日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2012.11.11

【全日本大学選手権・特集】55kg級の高橋侑希(山梨学院大)が“3年ぶりの勝利”で1年生王者へ

(文=増渕由気子)

 このブロックを勝ち抜いた選手は本物だ―。全日本大学選手権55kg級は、10月の岐阜国体を大学1年で制した高橋侑希(山梨学院大)が、準々決勝で全日本学生(インカレ)王者の森下史崇(日体大)を2-1で破り、決勝でも杉本涼輔(中大)を2-0で下して初の学生タイトルを獲得した。

“死のブロック”を勝ち抜き、決勝で快勝した高橋

 国際レスリング連盟(FILA)のルールが適用され、シードのない抽選で行われる全日本大学選手権は、まず組み合わせが一つの見どころ。予測不可能な運命のいたずらも起こる。55kg級の組み合わせは、上ブロックに今年のインカレ優勝の森下、2位の高橋、3位の半田守(専大)に加えて、西日本学生選手権4連覇の桑木黎(中京学院大)、元インカレ2位の矢後匡平(日大)がひしめく状況となってしまった。

■高校時代からの“先輩ライバル”に3年ぶりの勝利

 10月の国体で全日本レベルの大会を初制覇した高橋だが、「今大会の優勝のほうがうれしかった」と、“死のブロック”を勝ち抜いた価値をかみしめる。それもそのはず。2回戦では、2009年奈良インターハイからライバル関係が続いている森下を2-1で下して手に入れた「優勝」。3年ぶりの勝利をマークしての優勝だから格別だ。

 森下とは4月のJOC杯、5月の東日本学生リーグ戦、8月の全日本学生選手権に続いて今季4度目の対戦。過去3戦は全敗。JOC杯とインカレの準優勝は、ルーキーにしては上出来の成績だが、両試合ともに森下に負けて優勝を逃していた。負けるたびに、ビデオを見返し、小幡邦彦コーチのアドバイスに耳を傾けた。「自分がフェイントをかけたときに、森下選手にタックルを入られてしまっていたので、簡単に体の状態を上げないように気をつけるようにしました」と対策は練りに練ってきた。

 だが、“4度目の正直”と言わんばかりに臨んだ森下戦も、決して高橋のペースではなかった。第1ピリオドは、残り30秒にタックルを決められて失点。お互いに攻め手を欠いてクリンチ勝負になった第2ピリオドは、攻撃権を得てなんとかものにしたが、勝負の第3ピリオドも開始45秒にスタンドから崩され、森下にバックに回られてテークダウンを許してしまった。

チャレンジの末、森下を下した高橋(赤)

■残り5秒からの逆転劇

 決定的と思えた森下の1点だったが、高橋はあきらめなかった。ラスト5秒、得意のタックルで反撃を試みたが、森下は手を前に出して高橋のタックルを完全にブロックしていたため、とっさにタックルを捨てて押し出す作戦に切り替えた。すると森下がタックル。そこを返し、山梨学院大のチャレンジ(ビデオチェック要求)の結果、高橋に2点が入った。

 「残りの時間、相手をつかまえて組んで押し出そうと前にプレッシャーをかけ続けていたら、森下選手がタックルに入ってきた。そこを返すことができました」。高橋のプレッシャーに、森下がタックルに入らされたという見方もできるが、高橋は「今日は運がよかっただけ。次は計算通りに、勝利の流れを引き寄せたい」と抱負を話した。

 これで、今年の学生王者は森下で、大学王者は高橋となった。来年は7月に学生最大の祭典、ユニバーシアードがロシアで開催される。この日の段階で選考基準は明らかになっていないが、今大会も選考大会に入ることが予想されている。高橋は「ユニバーシアードにぜひ行きたい」と、今後の活躍も含めてアピールしていく腹積もりだ。

 大学1年でビッグタイトルをつかんだ高橋は、同大会4連覇への挑戦権を手に入れた。これはロンドン五輪男子フリースタイル74kg級代表の高谷惣亮(現ALSOK=拓大卒)が昨年達成した記録だ。高橋は「4連覇目指したいけど、まずは1戦1戦頑張っていきます」と地道に記録を積み重ねていくことを誓った。

 インターハイ3連覇の輝きを、大学でもいよいよ放ち始めた高橋。“侑希伝説”の本章がついに幕を開ける―。

 







JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に