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2013.09.06

【特集】世界選手権へかける(15)…男子グレコローマン96kg級・斎川哲克(両毛ヤクルト販売)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=布施鋼治)

 2012年8月7日、男子グレコローマン96㎏級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)は、選手として最大の目標だったオリンピックの舞台に立った。栃木県出身者としては7大会ぶり。グレコローマンでは初の快挙だった。

 「栃木を背負って闘う」。そう意気込んで臨んだ斎川だったが、前年世界選手権2位のジミー・リドバーグ(スウェーデン)に黒星。敗者復活戦に回ることなく初戦で姿を消した。「オリンピックには出たけど、勝ってはいない」と唇をかんだ。「確かにロンドンのマットに上がることはひとつの目標でしたが、それは通過点というか…。負けたら終わり(引退)という感じでもなかったです」。

■欲が足りなかったロンドン・オリンピック

 あれから1年の歳月が過ぎた。斎川は4年に一度の大舞台で自分に何が足りなかったのか、客観的に分析していた。「たくさんあるんですけど、中でも欲が足りなかったんじゃないかと思います。試合前は『自分は世界で勝てるのか?』と半信半疑な部分もあった。獲れればいいなという気持ちもありましたけど…」

 そのせいだろう。今回の世界選手権では、どうしても勝ちたいという気持ちが芽生えている。「過去に出場した世界選手権の戦績は全然良くないので、上に上がれたら、メダルにからめたらいいですが、まずは1回戦で勝たないと、勝ち上がれない」

 今年のグレコローマンチームの主将に任命された。斎川は「柄ではない」と謙遜するが、66㎏級代表の清水博之(自衛隊)ともに最高齢(27歳)であることに加え、世界を経験しているキャリアが買われたことは間違いない。

 菅平での代表合宿でもいい汗を流しているように見受けられた。調整具合を訊くと、斎川はいいですねと自信をのぞかせた。「やっぱり全日本(での練習)の方が練習相手はいるし、結構ピリピリした練習ができる。コーチも1組に一人はついてもらえますしね。いつもは大勢をひとりのコーチが見る環境なので」

■韓国のレスリングに劣るところはない

 7月下旬から8月上旬に韓国で行なわれた韓国チームとの合同練習について水を向けると、斎川は「きつかった」とため息をついた。「でも、これだから韓国は強いのか、ということが分かりました。(練習に割く)時間というより、質が高いことがわかった。向こうの選手の意識も高かったし。ロンドンの金メダリスト(グレコ66㎏級の金炫雨)がいる分、僕らもついていこうという意識がありました」

 「具体的にどんなところがきつかった?」という問いに、「基礎体力の部分ですね。例えば走るにしても、ただ走るのではなく、走った直後に大きなタイヤをひっくり返したり、息の上がった状態でそのまま30秒間差し合いをやったり。走ることで息を上げるだけではなく、それをレスリングにつなげていた。

 そういう練習はきつかったけど、そんなに劣る部分もなかったと思います。最初は慣れていなかったけど、合宿の中盤以降は別に劣っていない感じでした。そのへんは、みんな自信につながったんじゃないかと思います」

■将来は栃木県レスリングの振興に尽力

 昨年はプロレスラーへの転向を示唆する報道もあったが、それは重量級では日本人離れした斎川のパワーを見込んだものにすぎず、斎川自身に転向するつもりはさらさらなかった。最終的には地元栃木でレスリングの指導者になる青写真を描く。

 「栃木県には若い指導者がいないのが現状。他県と比べると、高校生とスパーをしながら指導できる先生は圧倒的に少ない。そういう役目を少しでも自分ができたらいいなと思っています」

 すでに教員採用試験は受けた。早ければ、来春にも地元の高校で斎川先生は誕生しているかもしれない。目前に控えた世界選手権での1勝もさることながら、これからは1年1年が勝負だと思っている。「リオが見えてきたら、もちろん目指すでしょう。これから環境も変わるだろうし、あとは自分で考えて行動するだけですね」

 以前から「日本ではこれまであまり注目されてこなかった重量級を盛り上げたい」と口にしていた斎川。チームのムードメーカーになりながら、3度目となる今回の世界選手権では「どうしても勝ちたい」という気持ちを最大限に発揮してほしい。

齋川哲克(さいかわ・のりかつ=両毛ヤクルト販売)   初出場(84kg級と合わせて3度目) 
 1986年3月11日、栃木県生まれ、27歳。栃木・足利工高~日体大卒。2007年に全日本大学グレコローマン選手権優勝など学生四冠を制覇。84kg級で2009・10年に全日本選抜選手権で優勝し、2010年アジア選手権2位などの成績を残す。2011年に階級を上げて全日本選手権優勝。翌年のロンドン・オリンピックに出場した。186cm。

 ◎斎川哲克の最近の国際大会成績

 《2013年》

 【4月:アジア選手権(インド)】=9位(11選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-3,1-4)]Davoud Einollah Gilnirang(イラン)

 【2月:ハンガリー・カップ】=18位(20選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-1,0-3)]Irakli Kajaia(グルジア)

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 ◎斎川の世界選手権・オリンピック成績

 【2012年ロンドン・オリンピック】=17位(19選手出場)
2回戦 ●[0-2(0-2,0-1)]Jimmy Lidberg(スウェーデン)
1回戦  BYE

 【2010年大会(84kg級=ロシア)】=20位(40選手出場)
2回戦 ●[0-2(0-2,0-2)]Vladimir Gegeshidze(グルジア)
1回戦 ○[2-0(3-0,1-0)]Marian Mihalik(スロバキア)

 【2009年大会(84kg級=デンマーク)】=28位(33選手出場)
1回戦 ●[0-2(0-1,0-2)]Damian Janikowski(ポーランド)


 







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