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2017.08.25

【2017年世界選手権・特集】終了間際に痛恨の逆転負け、時計は戻ってくれなかった…女子53kg級・向田真優(至学館大)

終了間際の逆転負けにぼう然とする向田真優(至学館大)

 【パリ(フランス)、文=布施鋼治】世界選手権の女子53kg級決勝戦。向田真優(至学館大)が階級を変えながら2年世界一を目指していた。残り時間は10秒を切っていた。スコアは6-4。このまま向田が逃げ切ると思われる流れだった。しかし、勝負の世界の先にはいったい何が待ち受けているかわからない。

 たかが10秒、されど10秒。その刹那、バネッサ・カラジンスカヤ(ベラルーシ)に強いプレッシャーをかけられた向田はあびせ倒しのような感じでマットに倒れ込んだ。

 第2ピリオド終了間際の攻防でスコアは6-8に逆転。時計の針は戻ってくれない。マットの上で向田真優は尻餅をついたまま、ぼう然とするしかなかった。

 周囲の期待に応えるかのように、トレードマークのピンク色のレスリングシューズを履いた向田は1回戦から勝ち上がっていった。向田が決勝を迎える前、すでに土性沙羅と須崎優衣が優勝を決めていた。前年度の世界選手権55㎏級優勝者の向田への注目度はいやがうえにも高まっているように思えた。

 決勝でも第1ピリオドの中盤までの段階で向田は6点を先取し、試合の流れを掌握しているように見えた。第1ピリオド終了間際には場外への押し出しで1点を失ったが、試合の流れには影響しないものと思われた。

第2ピリオド中盤、場外ポイントを失い、じわりじわりと追い込まれていった

 しかし、第2ピリオドになっても、カラジンスカヤのプレッシャーは勢いを増すばかり。コーションで2点を加えたと思いきや、再び場外ポイントでも加点して6-4と2点差まで追いついた。

 点数でリードしているのは向田の方なのに、時間が経つにつれ向田の腰は引けているように映った。そして最後の最後でまさかの大逆転劇が起こる。ミックスゾーンに現れた向田はマイクやボイスレコーダーを向けられても、すすり泣くばかりで、言葉を発するまでに時間がかかった。

 「気持ちは勝ちたいと思う反面、相手のプレッシャーが強くて、それをうまくかわすことができなかった」
 
 向田の敗因──。それは土壇場で相手の”気”に圧倒されたからにほかならない。試合を見る限り、テクニックだけを比較したら向田の方が明らかに上だった。しかし、カラジンスカヤは向田のテクニックを凌駕する気のパワーで勝利を奪い取ったのだ。

 テレビ中継の解説を務めるために現地入りしていた吉田沙保里コーチ(至学館大職)は向田の試合について、気持ちが最後に守りに入ってしまったと振り返った。「でも、いい勉強になったと思う」

 表彰式後、再び記者団の前に現れた向田は、贈られた銀メダルを首からぶら下げていなかった。ずっと手に握りしめたままだった。質問を投げかけられると、うつむきながら「悔しいです」と一言だけ呟いた。

(注)向田選手が第2ピリオド中盤に受けた場外による1失点は、審判団によるミスジャッジがゆえの失点です。向田選手が相手を指をつかんだとして、レフェリーは警告を課し、相手に2点を与えましたが、この時、試合を止め、なぜ警告になったのかを本人とセコンドに通達しなければなりません。これが行われないうちに向田選手が場外に出てしまって1点を失い、6-1だったスコアが一気に6-4となりました。
 試合を止め、センターから再開されていれば、場外による1失点はなかったと思われ、6-3で終盤へ。試合展開は変わったと思われます。

 







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