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2018.01.02

【新春特集】アントニオ猪木さんが闘魂伝授! 不撓不屈のエネルギーでオリンピック中間年に挑む!(2)


《第1回から続く》


2020年東京オリンピックへ向けて話が盛り上がった(左から)栄和人、アントニオ猪木、馳浩の各氏

指導者の“褒め言葉”が選手のやる気を引き出す

 馳 栄本部長は海外修業の経験はありましたか。

 栄 修業というのはなかったですね。世界選手権などの前に、少し長めに現地に滞在したということくらいです。当時は国内のレベルが高かったので、国内で頑張れば世界のトップに行けた時代です。海外で修業する必要はなかったんですよね。あとは金銭の問題ですね。さっきも話が出ましたが、今みたいに国から強化費といったものは、ほとんど出ていなかったと思います。

 馳 前回の世界選手権では34年ぶりに男子が金メダルを獲得しました。キッズ・レスリングあがりの選手だったんですが、キッズあがりのエリート選手であるほど、実はもろさもありまして…。一度負けると挫折してやめてしまったりする選手も多いんです。猪木さんは、どうやって挫折した時や思う通りにいかなかった時を乗り越えましたか?

 猪木 いろいろあるんだろうけど、「一言の助言」でしょうね。力道山先生の付け人を3年間やっていましたが、(力道山が)刺された前日に、前田親方(大相撲の元横綱前田山)の宴席に呼ばれ、前田親方が私を見て、「力さん、こいつはいい顔してるね」って言ってくれたんです。力道山先生がニコっと笑って、「そうだろう」って言ってくれました。それまではボロクソに言われていたのですが、この一言で気持ちが盛り上がりました。運命でしょうね。これがなかったら今の私はないでしょう。

 栄 選手を褒めることが必要なわけですね。

 猪木 簡単に褒めるのではなく、こういうところを見てくれている、というのに気がつかせるような褒め方ですね。簡単には行かないけどね。

(写真下に続く)

1992年1月4日、東京ドームでアントニオ猪木さんに挑んだ馳浩(撮影=山内猛)

 栄 猪木さんは、ムハマド・アリとの一戦で数十億円もの借金も背負いました。でも、そこから立ち直って、今があります。挫折から何度でもはい上がる、というイメージがあります。どんな気持ちではい上がるのでしょうか。

 猪木 (挫折したら)当然、落ち込みますよ。アリ戦後は立ち直るまで時間がかかりました。でも、前へ進むしかなく、闘うしかないという気持ちでした。あの試合の翌日、凡戦だったことに対して酷評がすごかったのですが、乗ったタクシーの運転手から、「ご苦労さまでした」と言われたのです。その一言で救われたというか、気持ちが持ち直しました。褒めることは大事だと思います。

自分の背負っているものに気がつけば、強く生きられる!

 馳 今の若い選手は、精神面が弱いのでしょうかね。

 猪木 今度「猪木VSアリ」に関する新書が出るんだけど、これまでの本と違うのは、試合内容や結果ではなく、その試合の背景に焦点が当たっています。アリは黒人でしたから、黒人社会に生き抜いていて、ほかの選手とは違う強さやメンタルの強さがありました。背負うものがあったんですよね。そのあたりが今の時代の若者と違うのかもしれません。自分の背景にあるものを背負うことがない、あるいは背負うべきものに気がつかない。背負うものに気がつけば、強く生きられると思います。

 馳 昔、猪木さんの後をついていきました。ソ連のペレストロイカで日ソ戦をやりましたね。イラクのバグダッドにも人質解放のために一緒に行き、中国の大連での試合も行きました。「スポーツの祭典」で北朝鮮の平壌にも行きましたね。ギャラは10万円でしたが(笑)。猪木さんは常に問いかけるんですよ、「闘いの意味が分かるか。分かるヤツだけついてこいと」。

 猪木 懐かしいねぇ(笑)。

 栄 普通なら行けない国や行事にお2人で参加した経験があるんですね。危なくなかったでしょうか?

 馳 「何があっても自分の責任で行きます」と一筆書かされましたよ(笑)。

(写真下に続く)

アントニオ猪木元気杯に続く合宿で少年少女選手を激励するアントニオ猪木さん(提供=総合格闘技ジム「BRAVE」)

 栄 あちこちとの外交を経験して、感じたことはありますか。

 猪木 それぞれに歴史背景があることですね。その背景の中で、闘うことの意味を伝えるべきことだということです。東京オリンピックを目指す一人ひとりに、歴史背景があるんだから、何のために闘っているのか、なんで早く起きて練習してるのか、なんでコーチがいるのか、といった意味を深く追求させることが必要ですよね。少し、宗教的、哲学的になってきましたが、受け身で練習やっていても駄目なんです。

 馳 自分の歴史背景を背負って闘う…、これはいつも栄さんが選手に指導している言葉ですよね。「すべてを背負え」と。

 栄 選手それぞれに意識を持たせて、高い志を持たせないとね。ただやっているだけでは意味がない。

 馳 選手たちに、スポーツをやる意味を少し哲学的に考えさせられる機会があれば、精神的挫折は乗り越えられるようになるかもしれませんね。それが難しい部分だけど、「何のためにスポーツしているの?」と考えさせることで、向上心が芽生えると思います。

《第3回に続く》







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