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2017.11.14

【全日本大学選手権・特集】けがの連続を乗り越えてつかんだ栄冠! 兄・倫也に追いつく日は?…65kg級・中村剛士(専大)

(文=樋口郁夫)

雌伏(しふく)の時を経て、2年生にして全日本大学王者に輝いた中村剛士(専大)

 けがを乗り越えた男が栄冠を獲得-。全日本大学選手権の65kg級は、「本命」や「対抗」とも言われた選手ではなく、全国レベルでは無名に近い存在だった中村剛士(専大2年)が優勝した。

 兄・倫也(博報堂DYスポーツ)は世界選手権代表だが、こちらは新人選手権での優勝もない選手。昨年4月に専大に入学後、けがによる戦列離脱が続き、一時は「トレーナーとかの裏方でチームを支えようか」という気持ちもよぎったという。高校時代から通じて初の“全国制覇”に、「素直にうれしいです。けがで練習できない期間が長かったので、特にそう思います」と表情がほころんだ。

 しかし、すぐに「65kg級で主軸と言われた2人(米澤圭=早大、乙黒圭祐=山梨学院大)を破っての優勝ではないので、『オレが一番だ』は言えませんね」と気を引き締めることを忘れなかった。

決勝も開始から積極的に攻めた

 学生王者らが反対側のブロックに固まり、くじ運のよさがあったことは否めない。それでも準決勝までの3試合はTフォール勝ち2試合を含めた無失点だったのだから、中村の実力が開花したと言えよう。

 決勝の志賀晃次郎(拓大)戦は一転してポイントを取り合う展開へ。だが、「自分から仕掛けよう、という気持ちが強すぎた」という末のカウンターやバランスを崩して乗られての失点は、責められることではない。

 「冷静さは最後まであった。タックルでポイントを取る、という気持ちを持ち続け、攻めることができた」ので、ポイントの取り合いになっても自己を見失わない強さは持っている。

チャンピオンの背中が見えてきた優勝

 2012年に中学で全国二冠王者(全国中学生選手権、全国中学選抜選手権)に輝いた。しかし、花咲徳栄高(埼玉)ではけがが多く、高校2年生の時のJOC杯カデットでの優勝のみ。最後のインターハイは骨折で出場できなかった。専大に進んでも前述の通りで、負傷のため断続的に練習を休んだ。

2012年の全国中学生選手権で優勝した時の中村=撮影・矢吹建夫

 列記するなら、昨年4月に入学して6月の新人選手権で右膝の外側靱帯を断裂。ここで3ヶ月以上の空白。11月初めから本格的に練習を再開し、秋季の新人選手権を目指したが、今度は準決勝でひじを脱臼し、靱帯も切れて入院。約3ヶ月のブランクのあと、今年4月のJOC杯に挑んだが、ひざの靱帯を再度断裂して準決勝は棄権した。

 8月中旬に復帰。大事をとって全日本学生選手権を棄権したのがよかったのか、以後は負傷箇所を痛めることもなく現在に至った。「2ヶ月以上も長く練習できる日が続いたのは、入学後、初めてのことですね」と笑う。

 しっかり練習ができることは、気持ちの安定にもつながる。「調子が上がってくるのが分かりました。今までは大会の3週間前にマットに戻ったことで、気持ちがカツカツで、『これで出るの?』みたいな部分もありました。そんな状態だったかたら、けがしたのかもしれませんね」-。

 今年は兄・倫也が世界選手権の日本代表に輝き、世界選手権(フランス)でも5位入賞と飛躍した。兄も負傷による戦線離脱期間が長く、それを乗り越えての日本代表、世界入賞だった。

兄直伝のリンクル・ホールドが爆発! ツヨクル・ホールドと呼ばれる日は来るか

 当然、大きな刺激であり“先生”だ。リハビリのやり方、そこから這い上がった精神力、そして技術指導。決勝で見せた相手の太ももの間に頭を入れて回すアンクルホールド、最近は倫也をもじって「リンクル・ホールド」とも言われ始めている技は、兄からの伝授。決勝の舞台でも爆発させられる“秘密の鍵”は、弟にだけは伝えられているのかもしれない。

 同期の成國大志(青山学院大)や石黒峻士(日大)らが華々しく活躍していたのとは対照的な境遇だったが、「絶対に金メダルを取ってやる」との思いは常にあり、それを結集させた金メダル。「自信が出てきました。(米澤や乙黒に)大きく引き離されていると思っていた差ですが、背中が見えてきた、と思えるようになりました」ときっぱり。

 けがで苦労しただけに、「けがをしないで練習を続けること」を目標に、まず12月の全日本選手権へ挑む。「今年」とは明言しなかったが、「いつか必ず全日本チャンピオンを取ってやります!」と力強く宣言した。







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