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2017.08.27

【2017年世界選手権・特集】肉は斬られたが、骨までは折れていない…男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮(ALSOK)

ジョーダン・バローズ(米国)に先制した高谷惣亮(ALSOK)だが…

 【パリ(フランス)、文=布施鋼治】「ねっ、男前になったでしょう?」。ミックスゾーンに現れた高谷惣亮(ALSOK)は、大きく腫れ上がった左目上部を指さしながら、リオデジャネイロ・オリンピック後初の世界選手権を語り始めた。「試合ごとにガツンガツンとぶつかられるので、痛くてタックルで飛び込めなかった」

 1回戦から高谷はバッティングに悩まされ続けた。もちろん過去にもバッティングを受けた経験は一度や二度ではない。しかし、これだけ多くのバッティングを受け、これだけ大きくダメージを受けたのは初めてのことだった。

 「頭痛もあれば、吐き気もあった。ここまでクラクラするのは初めてですね。ジョーダン・バローズ(米国=世界V4)との2回戦も、頭がクラクラする中でやっていました」

 相手のタックルをブロックするために、相手と自分の額の高さを合わせ、仮にバッティングになったとしてもテークダウンを避ける。どちらかといえば、最終手段として使われるテクニックで、高谷の対戦相手はタックル封じを実行していたのだろうか。「一度くらいならぶつかっても平気だけど、それが2回、3回続くと心の弱さが出てしまった」

 それだけではない。1回戦ではエビ固めでフォールの体勢に持ち込んだあと、左腹を思い切りかまれた(相手は反則負け)。ガーゼが貼られた傷口を見せてもらうと、そこには歯形がクッキリと残っていた。

敗者復活戦を勝ち抜けず

 「絶叫ものでしたよ。かみつかれたのは初めて。ロシアのヤリギン国際大会で口の中に指を突っ込まれて口の中がえぐれたことはありましたけどね」

 さらに、右足首にはテーピングが巻かれていた。4本のじん帯のうち3本を損傷していたため、敗者復活戦のあとは歩くことすら億劫そうだった。高谷は満身創痍の中、必死に闘っていた。

 「実力だけの勝負だったら、簡単にタックルをとれる。アクシデントやけががある中での闘いだったので、ある意味今回は及第点だったかと思います」 

 先日、世界陸上で12年ぶりに35歳で優勝したガトリンを見て、高谷は大きな刺激を受けた。「レスラーの寿命は短い。ほとんど30歳手前で引退してしまう。同期も、ほぼいない。僕は18歳でタックル王子と呼ばれ、もう10年が経つ。ガトリン選手はドーピング問題もあったけど、逆風の中、金を獲った。いまの僕は28歳。東京オリンピックの時には31歳になるけど、ガトリン選手のように歳を重ねるごとに進化して、レスリング界のガトリンと呼ばれるようになりたい」

 肉は斬られた。しかし、まだ骨までは折れていない。


 







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