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2011.09.03

【特集】世界選手権へかける(14)…男子グレコローマン84kg級・岡太一(自衛隊)

(文=保高幸子)

 昨年、史上9人目の学生四冠王(全日本学生選手権両スタイル、全日本大学選手権、全日本大学グレコローマン選手権)という偉業を成し遂げた岡太一(自衛隊=右写真)。12月の全日本選手権では、世界選手権(ロシア)とアジア大会(中国)に出場した格上の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)をも破り、大金星をあげた。

 滝を昇るかのような勢いで急上昇した選手。拓大の同期である岡本佑士(警視庁=グレコローマン66kg級)とともに、グレコローマン84kg級で初の世界選手権に挑む。

■全日本選抜選手権で敗れ、俵返し対策に取り組む

 初優勝の全日本選手権では緊張はなかった。「斎川さんは強いので、思いっ切りやろうと思って。思いっ切りやったら、終わったとき勝っていた、という感じです。試合に流れの中で、運もありました」と、チャレンジャーの立場のなせる技だったことを強調する。だが、すぐに世界を意識したわけではなかった。「全日本選抜選手権が近づいてきて、やっと、『あ、次勝ったら世界選手権に出られるんだな』と思いました」と言う。

 不思議なもので、そうした意識になった全日本選抜選手権は、12月とはうって変って緊張していた。「全日本選手権のように自分のレスリング思い切りやれば勝てる、と思ったんですが、勝たなければいけない、という気持ちが心のどこかにあったんですね」と振り返る。結果、斎川ではなく天野雅之(中大職)に敗れ、1回戦敗退。

 斎川対策は万全だったが、天野の得意とする俵返しへの対策がなかった。日本人選手はあまり得意としない攻め方であり、「しっかり練習していなかった」と振り返る。この時点で岡にできることは、すぐにプレーオフに向けて対策すること。本命の斎川を破って優勝したのは天野で、天野との再戦となった、

 同じように俵返しの組み手で攻めてきた天野に対し、不安があったグラウンドのディフェンスだが、対策が講じてしっかり切ることができた。「負けた時は焦りました。でも、あそこで一回失敗しておいてよかったかな、と思えます。俵返し対策に本気で取り組めました。世界に出れば外国人選手は俵返しやってきますから」と、失敗をバネに立ち上がった。(左写真=天野を破って世界選手権出場を決めた岡)

■目指すは爆発力のあるスタンド攻撃

 もうひとつ、課題だったのがスタンドの差し。自衛隊で取り組んできたが、7月のゴールデングランプリ決勝大会(アゼルバイジャン・バクー)では「2月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)での腕の脱っきゅうした時の怖さが脳裏をよぎり、差すことはできても、そのあとに何もできませんでした」と反省する。

 それもこの1ヶ月間できっちり練習してきた。もともとスタンドで攻める姿勢はあった。それに加えて攻撃力がアップした岡。目指すは爆発力のあるスタンド。昨年の世界学生選手権(イタリア)とゴールデンGP決勝大会で見たアフラギ(イラン)の雄牛のようなスタンドだ。(右写真=全日本合宿で練習する岡)

 「世界学生選手権では3位でしたが、優勝したロシアもアフラギンもあのスタンドにはへばっていました。ゴールデンGPでは優勝でした。あんなスタンドをやりたい。相手がばてたらチャンスがある。勝つために必要なのは、グランドもスタンドもどんどん攻めて相手を疲れさせることですね。相手に合わせたら負けると思います」。自信のあるスタミナでどんどん飛ばしていく勢いだ。

 「代表になったからには、五輪のキップを取ってこなければ。コーチにも『あとの大会で取ることは考えるな』と言われています。ここが勝負です。5位以内に入ってキップを取ります」と息巻く岡。昨年からの怒とうの勢いを維持し、世界でもその力を見せて欲ほしい。


岡太一(おか・たいち=自衛隊)

 1988年4月5日、鳥取県生まれ、23歳。鳥取・鳥取中央育英高~拓大卒。高校時代は全国大会無冠。拓大進学当初は目立った選手ではなかったが、2年生(08年)秋の新人戦で優勝。翌09年の全日本学生選手権で優勝。10年になると大きく飛躍し、全日本学生選手権の両スタイル、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権(120kg級)で勝ち、史上9人目の大学四冠王者へ。世界学生選手権5位のあと、全日本選手権で優勝した。182cm。


 ◎岡太一の最近の国際大会成績

 《2011年》
 【7月:ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)】(19選手出場)
2回戦 ●[0-2(0-1,0-5)]Ahmet Yildirim(トルコ)
1回戦 ○[2-1(1-0,0-1,2-0)]Elmaddin Abdullayev(アゼルバイジャン)

 【5月:アジア選手権(ウズベキスタン)】8位(12手出場)
1回戦 ●[フォール、2P(1-0,F0-4)]Lin Ming-hsuan(台湾)

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会(米国)】6位(19選手出場)
5・6位決 ●[不戦敗]Cheney Haight(米国)
敗復戦  ●[不戦敗]Christoffer Ljungback(スウェーデン)
準決勝  ●[1-2(0-3,2-0,TF0-6)]Kristofer Alf Ragnar Johansson(スウェーデン)
3回戦   ○[2-1(2-0,0-1,1-0)]Chas Betts(米国)
2回戦   ○[2-0(3-0,1-0)]Mark Stenberg(米国)
1回戦   ○[2-0(5-0,1-0)]Ryan Hope(米国)

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 《2010年》
 【10月:世界学生選手権(イタリア)】5位(16選手出場)
3決戦  ●[0-2(0-1,0-6)]Joskowski Michal(ポーランド)
敗者復 ○[2-0(3-0,1-0)]Endre Molnar(スロバキア)
2回戦  ●[1-2(1-0,0-1,0-1)]Yildirim Ahmet(トルコ)
1回戦  ○[2-1(0-1,2-0,1-0)]Hrabovik A.(ベラルーシ)

 【2月:ニコラ・ペトロフ国際大会(ブルガリア)】8位(9選手出場)
2回戦 ●[0-2]Nikolay Bayriakov(ブルガリア)
1回戦  BYE







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