日本協会は2月22日、都内で緊急理事会を開催し、国際オリンピック委員会(IOC)理事会による2020年五輪からのレスリングの除外勧告に対し、日本協会としての行動などを話し合った。(右写真)
会議では、福田富昭会長が15~17日にタイ・プーケットであった国際レスリング連盟(FILA)理事会での決定事項と今後の方針などを報告。IOCの正式決定が下る9月まで、日本協会としてできることが論議され、まず協会をあげての署名活動を実施することを決めた。25日(月)からスタートする。
署名はインターネットによる電子署名のほか、学校のクラブ・少年少女教室などの単位や大会会場などでの自筆署名で展開される。5月29~31日のIOC理事会(ロシア)で2020年五輪の実施競技として採用される候補8競技を1競技に絞ることが決まっており、それまでに10万人の署名を目標とし、IOCへ提出する。
米国の署名サイトでは1週間で8万人もの署名が集まっており、福田会長は日本協会として目標を10万人と掲げた。「賛同者の数が大事」と、全国の関係者や支援者に署名を呼び掛ける。出席者からは、五輪金メダリストなどに大会会場や出演するイベント、テレビなどで積極的に呼び掛けてもらう提案がなされた。
全国少年少女連盟からは、3月9日(土)~10日(日)に東京・青少年総合センターで597選手が参加して行われる全国少年少女選抜選手権の際、選手による「Save Olympic Wrestling」の人文字をつくり、五輪復活をアピールすることが報告された。理事会の前には、三重県の鈴木英敬知事が福田会長に五輪存続を求める嘆願書を手渡されたことも紹介された。
福田会長は「IOCに抗議するとか、IOCと闘うという考えを持たないでほしい。IOCの期待にこたえる努力をする、という姿勢を望みたい」と話し、高田裕司専務理事は「マスコミはレスリングに好意的な記事を書いてくれているが、IOCにもプライドがある。一度外した競技を戻すことの大変さを認識してほしい」と、周囲の評判に惑わされない地道な活動を求めた。
他に、財団法人の組織改革に伴って申請していた公益財団法人への移行が認められ、4月1日から公益財団法人としてスタートすることと、社会を騒がせている指導者の体罰・暴力問題を受け、協会の松浪健四郎副会長を委員長として倫理委員会を新設したことが報告された。福田会長は傘下連盟とすべての加盟チームに「暴力と体罰の禁止を徹底してほしい」と訴えた。