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2018.01.03

【新春特集】アントニオ猪木さんが闘魂伝授! 不撓不屈のエネルギーでオリンピック中間年に挑む!(3)


《第2回から続く》

それぞれの持論を出し合った(左から)馳浩、アントニオ猪木、栄和人の各氏


底上げに貢献したJOCエリートアカデミー

 猪木 日本のレスリングのレベルは、なぜ落ちてしまったのかな?
 
  昔は、試合時間が5分2ピリオドとか3分3ピリオドと長くて、スタミナで勝つことができました。試合時間が短くなり、持久力より瞬発力の勝負になったことが大きな要因だと思います。マラソンでは、1964年の東京オリンピックや次のメキシコ・オリンピックでメダルを取った選手がいますが、短距離では日本選手はなかなか勝てていません。それと同じです。農耕民族は狩猟民族に比べると瞬発力の面で劣ります。

  日本選手はだいたいがスタミナ型ですね。イランや欧米の選手はパワー型。ばてる前に試合が終わるので、試合時間の短縮は欧米選手に有利だったと思います。私の学生時代に3分3ピリオドから3分2ピリオドに短縮されたのですが(1981年)、世界へ出た時、もう3分間あれば逆転できたのに、と思うことが何度かありました。自分はまだスタミナが十分にあるのに、相手はバテバテでしたから。

  1976年モントリオール・オリンピックで6位に入賞され、日本重量級史上最強と言われた谷津嘉章さん(のちに猪木さんにスカウトされて新日本プロレスへ)も3分3ピリオド時代の選手ですね。

  今の日本は、キッズ・レスリングが盛んになっていることもあって、技術で勝っている面があります。やみくもにスタミナを養成する練習では世界で勝てないので、これは正しいと思います。

  若い頃から正しい技術を教えるJOCエリートアカデミーの存在は、日本の強化に大きな役割を果たしました。底辺の強化とトップレベルへつながる一貫強化体制をしけたのはよかったです。

(写真下に続く)

宮田和幸さん(日大OB)主宰の合宿に参加したアントニオ猪木さん(提供=総合格闘技ジム「BRAVE」)

格闘技は、暴力ではなく気合を入れる部分が不可欠

 猪木 ただ、根本は体力と精神力が必要だと思う。私たちの時代は、ビール瓶で殴られて、耐えて、強くなったんですけどね(笑)。

  文字にしづらい話ですね(笑)。

 猪木 当時はそれが当たり前だった。暴力はよくないに決まっているけど、暴力じゃなく、気合を入れるって部分がなくなったら格闘家は強くなれないよね。

  今は手や足が出てしまうと、すぐに「体罰」として問題にされます。言葉の使い方でもいろいろ言われる時代です。そうした状況の中で厳しく指導するというのは、かなり難しいです。

 猪木 時代が変わってしまったというか、言っていることが、昨日と今日とで一変してしまう。テレビのワイドショーなども問題ですよね。小さなことでも、大きく取り上げてしまう。

  体罰ではなく、しつこい指導、しつこい研究、しつこいトレーニングでいいと思います。要するに、他人がやった回数の何十倍もやるというしつこさの追求の中に、変化があって、変化の中に進化があって、進化の中に成功があると思っています。

  味の素トレーニングセンターの道場にも貼ってありますね。

(写真下に続く)

2002年6月の全日本合宿では、現在の井上謙二・男子フリースタイル強化委員長(左)と松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長も闘魂ビンタを志願していた!

  「しつこさの中に変化がある! 変化の中に進化がある! 進化の中に成功がある!」 ですね。厳しくしたり、言ったりすると、「やる気がなくなった」とかいう選手も多いから、しつこく対応するって本当に難しいんですよ。しつこく追求していき、厳しい環境で変わっていくことで体力と技術の向上があると思っています。

身近にライバルがいて競っていくことが必要

  あとはライバルをつくることですね。身近にライバルがいて競っていくって、選手にとっては精神的に厳しいことです。体罰を課すよりも厳しいことだと思います。私が新日本プロレスにいた時は、道場でコーチを2年間させてもらいました。選手会長もやりました。新日本プロレスの道場は、ある意味で科学的でしたが、すさまじいサバイバル戦でした(笑)。

 猪木 みんな上を目指してギラギラしていたからね。合宿所が隣にあって、夜、だれかが練習を始めると、負けてなるものかと他の選手も練習を始める、という感じでした。ですから、レスリングでも国内でライバル同士が競い合う環境作りが必要だと思います。

  ぬるま湯の中からは絶対に勝利はやってこない。リオデジャネイロ・オリンピックの前の年(2015年)の世界選手権で男子が惨敗した時、福田富昭会長が責任を取ってスキンヘッドにしましたよね。これも厳しさのひとつだと思います。

  その時は、強化本部長の私の責任問題も問われました。

  その1年後のオリンピックで、男子は銀メダル2個を獲得。今年は金メダルを2個もとって巻き返したんです。どんな原動力が巻き返しにつながったんですか?

  僕がコーチ陣の意識を変えてきたことは確かだと自負しています。コーチ陣が負けたことを選手のせいにするのではなくて、まず自分たちの指導を振り返ってほしい、ということです。コーチが自分の手で選手を強くするという気持ちがなければ、選手は外を向いてしまう。やる気のないコーチはいらないと思っているので、コーチ会議では、結果を残せなければコーチは全員撤退するべきだ、とまで言っています。男子の躍進は、コーチ陣の責任感が出てきたのかなと思います。

  負けた原因を選手に求めるのではなく、指導方法を振り返ることが必要ですね。科学的なトレーニングで選手を追い込み、国内だけでなく世界で通用する強化ができるかがポイントになってきますね。その舵取りを栄本部長に期待したいと思っています。

《第4回に続く》







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