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2011.03.08

【特集】実戦でしか分からない弱点をつかむ…63kg級・伊調馨

(文・撮影=樋口郁夫)

 五輪3連覇を目指して無敵の快進撃を続ける63kg級の伊調馨(ALSOL)が、昨年に続いてワールドカップ4戦全勝。ずば抜けた強さを見せた。(左写真=3位決定戦で勝って4連勝の伊調)
 
 しかし、予選2回戦のフランスの選手相手に技術回避のコーション(警告)を受け、タックル返しまで受けてしまい、3位決定戦のジャスティン・ボーチャード(カナダ)相手にクリンチの攻撃を失敗するなど、細かな部分では「パーフェクト」とは言い難い内容を残した。
 
■地元びいき判定を受け、怒りのフォール勝ち
 
 予選での最大の焦点は3回戦の景端雪(中国)だっただろう。2005年世界選手権の決勝で勝った相手だが、その後、67kg級に上げて2年連続世界チャンピオンに輝いた選手。北京五輪は逃したものの、22歳と若く、63kg級で今後のライバルとなる可能性を秘めた選手だ。

 しかし伊調にとっては闘いにくいタイプではなく、67kg級で世界V2を達成したからといって、特別に警戒する相手ではなかった。実際に闘ってみて、「以前闘った時より、細くなっていてびっくりした」と、こともなげに言い、難関を乗り越えたという気持ちはなし。「ちゅうちょしたところがありましたし、出来としては20点。アタックが少なかった」とまで口にし、2-0(1-0,4-0)という結果には満足していないという(右写真=第2ピリオド、フォール寸前に追い込む伊調)。
 
 思わぬ苦戦をしいられたのは、その1試合前のフランス戦だ。第1ピリオドを3-4で取られてしまった。1-0とリードしたあと、消極的な選手に科せられる技術回避コーション(警告)を取られて1-1とされてしまった。残り時間は19秒。これには少し焦ったのか、攻撃したところをタックル返しで返され1-4。すぐにバックを取って2-4。ローリングを決めたが、1点しかもらえず、3-4でこのピリオドを取られてしまった。
 
■実戦を多く積んで世界選手権へ臨む!
 
 地元びいき判定としか思えないジャッジに起因する結果だったが、現在のルールになって、国際大会で伊調が第1ピリオドを取られたのは初めて(国内では2009年全日本選手権の山本聖子戦の1試合だけ)。
 
 もっとも、これも伊調の足をすくうには至らなかった。「あの判定で燃えました」と、火に油を注ぐ結果となり、第2ピリオドは豪快な正面タックルからフォールを決めて勝負を決めた。「まあ、攻撃しなければ駄目ということでしょう。課題です」と、判定への不満を封印し、攻撃レスリングへの気持ちを表した。

 最後の3位決定戦も、終わってみれば接戦を制する強さが印象的となった試合だが、伊調がクリンチの攻撃を返されてポイントを失ったことに(左写真)、歯車のずれを感じさせた。「カナダ留学中によく練習していた相手です。苦戦というか…。研究されていたことと、まだ練習の力を試合に出せないだけです」と説明し、実戦を積み重ねていくことで修正されていくと強調した。
 
 ただ、クリンチからを含めて2度もタックル返しを受けたことは今後の課題。「試合でなければ分からない弱点が分かりました。世界選手権までにも、出られる試合はすべて出て、自分の弱点を見つけていきたい」と話し、5月のアジア選手権(ウズベキスタン)や7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)も視野に入れて、世界選手権に向かう。
 






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