日本レスリング協会公式サイト
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2013.09.20

【世界選手権・特集】女子63kg級・伊調馨(ALSOK)

 【ブダペスト(ハンガリー)、文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】女子63kg級の伊調馨(ALSOK)が、4試合をテクニカルフォールで勝つ内容で8度目の世界選手権優勝を達成。オリンピックを合わせ、11度目の世界一を達成した。

 「十八番(おはこ)」とも言える全試合快勝での優勝だが、今回は3点技を受けてしまう試合が1試合あり、ちょっぴりヒヤリとした内容でもあった。3点を失ったのは準決勝のジャクリン・レンテリア・カスティーヨ(コロンビア)戦で、左脚を取られ、ニアフォールの体勢でマットに落とされた。流れが途切れないうちに反撃して3-3としたが(相手に反則の警告があって最終的に4-3へ)、一瞬、勝負の行方が心配されたシーンでもあった。

 最近の伊調が3点技を受けたのは、2011年ワールドカップのオードリー・ローレンス・ボカシビリ(フランス)戦や、2009年全日本選手権での山本聖子戦などがある。いずれもカウンターを受けての失点。相手の仕掛けで3点を失ったのは近来にはないこと。日本レスリング史の“大きな事件”とも言えるが、当の伊調は「楽しかった」と一言。

 その意味は、「今までに感じたことのないバネからくるタックルを受け、練習することが増えたな、ということです」。久し振りに強敵に巡り合え、最近感じたことのない高揚感を味わったようで、「身体能力はすごかった。あのバネはすごい。持って生まれたものですね。尊敬します」と、中米人特有の身体能力からくる強さに舌を巻き、「10点取ったと言っても、自分が攻めたところが1回もないので、総合的には負けていると思います」と、厳しく採点した。

 全試合を通じても、課題としていたアンクルホールドが2度しかできず、それもセコンドから「アンクル!」と言われて仕掛けたもの。「それでは一呼吸おいてから攻めることになるので、甘いな、と思いました」と反省。ルールが変わってグラウンドでの攻撃機会が増えると思われるが、まだ改善の余地ありといったところだ。

 オリンピックを含めて世界大会11度目の優勝の快挙だが、日頃から、勝ち負けよりもレスリングの究極を追及することが目標と口にしている。「もっといいレスリングをしたい」と、今回も、優勝のことより、まだ自分のレスリングを出し切っていないことに不満が残る。

 ルールが変わってグラウンド技を使う機会が増えるなど、やってきたことを発揮する機会は以前のルール以上となった。それでも、伊調が追求しているレスリングを発揮するには6分では足りないくらいだ。伊調のやっている技をすべて出すとしたら、「30分くらいの時間が必要なのでは?」という質問に対し、「そうですね。それなら出し切れるかもしれないですね。30分1本勝負がいい」と笑顔。

 6分間では出し切れない伊調のレスリングの“引き出し”の多さ。「もっと追究していきたい」と言う伊調が、2016年リオデジャネイロ・オリンピックへ向けて、まだまだ進化する。


 







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