周到とはまさにこのことだ。

恩師の芦田隆治審判員(大阪・大阪市立中央高教)にあこがれて審判の世界へ

 阪本さんは現在、母校の大阪市立高でレスリングの指導も行っている。日本で初めてレスリング部を作った伝統校で、阪本さんが中学生だった時には近畿大会で優勝するなど黄金時代だった。「高校を卒業してからレスリングから離れていた時期があったんですが、こうやってここに戻ってきたのは、母校のコーチをすることがきっかけだったんです」。

厳しい目で試合を裁く阪本審判員

 阪本さんの恩師は、2008年北京・2012年ロンドンとオリンピック2大会連続で審判員に選ばれた芦田隆治氏だ。7年前に芦田氏が転勤になり、「母校のレスリング部を見る人がいなくなるので、指導をお願いできないか」と打診された。

 「僕、全然強くなかったんですが、3歳から15年のキャリアはあったので」と引き受けたことで、阪本さんのレスリング生活が再び始まることになった。その時、芦田先生からは一つだけ条件を提示された。「仕事をおろそかにするな。仕事に支障が出るんだったらやらなくていい。一番何をするべきか、そこだけは考えてやってくれ」—。

 この言葉を胸に、仕事に一切の妥協をせず今日まで取り組んできた。アルバイトの子には社員になる方法や、レポートのやりかたまでも面倒を見るなど、仕事も申し分ないため、休みの前日になると「レスリング、しっかり頑張れよ」と社員から激励されるようになったという。

 「僕の高校の先輩たちは強くて、いつも芦田先生に褒められていた。僕はそれがなかったから、審判で頑張って、いつか芦田先生に『よう、がんばってんな』って言ってもらえるようになりたい。競技では1番になれなかったけど、審判で日本代表を目指したいです」。

 最後にどんな審判になりたいかと聞いてみた。「この人に吹いてほしいって思われる審判員になりたいです。この人が下した判定なら納得できるって思われたい」—。弱冠32歳の阪本審判員の飛躍はこれからだ。


 







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